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【特別企画】連続レポート第1回

OPPO「UDP-205」導入レポ<小原由夫編> UHD BDからSACDまで、12cmプレーヤーはこれ1台で

公開日 2017/09/20 10:57 小原由夫
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ESS最高峰DACが実現する圧巻のアナログ・マルチch再生

私がUDP-205で最も期待している部分は、実はアナログ・マルチch音声出力だ。HDMI出力とは異なりドルビーアトモスやDTS-Xには対応できないが、本機に内蔵されたES9038PROのポテンシャルが如何なく発揮されるのが、この出力端子からなのである(ステレオ出力端子も同様)。UDP-205の音質については、今回は特にこのアナログマルチch出力にフォーカスしてレポートしたい。

UDP-205の背面部。アナログマルチch出力をソニーのマルチch入力対応アンプへ接続している

まずはじめに聴いたのは、先頃リマスター盤が話題となった『ビートルズ/サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のBDから、DTS-HDマスターオーディオ5.1chで収録されている「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」。ジョンの声がくっきりとセンターに定位し、左前にリンゴのドラム、右後ろにジョンのリズムギターといった感じのサークル音場が実に新鮮な響き。サビの部分では一気にリズムが厚くなり、楽隊のアンサンブルがグルッと囲む様子が非常に濃密でダイナミック。このシームレスな包囲感はちょっとクセになりそうだ。

SACDのクラシック、ゲルギエフ指揮、ロンドン交響楽団による『プロコフィエフ/ロミオとジュリエット』は、「騎士の踊り」の勇ましくも重々しい響きをどっしりと壮大に再現する。管楽器の重奏はリズムを牽引し、弦楽のアンサンブルがテーマを緻密に反復する。ホールに響き渡る余韻がたいそう力強く、この楽曲の精悍なムードを補強しているのがわかる。


小原氏の視聴室はフロント3chにTAD「TAD-R1」を3本用意(写真はステレオ再生時のもの)。ここで再生するUDP-205によるアナログマルチch再生は圧巻だった
次いでSACD『ジェフ・ベック/ワイアード』。70年代に制作された4chステレオ「SQ」版のサラウンドミックスを参考に新たに作られたサラウンドサウンドは、ステレオを聴き慣れた耳には実に刺激的だ。曲毎に楽器の配列が異なるのだが、フロントにドラムとベースのリズムセクションが陣取り、ギターソロは左後ろ、キーボードが右後ろといった配置をその中心部で聴いていると、スタジオ内の最良の位置でベックらに囲まれているような錯覚に陥る。

本機のアナログ・マルチch出力で聴く楽器の音色はダイレクトで生々しく、ネックの運指やピックの動きが見えるかのよう。音量を上げれば凄まじい音圧を浴びるがごとく堪能できる。UDP-205が内蔵するESSの最高峰DACチップが、収録された情報を忠実かつ細大漏らさず再現していることが改めて実感できる。



視聴を通じて、UDP-205は画も音も実に骨太な手応えのマシンということを強く実感した。当面の間、私のシステム内の12cmディスク再生機のリファレンスとして鎮座していくことは間違いないだろう。

(小原 由夫)


特別企画 協力:OPPO Digital Japan

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