<連載:折原一也の“いまシュン!”ビジュアルプロダクト>
「君の名は。」UHD BDはこれで見る! 4万円で買えるソニーとパナソニックのプレーヤー比較視聴
チャプター1を見ても、画面全体としての鮮鋭感の情報は引き出せているし、夜の街頭のシーンもビビッドな色で再現してくれる。ただ、「DMR-UBZ1」の重厚な質感表現と比較すると、“ストレートに描写する”といった表現がふさわしい。
スーパーマンが国会に出頭するチャプター8の質感も、元の映像の通りナチュラル志向で、スーパーマンのマントの色のトーンは抜けず、スーツの質感はビビッド。
雷雨の下でバットマンとスーパーマンが対峙するチャプター11も、HDRのコントラスト感を前面に出したストレートな表現だ。『ハドソン川の奇跡』はもともと超高画質のディスクなだけに、ディスクに収録された映像を素直に再生する。
ソニーの「UBP-X800」で『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』を観ると、夜のシーンの人肌、そして銃弾のシーンの金属の表現などは、UHD BDならではの情報量を引き出しているだけでなく、さらに一歩、艶と質感が加わる。HDRの眩しさの表現にもヌケ感が表れるし、人肌の表現も丁寧。またチャプター後半にある暗闇に蠢くコウモリのシーンも階調の落ち着きが良い。
チャプター8を観るとスーパーマンのマントの発色が鮮やかで、スーツの表現も質感が現れた。そしてチャプター11の非常にハイコントラストなシーンも、光のキレだけでなく地面に映された画面全体の情報を持たせて描写する。
『ハドソン川の奇跡』も、チャプター4のコクピットのシーンで画面全体の奥行き感と見通し、機長の肌の立体感や乗客の服の質感を引き出した。
以上、パナソニック、ソニーの最新レコーダーの画質を試聴してみると、パナソニックの「DMP-UB30」はUltra HD Blu-rayのスタンダードと呼ぶべき画質。今回は横に並べて比較はしていないが、「DMP-UB90」「DMR-UBZ2020」といったパナソニックのUHD BD再生対応機エントリーモデルの画質を継承していると見て良さそうだ。スタンダードではあるが、本来の画質としては十分合格点と言える。
一方、ソニーの「UBP-X800」は約4万円のエントリーモデルながら、UHD BDの映像で質感表現を求めた、なかなか意欲的なモデル。リファレンスとして毎回視聴しているパナソニックの「DMR-UBZ1」との差は歴然だが、実売価格で約20万円の差があることを考えると「UBP-X800」は健闘している。
今回はUHD BDのエントリーモデル2機種を見比べたが、画質性能のベースが非常に高く、4K/HDRに興味を持ち始めたような入門者層にとっては画質差はまず分からないレベルだ。より本格的な高画質環境を揃えたいなら話は別だが、まずは手軽に4K/HDRに触れてみたいような場合であれば、設置スペースや高音質設計、接続端子といった要素を総合的に考えて選ぶことをオススメしたい。