海上忍のラズパイ・オーディオ通信(30)
【ラズパイオーディオ】最新版Volumioの『Direct DSD』を検証。DSD512もすんなり再生
■Raspberry Piのデジタル信号を他のオーディオ機器へ出力する手段
本連載では、Raspberry Piのオーディオ出力はGPIOを経由したDACボード、またはUSB Audioの2択だという論調を基本としてきた。前者はI2S(Inter-IC Sound)による「生」のデジタル信号を直接扱えることが、後者はUSB DACとケーブルで接続するだけという手軽さと柔軟性(ex. DSD再生)が大きなメリットだ。
その考えは基本的に変わらないが、Raspberry Piには他のオーディオ出力経路があることもいま一度確認しておきたい。「HDMI」はその一つで、オンボードで搭載されている端子とHDMI入力に対応したAV機器(ex. AVアンプ)と接続し、MPDの出力先にHDMIを指定すればOK。扱いはとても簡単だが、現行Raspberry PiのHDMI出力系がDSDに対応していないこと、それどころか全チャンネルの出力が48kHzに強制ダウンサンプリングされてしまうことから、積極的に利用する状況にはない。
もう一つは「同軸デジタル」。COAXIALとも呼ばれるこのデジタル出力端子は、ご覧の通りRaspberry Piに用意されてはいないが、GPIOに接続するタイプの拡張カードとしていくつか製品化されている。「光デジタル(TOS-Link)」を搭載するカードも製品化されているが、より伝送ジッターの影響を受けにくいとされる同軸デジタルのほうが好ましく、両方使えるというのであれば同軸デジタルを選ぶユーザーが多いはず。AES/EBUという選択肢も考えられるが、XLR端子を軽量なラズパイ・オーディオで使うとケーブル負け(ケーブルの硬度によって本体が浮いてしまう)しかねず、目下のところ現実的ではないだろう。
ほとんどの拡張ボードは、専用ケースを合わせて入手しなければ基板むき出しの状態で使わざるをえないことから、これまで当コラムでは積極的に取り上げてこなかったが、端子付近のパネルを交換可能な「ワンボードオーディオ・コンソーシアム規格準拠ケース」がいよいよ完成に近づいたこともあり、今後は積極的に紹介していきたいと考えている。自作PCのように拡張ボードを交換して自分なりの音を楽しめる世界は、すぐそこだ。
■iFi iDSD BLで最新版Volumioの「Direct DSD」を検証
前段を整理すると、Raspberry Piのデジタル信号を他のオーディオ機器へ出力する手段は「HDMI」と「USB」「同軸デジタル」と「光デジタル」の4種類あるということになる。そのうち「USB」と「同軸デジタル」が、ハイレゾ再生/高品質再生を狙える点で現実的な選択肢といえるだろう。
しかし、DSD再生に関して言うとUSBが有利になる場面が多い。S/PDIF(同軸・光)は、業務用のAES/EBUを簡素化して登場した経緯もあり、扱えるサンプリングレート/ビット深度の上限は事実上192kHz/24bitとされる。DSD再生も可能だが、DoPで伝送するためにDSD64(2.8MHz)が上限となり、いまやDSD256(11.2MHz)対応も珍しくないUSB DACにスペック上では水を開けられてしまうのだ。
本連載では、Raspberry Piのオーディオ出力はGPIOを経由したDACボード、またはUSB Audioの2択だという論調を基本としてきた。前者はI2S(Inter-IC Sound)による「生」のデジタル信号を直接扱えることが、後者はUSB DACとケーブルで接続するだけという手軽さと柔軟性(ex. DSD再生)が大きなメリットだ。
その考えは基本的に変わらないが、Raspberry Piには他のオーディオ出力経路があることもいま一度確認しておきたい。「HDMI」はその一つで、オンボードで搭載されている端子とHDMI入力に対応したAV機器(ex. AVアンプ)と接続し、MPDの出力先にHDMIを指定すればOK。扱いはとても簡単だが、現行Raspberry PiのHDMI出力系がDSDに対応していないこと、それどころか全チャンネルの出力が48kHzに強制ダウンサンプリングされてしまうことから、積極的に利用する状況にはない。
もう一つは「同軸デジタル」。COAXIALとも呼ばれるこのデジタル出力端子は、ご覧の通りRaspberry Piに用意されてはいないが、GPIOに接続するタイプの拡張カードとしていくつか製品化されている。「光デジタル(TOS-Link)」を搭載するカードも製品化されているが、より伝送ジッターの影響を受けにくいとされる同軸デジタルのほうが好ましく、両方使えるというのであれば同軸デジタルを選ぶユーザーが多いはず。AES/EBUという選択肢も考えられるが、XLR端子を軽量なラズパイ・オーディオで使うとケーブル負け(ケーブルの硬度によって本体が浮いてしまう)しかねず、目下のところ現実的ではないだろう。
ほとんどの拡張ボードは、専用ケースを合わせて入手しなければ基板むき出しの状態で使わざるをえないことから、これまで当コラムでは積極的に取り上げてこなかったが、端子付近のパネルを交換可能な「ワンボードオーディオ・コンソーシアム規格準拠ケース」がいよいよ完成に近づいたこともあり、今後は積極的に紹介していきたいと考えている。自作PCのように拡張ボードを交換して自分なりの音を楽しめる世界は、すぐそこだ。
■iFi iDSD BLで最新版Volumioの「Direct DSD」を検証
前段を整理すると、Raspberry Piのデジタル信号を他のオーディオ機器へ出力する手段は「HDMI」と「USB」「同軸デジタル」と「光デジタル」の4種類あるということになる。そのうち「USB」と「同軸デジタル」が、ハイレゾ再生/高品質再生を狙える点で現実的な選択肢といえるだろう。
しかし、DSD再生に関して言うとUSBが有利になる場面が多い。S/PDIF(同軸・光)は、業務用のAES/EBUを簡素化して登場した経緯もあり、扱えるサンプリングレート/ビット深度の上限は事実上192kHz/24bitとされる。DSD再生も可能だが、DoPで伝送するためにDSD64(2.8MHz)が上限となり、いまやDSD256(11.2MHz)対応も珍しくないUSB DACにスペック上では水を開けられてしまうのだ。