息を呑むほどクリーンで清新なサウンド
ゼンハイザー「IE 800 S」最速レビュー。5年ぶりに進化した新フラグシップイヤホンの実力とは
ゼンハイザーがおよそ5年ぶりにフラグシップイヤホン「IE 800」をアップデートし、最新モデル「IE 800 S」を発売する。ゼンハイザーがドイツの本社に構える工場で1台ずつハンドメイドで生産する、新たなプレミアムモデルの実力を速報レポートする。
■完成されたイヤホン、「IE 800」から多くの資産を受け継いだ最新モデル
国内では2012年の冬に発売された「IE 800」は、今もゼンハイザーのイヤホン製品の頂点に君臨するフラグシップモデルだ。7mm口径のダイナミック型「XWBトランスデューサー」を左右に1基ずつ搭載。「XWB=Extra Wide Band」の名が表す通り、5Hz-46.5kHzという広い帯域をカバーする。改めて振り返ると、まだポータブルオーディオでは今日ほどハイレゾが一般的でなかった5年前から、すでにそのスペックを満たす高性能なドライバーをゼンハイザーは完成させていたのだ。
セラミック素材のコンパクトな筐体には、クリアでパワフルなサウンドを最大化するため、ゼンハイザーが辿り着いた最先端の音響技術が搭載されている。「IE 800」で確立された技術が最新モデルにそのまま踏襲されたということは、ゼンハイザーが5年前に作り上げた技術が非常に高度なもので、今のハイレゾ時代を正しく予見していたものであることを意味しているのかもしれない。
ドライバーとノズルの間にメタルガーゼを装着した吸音パーツを配置して不要な響きを抑える「D2CA(Damped 2 Chamber Absorber)」が、透明で立体感あふれる「IE 800」の音づくりに大きく貢献している。主に7.5kHz付近のピーク帯域の暴れを抑えて、クリーンでレスポンスの良い高域特性を引き出す。
ハウジングをセラミックにした理由は、音響的な色づけが最も現れにくい素材だからなのだというが、軽くて耳元に収まりがよいところにも魅力が感じられる。後面に二つのアコースティックベントを設けた独特のデザインも「IE 800」から受け継ぐものだ。
■新しい「IE 800 S」で何が変わったのか?
それでは「IE 800 S」になってアップデートされた箇所を一つずつチェックしてみよう。
まずは外観のフィニッシュが変わっている。同じセラミックのハウジングだが、「IE 800」が光沢処理だったのに対して、「IE 800 S」はマットな質感のつや消しブラックだ。ケーブルの色もグリーンとブラックのコンビから全体をブラックに統一している。イヤホンの左右がすぐに見分けられるよう、右側のイヤホンはケーブルとの付け根の部分に赤いタグを配置した。同じ工夫はゼンハイザーの新しいモニターイヤホン「IE 80 S」にも採用されている。
導体を高純度OFCとし、被覆に耐久性の高いケブラー樹脂を組み合わせたケーブルの仕様は変わらないが、「IE 800 S」から新たにバランス接続に対応する2種類のリケーブルが同梱される。なお、イヤホンの根元からではなくY型の分岐部からケーブルを着脱交換する仕組みは前機種と変わらない。3.5mm/3極の1m・アンバランスケーブルのほか、Astell&KernのAKシリーズやオンキヨーのDP-Xシリーズなど人気モデルの多くが採用する2.5mm/4極の1m・バランスケーブルと、ソニーのハイレゾウォークマンの上位機種などに広がる4.4mm/5極の1.1m・バランスケーブルが付いてくる。
交換用イヤーチップも非アレルギー性シリコン製のS/M/L各サイズに加えて、Complyの低反発フォームチップをS/M/Lの3サイズ同梱する。「IE 800」に付属していた楕円形のシリコンイヤーチップと入れ替わった格好だ。シリコン製のイヤーチップは芯のところにメタル保護ネットを付けているので、ゴミが混入してもノズルの中がクリーンに保てる。
ハイレゾをカバーする再生周波数帯域は「IE 800」のスペックを継承。新モデルではさらにJASが推奨するハイレゾロゴを取得して、商品パッケージにもプリントしてアピールしている。インピーダンスも16Ωとしているので、iPhoneなどスマホと組み合わせてもよく鳴ってくれる。
