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【特別企画】XL-1/SP-10を試聴

気品を備えた、リファレンスサウンドの到達点 ー サエクの旗艦ケーブル「STRATOSPHERE」を聴く

公開日 2017/10/02 08:30 鈴木 裕
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クラプトンではオーディエンスが増えたように拍手の手数が増し、バックミュージシャンたちがそれぞれのプレイを克明に再現。と、同時にクラプトンのヴォーカルの存在感、音楽的に言えば主役度が大きくなるのもいい。

続いて「XR-1」を試聴

さすがに各オーディオ雑誌社の試聴室でリファレンスに使われるブランドだけあって、妙なデフォルメをしてこないのだ。その最上級の製品なのだから。ラフマニノフでも情報量が上がり、この録音の持っている分解能の高い、カラフルな色彩感が横溢。仕事を忘れて楽しんでしまいそうになってくる。

さらにプリとパワー間にも「XR-1」をさらに投入して試聴する。音楽信号の通るケーブルとしては、コンプリート状態である。竹内まりやでは極上の透明感で、そこに描かれる各楽器の音色感や音の色彩感の端正できれいなこと。同時に低域の付帯音のほぼない感じ、ストレートに低音そのものに触れる感触はなかなか体験できない領域に到達している。ただし、サバサバしすぎているわけではなく、ヴォーカルにはうるおいがあり、なめらかで品の良さを感じる。分解能やエネルギー感も素晴らしいが、なんとも言えない品のいい音なのだ。

続いて、プリ・パワーの間にそれぞれ「XR-1」を接続して試聴を行った

クラプトンでも同様だが、付帯音のない低音と、全体的な反応の良さから演奏のグルーヴ感が良く出てくるのが特徴的。ビートがビシっと合っている。ラフマニノフでもこのソフトの現代的な音場感を見事に再現。大編成のオーケストラと存在感の高いソロピアノの見せ方が秀逸である。

SP-10をバイワイヤ使用すると、音楽が流れ出てオーディオの存在が消える

最後に、贅沢にもスピーカーケーブル SP-10をもう一組追加して、TAD-E1をバイワイヤリング接続して聴いた。パイワイヤリングはこの仕様のスピーかーをうまく鳴らすための基本にして奥義なのだが、意外と実践されていない方も多い。

最後にSP-10を各chで2本によるバイワイヤ接続でその音を確かめた

やはり、と言うべきか、今まで書いてきたSTRATOSPHEREシリーズの良さがさらに倍加するのは言うまでもないが、何かオーディオの存在感がなくなったような、音楽がストレスなく、いい意味でスースー流れ出てくるようなニュアンスになったのは驚きだった。また、高域の倍音の量が増えたのか、空間の濃密な実在感も実に見事で、試聴室の存在を忘れて音楽と向き合える時間をもたらしてくれた。

あらためて考えるとXR-1で採用されたPC-Triple C/EXが大きいのかもしれない。銀メッキでは高周波の信号の流れに不安定なところが出てくるが、逆に言うとPC-Triple C/EXの安定した音が、リファレンスとして実に信頼感の厚い、シュアな音を聴かせてくれるニュアンスも持っていた。説明しなかったが、SP-10とXR-1それぞれにおける厳重なシールドやPFA絶縁、シルク糸の介在といった要素も安定した音を伝送してくれているのだろう。



STRATOSPHEREシリーズはまさにサエクのフラッグシップであり、その音の方向性や、見事な到達度を聴かせてくれた。きちんとしたリファレンス的なまじめな音でありつつ、どこか品のいい音色感を持っているのも、あまたあるケーブルブランドの中で存在理由(と書いて、レゾン・デートルと読ませたいところだが)を感じさせるところだ。

(鈴木 裕)


特別企画 協力:サエクコマース

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