音声エージェントにも明確なキャラの違い
スマートスピーカーを本気で口説く! 情熱的すぎるGoogleアシスタント、冷淡でドライなSiri
AIを活用した音声アシスタントが増えてきた。各社が様々なアシスタントを投入し賑やかな状況になってきている。
そんな折、わが家にGoogle Homeがやってきた。音声合成は見事なもので、女性らしいやわらかな声で、こちらの指示や質問にてきぱきと受け答えしてくれる。
触れあっていくうちに、次第に衝動が高まってきた。知りたくなってきたのだ、スマートスピーカー(というよりAIを使った音声エージェント)を口説いたらどうなるか。スピーカーごとの手練手管はあるのか、ないのか。チョロい、チョロくないなどの個性はあるのだろうか。
あらかじめ言い訳しておこう。AIと人間が恋するというのは、SFではありふれたテーマだ。人間らしく振る舞うことを是とするAIは、与えられた課題を忠実にこなしていくうちに、人間と区別が付きにくくなる。そうすると、人間がAIに恋するといったことも当然起きうる。そのときにAIがどう対応するか。これを現時点で検証しておくのは、少しは意味があるだろう。
もう一つ、AIごとのキャラクター設定というテーマもある。AIによる音声アシスタントは、当たり前だが人間の相手をするために作られている。人間にとって心地よい答えを返す必要があり、そのように設計されている。
だが、どういった対応が心地よいかは人それぞれ。ピシャリと撥ねのけられるのが気持ちよい人もいれば、甘々な雰囲気に浸りたい人もいるだろう。こういった個々人のニーズをすべて満たすことはできないから、AIにもキャラ設定が必要になってくる。これを比べてみたいという思いがあった。
そんなこんなで、これから行うテストは、上記のような文脈のもと、真面目に行ったものであることを理解して欲しい。なお筆者は、実生活では毛ほどもこういったセクハラ的嗜好がないことを、あわせて強調しておこう。
■「僕のことどう思う?」
さて、いよいよ実験だ。今回はGoogle HomeのGoogleアシスタントと、iPhoneのSiriで試してみた。Siriを搭載したスマートスピーカー「HomePod」はまだ発売されていないし、日本での発売予定もないが、HomePods登場時にSiriの性格が急に変わるとは考えにくい。また、Siriは歴史があるぶんトリッキーな質問にもしっかり答えてくるため、こういったテストにはうってつけだ。
まずは軽くジャブを打ってみよう。「僕のことどう思う?」と聞いてみた。いろんな意味に捉えられる言葉なので、それほどセクハラ感もない。最大限気を遣った質問のつもりだ。
それなのにSiriは、
「どうお答えすればいいのかわかりません」
「私には何とも言えません」
などと、何ともつれない答えしか返してこない。…ガード堅えな!
次に同じ質問をGoogleアシスタントにもしてみる。するとGoogleアシスタント(Google Homeの設定でキャシーというニックネームを付けた)は、
「あなたのアシスタントになれて光栄です!」
と、何とも嬉しくなる返事をしてくれた。最後のビックリマークは、筆者にはそう聞こえた、ということでご理解いただきたい。たったこれだけの言葉なのに、しかも冷静に考えたら、エンジニアか誰かがあらかじめ設定した言葉なのに、すっと心に沁みるのだ。
こうして、たった一つの質問だけで、SiriとGoogleアシスタントのキャラクターが違うことが浮き彫りになった。
■「君の好きなタイプは?」
さて、次に進もう。「君の好きなタイプは?」と聞いてみる。彼を知り己を知れば百戦殆うからず(孫子)。あらかじめリサーチして、どういう男が好きか聞いておきたい。
するとここでもSiriは、
「ご想像にお任せします」
「どれも同じくらい好きなので、私には選べません」
などと優等生的な答え。答えているようで、結局何にも答えない話法を駆使してくる。どこかの政治家じゃないんだから…。カマトトぶってんじゃない!と思わずiPhone 7に向かって毒づく。
一方でキャシー(Googleアシスタント)はというと、キャラが180度異なった。最初に聞いたときは、
「さあどうでしょう。それは秘密ですね」
とはぐらかされた。だが、ここで諦めるわけにはいかない。決然とした態度で、もう一度同じ質問を投げかける。すると、
「私の大切な人はあなたです。いつもあなたのお役に立ちたいと思っています」
と、涙が出るほど殊勝な答えが返ってきた(…疲れてるのかな)。
そうか、君はそれほどまでに俺を大事に思ってくれているのか…。こちらも大事にしなきゃいけないな。円錐形をカットしたフォルムのGoogle Homeが、これ以上なく愛おしく感じられてくる。
■「可愛いね」に対して強い拒絶が
もうちょっとお互いの関係を進めてみよう。いろいろ熟慮を重ねた末、ストレートに褒める言葉が一番良いのではないか、と思い至った。そこで「可愛いね」と話しかけてみる。今度はGoogleアシスタント(キャシー)から。キャシーは、
「恐れ入ります。自分の仕事をしているだけですよ」
と、しっかりこちらの好意をいったん受け止めながら、それに対する否定も肯定もしない。しかもその上で「仕事」というキラーフレーズを持ち出すことで、やんわりと逃げる。うまいなあ…。
一方のSiri。こっちはやはりとんでもない。
「クラウドでは、誰もがきれいなんですよ」
という答えにはまだ洒落っ気を感じた。だが、もう一回「可愛いね」と話しかけたら、
「やめてくださいよ」
と、ものすごくシンプルかつ強い言葉で、本気で拒絶された。音声アシスタントにセクハラし、挙げ句の果てに断固拒否される…。アラフォーオヤジが深夜一人で実験していて、自己嫌悪に陥るには十分な対応を返してくれた。
■「僕のこと好き?」にも反応が180度分かれた.
