ディスクリートアンプで大きく進化
そのサウンドはミニコンポの域を超えた? 6万円で飛び抜けて音が良いデノン「D-M41」レビュー
■デノンのサウンドを継承した高音質再生
RCD-M41とSC-M41を組み合わせ、ミニコンポ「D-M41」の基本サウンドを確認しよう。まずは音楽CD『ラ・ラ・ランド-オリジナル・サウンドトラック』を聴いたのだが、ミニコンポという範疇を軽く超えたその表現力に驚かされた。
1曲目「アナザー・デイ・オブ・サン」は、ピアノから始まる豪華なジャズナンバー。
ピアノの音色表現は豊かで、低域もタイトに締まる。何より楽曲の情報を高解像度かつダイナミックに引き出している。女性・男性と続くボーカルの描き分けも巧みだ。これまでのデノン流のパワフルさに加えて、立体的なサウンドステージまで再現している。
「サムワン・イン・ザ・クラウド」を聴くと、音の立ち上がりの早さに加えて、楽曲後半の“静”のパートの表現における静けさを表現できていることにも驚いた。「ミアとセバスチャンのテーマ」では、ゆったりと響くピアノの調べから、弾けるような激しい演奏まで、音の強弱を豊かに描き分ける。
次に、一世代前の「RCD-M40」でも聴き込んだ音源を、改めてD-M41で聴いてみた。DuftPunk『Random Access Memories』は、従来機でも低域のパワーや音の分離感には優れていたと記憶しているが、RCD-M41ではそこに音の広がり感が加わり、クリアネスも明らかに増している。SHANTI『Born to Sing』を聴くと、アコースティックギターの響きの美しさや女性ボーカルの艶を引き出している。このあたりにはサウンドチューニングの巧みさを感じさせられる。本機の音作りは、明らかにHi-Fiオーディオの領域にあるものだ。
D-M41がCDレシーバーとスピーカーで約6万円という価格を考えると、改めて驚くべきクオリティーといえる。
■システム約6万円という価格帯を超えた多機能と完成度
「D-M41」の機能まわりもいくつか試してみた。まず、サウンド関連では「SDB」(スーパーダイナミックバス)というバスブースト機能がある。実際に試してみると、確かに低音だけ量感が増す。音量を押さえた夜間のリスニング時に活用したい機能だ。
次にBluetoothによるワイヤレス再生だ。操作は簡単で、Bluetoothボタンを長押しするだけですぐに使うことができる。iPhone 7とペアリングして音楽CDと同じ『ラ・ラ・ランド-オリジナル・サウンドトラック』を再生する。「RCD-M41」の再生クオリティが高いだけにCDとの音質差はわかりやすいが、日常的なリスニングには十分以上の音質だ。
本機はアナログ入力も備えているので、USB-DACを接続してハイレゾ音源も再生してみた。通る回路がちがうので当然といえば当然だが、音質傾向もCD再生とかなり印象が異なった。ハイレゾ音源の良さは十分に引き出してくれるが、今回の試聴における筆者の感想としては「CDの音が素晴らしすぎる」というものだ。アナログ入力を使って同じニュアンスを得るためには、組み合わせるシステムの吟味が必要だろう。
◇
デノンのD-M41をじっくり聴き込んでみたが、実を言うと最初に音を聴いた時点で本機の評価は定まっていた。6万円という価格を考えると、飛び抜けて音が良いモデルなのである。デノンのHi-Fiコンポーネントから継承した技術とサウンドチューニング、そしてBluetooth対応という現代的なリファインと、このクラスで最も注目すべきモデルであることは間違いなしだ。
(折原一也)
RCD-M41とSC-M41を組み合わせ、ミニコンポ「D-M41」の基本サウンドを確認しよう。まずは音楽CD『ラ・ラ・ランド-オリジナル・サウンドトラック』を聴いたのだが、ミニコンポという範疇を軽く超えたその表現力に驚かされた。
1曲目「アナザー・デイ・オブ・サン」は、ピアノから始まる豪華なジャズナンバー。
ピアノの音色表現は豊かで、低域もタイトに締まる。何より楽曲の情報を高解像度かつダイナミックに引き出している。女性・男性と続くボーカルの描き分けも巧みだ。これまでのデノン流のパワフルさに加えて、立体的なサウンドステージまで再現している。
「サムワン・イン・ザ・クラウド」を聴くと、音の立ち上がりの早さに加えて、楽曲後半の“静”のパートの表現における静けさを表現できていることにも驚いた。「ミアとセバスチャンのテーマ」では、ゆったりと響くピアノの調べから、弾けるような激しい演奏まで、音の強弱を豊かに描き分ける。
次に、一世代前の「RCD-M40」でも聴き込んだ音源を、改めてD-M41で聴いてみた。DuftPunk『Random Access Memories』は、従来機でも低域のパワーや音の分離感には優れていたと記憶しているが、RCD-M41ではそこに音の広がり感が加わり、クリアネスも明らかに増している。SHANTI『Born to Sing』を聴くと、アコースティックギターの響きの美しさや女性ボーカルの艶を引き出している。このあたりにはサウンドチューニングの巧みさを感じさせられる。本機の音作りは、明らかにHi-Fiオーディオの領域にあるものだ。
D-M41がCDレシーバーとスピーカーで約6万円という価格を考えると、改めて驚くべきクオリティーといえる。
■システム約6万円という価格帯を超えた多機能と完成度
「D-M41」の機能まわりもいくつか試してみた。まず、サウンド関連では「SDB」(スーパーダイナミックバス)というバスブースト機能がある。実際に試してみると、確かに低音だけ量感が増す。音量を押さえた夜間のリスニング時に活用したい機能だ。
次にBluetoothによるワイヤレス再生だ。操作は簡単で、Bluetoothボタンを長押しするだけですぐに使うことができる。iPhone 7とペアリングして音楽CDと同じ『ラ・ラ・ランド-オリジナル・サウンドトラック』を再生する。「RCD-M41」の再生クオリティが高いだけにCDとの音質差はわかりやすいが、日常的なリスニングには十分以上の音質だ。
本機はアナログ入力も備えているので、USB-DACを接続してハイレゾ音源も再生してみた。通る回路がちがうので当然といえば当然だが、音質傾向もCD再生とかなり印象が異なった。ハイレゾ音源の良さは十分に引き出してくれるが、今回の試聴における筆者の感想としては「CDの音が素晴らしすぎる」というものだ。アナログ入力を使って同じニュアンスを得るためには、組み合わせるシステムの吟味が必要だろう。
デノンのD-M41をじっくり聴き込んでみたが、実を言うと最初に音を聴いた時点で本機の評価は定まっていた。6万円という価格を考えると、飛び抜けて音が良いモデルなのである。デノンのHi-Fiコンポーネントから継承した技術とサウンドチューニング、そしてBluetooth対応という現代的なリファインと、このクラスで最も注目すべきモデルであることは間違いなしだ。
(折原一也)