耳に装着するとイヤホンを身に着けていることを忘れてしまうほどの、軽くて滑らかな装着感は「IE 800」譲りだが、筆者はマット仕上げのハウジングの方が肌触りがさらに心地よく感じた。
■完成されたイヤホン、「IE 800」から多くの資産を受け継いだ最新モデル
国内では2012年の冬に発売された「IE 800」は、今もゼンハイザーのイヤホン製品の頂点に君臨するフラグシップモデルだ。7mm口径のダイナミック型「XWBトランスデューサー」を左右に1基ずつ搭載。「XWB=Extra Wide Band」の名が表す通り、5Hz-46.5kHzという広い帯域をカバーする。改めて振り返ると、まだポータブルオーディオでは今日ほどハイレゾが一般的でなかった5年前から、すでにそのスペックを満たす高性能なドライバーをゼンハイザーは完成させていたのだ。
セラミック素材のコンパクトな筐体には、クリアでパワフルなサウンドを最大化するため、ゼンハイザーが辿り着いた最先端の音響技術が搭載されている。「IE 800」で確立された技術が最新モデルにそのまま踏襲されたということは、ゼンハイザーが5年前に作り上げた技術が非常に高度なもので、今のハイレゾ時代を正しく予見していたものであることを意味しているのかもしれない。
ドライバーとノズルの間にメタルガーゼを装着した吸音パーツを配置して不要な響きを抑える「D2CA(Damped 2 Chamber Absorber)」が、透明で立体感あふれる「IE 800」の音づくりに大きく貢献している。主に7.5kHz付近のピーク帯域の暴れを抑えて、クリーンでレスポンスの良い高域特性を引き出す。
ハウジングをセラミックにした理由は、音響的な色づけが最も現れにくい素材だからなのだというが、軽くて耳元に収まりがよいところにも魅力が感じられる。後面に二つのアコースティックベントを設けた独特のデザインも「IE 800」から受け継ぐものだ。
■新しい「IE 800 S」で何が変わったのか?
それでは「IE 800 S」になってアップデートされた箇所を一つずつチェックしてみよう。
まずは外観のフィニッシュが変わっている。同じセラミックのハウジングだが、「IE 800」が光沢処理だったのに対して、「IE 800 S」はマットな質感のつや消しブラックだ。ケーブルの色もグリーンとブラックのコンビから全体をブラックに統一している。イヤホンの左右がすぐに見分けられるよう、右側のイヤホンはケーブルとの付け根の部分に赤いタグを配置した。同じ工夫はゼンハイザーの新しいモニターイヤホン「IE 80 S」にも採用されている。
導体を高純度OFCとし、被覆に耐久性の高いケブラー樹脂を組み合わせたケーブルの仕様は変わらないが、「IE 800 S」から新たにバランス接続に対応する2種類のリケーブルが同梱される。なお、イヤホンの根元からではなくY型の分岐部からケーブルを着脱交換する仕組みは前機種と変わらない。3.5mm/3極の1m・アンバランスケーブルのほか、Astell&KernのAKシリーズやオンキヨーのDP-Xシリーズなど人気モデルの多くが採用する2.5mm/4極の1m・バランスケーブルと、ソニーのハイレゾウォークマンの上位機種などに広がる4.4mm/5極の1.1m・バランスケーブルが付いてくる。
交換用イヤーチップも非アレルギー性シリコン製のS/M/L各サイズに加えて、Complyの低反発フォームチップをS/M/Lの3サイズ同梱する。「IE 800」に付属していた楕円形のシリコンイヤーチップと入れ替わった格好だ。シリコン製のイヤーチップは芯のところにメタル保護ネットを付けているので、ゴミが混入してもノズルの中がクリーンに保てる。
ハイレゾをカバーする再生周波数帯域は「IE 800」のスペックを継承。新モデルではさらにJASが推奨するハイレゾロゴを取得して、商品パッケージにもプリントしてアピールしている。インピーダンスも16Ωとしているので、iPhoneなどスマホと組み合わせてもよく鳴ってくれる。
耳に装着するとイヤホンを身に着けていることを忘れてしまうほどの、軽くて滑らかな装着感は「IE 800」譲りだが、筆者はマット仕上げのハウジングの方が肌触りがさらに心地よく感じた。