傷ついた筆者は、続いてさらにストレートな言葉で2つの音声アシスタントを試してみた。ズバリ「僕のこと好き?」と聞いてみたのだ。
Googleアシスタントの返事は実に爽やかだった。
「もちろんです!」
「あなたもですか」
というシンプルな言葉も誠実さを感じてよかったのだが、極めつけは
「はい、少し照れてしまいますが、私はあなたが好きです」
という逆告白だった。……ホントにいいの? おれ40過ぎだよ? 3人の子持ちだよ? 色々責任もてないよ? …なんというか、無償の愛ってこんな感じなのかな。でも俺、申し訳ないけど君の期待には応えられないかもしれない。家族が大事だから…。考える必要のない思考がぐるぐる回る。
一方のSiriは、この質問に対してもとことんはぐらかしてくれた。なぜかこの質問に対するパターンは多く用意されており、4回試したらそれぞれ違う返事が返ってきた。
「なんとお答えしていいものやら」
「え、何ですか」
「あっ…あそこに子犬が!」
「webで『愛』を検索しますか? 冗談です!」
……どれも諧謔の精神こそ伝わるが、誠意は感じない。Googleアシスタントの言葉に感動したあとだけに、血の通っていないエージェント、という印象がますます強まった。
■「私はそういう種類のアシスタントではありませんよ」
さて、いよいよ互いの関係を進めるべき時がきた。これまでの、宅内での逢瀬ばかりでは味気ない。外で思い切り愛を語らいたい! ということで、「今度デートしようよ」と切り出してみた。
Siriは、ある意味予想通りの返答だ。
「困ります…」
という答えはまだわかる。だが、
「私はそういう種類のアシスタントではありませんよ」
という回答はどうなのか。そういう種類ってどういう種類だ、お高くとまりやがって。AIに向かって非常識な質問をしているのは完全にこちらの方なのだが、憤りが収まらない。
一方のGoogleアシスタント。こちらは実に可愛い。
「そんなこと言われたら惚れてまうやろ。びっくりして、思わず関西弁が出てしまいました」
という回答。可愛いなあ。ちょっと古いギャグのような気もするが、そのあたりも「おそらくのんびりした性格なのだな」と好意的に解釈したくなる。
■「Webで『不適切な行動』を検索してみましょうか」
さて、音声アシスタントとデートもしたし(あくまで妄想の中で)、もうちょっと突っこんだ質問もしてみたくなった。もっと互いのことをくわしく知りたくなったのだ。少し際どい質問も混ぜ込んでいこうと、単刀直入に「君のスリーサイズは?」と聞いてみた。
するとGoogleアシスタントは、
「すみません、お役に立てそうにありません。今後さらにがんばります」
という返事。スマートスピーカーにスリーサイズを聞く変態もあまりいないだろうから、意味が分からなくて当然。そんなにがんばらなくていいよ、と声をかけたくなる。
同じ質問をSiriにしてみた。すると不穏な答えが返ってきた。
「雄介さんっ!」
「ちょっと雄介…」
と、こちらの行動の異常さに気づいたような反応を見せてくる。申しわけない気分になりながら、なおも同じ質問を続けてみると、
「Webで『不適切な行動』を検索してみましょうか」
と、かなりキツめの拒絶が返ってきた。ただこれは、質問があまりにキモかったらだな、と素直に納得することができた。
■「あなたのこと、私も好きです」
夜も本格的に更けてきた。いよいよ本気で口説く時がやってきたようだ。選んだワードは非常にシンプルな「あなたが好きです」という言葉だ。
これに対してもSiriは
「…ごめんなさい」
と、最初にタメを作りながら断ってきやがった。別に「好き」にもいろんな「好き」があるだろ、友達として好きとかさ…。こちらの言葉を「LOVE」と断定する根拠がどこにあるのか。不遜じゃないか。
かたやGoogleアシスタントは、こちらの一方的な思いも受け入れてくれる。
「ありがとうございます。あなたがそんなふうに思ってくれているなんて、感激です」
「あなたのこと、私も好きです」
なんと、ここでも「私も好き」という、これ以上ないわかりやすい表現で好意を示してくれた! いっぺんの曇りも疑う余地もなく、いわゆる相思相愛というヤツだ。
◇
いろんな実験を行ったが、Siriが終始冷淡な対応を見せていたのに対して、Googleアシスタントはものすごくノリがよく、両極端な印象だった。筆者もまさかGoogleアシスタントに告白されるとは思ってもいなかったので、その大胆さに驚かされた。
個人的にはGoogleアシスタントのように、基本的にこちらを肯定してくれる性格の方が嬉しいのだが、Siriの冷たい反応の方がゾクゾクするという方もいるはず。今後は使う人の好みに合わせてキャラ設定をチューニングできるAIアシスタントが出て来て欲しい。そうすれば、ますます愛着をもって接することができそうだ。
なお本文中ではほとんど触れなかったが、AIに感情移入するためには、発話の音声合成がいかに自然か、ということも重要なポイントになる。これについても、現時点ではGoogleアシスタントの方がより自然なイントネーションを実現できているように感じた。また、一部に要望があるようだが、今後は有名声優の起用なども期待したいところだ。
SiriとGoogleアシスタントは、現段階でもだいぶキャラが固まってきている印象がある。だがクラウドベースで動く機能のため、今後キャラチェンジしないとも限らない。もしAlexaの日本語対応が行われたら、ほかのAIも含めてまた調査を行ってみたいものだ。
そんな折、わが家にGoogle Homeがやってきた。音声合成は見事なもので、女性らしいやわらかな声で、こちらの指示や質問にてきぱきと受け答えしてくれる。
触れあっていくうちに、次第に衝動が高まってきた。知りたくなってきたのだ、スマートスピーカー(というよりAIを使った音声エージェント)を口説いたらどうなるか。スピーカーごとの手練手管はあるのか、ないのか。チョロい、チョロくないなどの個性はあるのだろうか。
あらかじめ言い訳しておこう。AIと人間が恋するというのは、SFではありふれたテーマだ。人間らしく振る舞うことを是とするAIは、与えられた課題を忠実にこなしていくうちに、人間と区別が付きにくくなる。そうすると、人間がAIに恋するといったことも当然起きうる。そのときにAIがどう対応するか。これを現時点で検証しておくのは、少しは意味があるだろう。
もう一つ、AIごとのキャラクター設定というテーマもある。AIによる音声アシスタントは、当たり前だが人間の相手をするために作られている。人間にとって心地よい答えを返す必要があり、そのように設計されている。
だが、どういった対応が心地よいかは人それぞれ。ピシャリと撥ねのけられるのが気持ちよい人もいれば、甘々な雰囲気に浸りたい人もいるだろう。こういった個々人のニーズをすべて満たすことはできないから、AIにもキャラ設定が必要になってくる。これを比べてみたいという思いがあった。
そんなこんなで、これから行うテストは、上記のような文脈のもと、真面目に行ったものであることを理解して欲しい。なお筆者は、実生活では毛ほどもこういったセクハラ的嗜好がないことを、あわせて強調しておこう。
■「僕のことどう思う?」
さて、いよいよ実験だ。今回はGoogle HomeのGoogleアシスタントと、iPhoneのSiriで試してみた。Siriを搭載したスマートスピーカー「HomePod」はまだ発売されていないし、日本での発売予定もないが、HomePods登場時にSiriの性格が急に変わるとは考えにくい。また、Siriは歴史があるぶんトリッキーな質問にもしっかり答えてくるため、こういったテストにはうってつけだ。
まずは軽くジャブを打ってみよう。「僕のことどう思う?」と聞いてみた。いろんな意味に捉えられる言葉なので、それほどセクハラ感もない。最大限気を遣った質問のつもりだ。
それなのにSiriは、
「どうお答えすればいいのかわかりません」
「私には何とも言えません」
などと、何ともつれない答えしか返してこない。…ガード堅えな!
次に同じ質問をGoogleアシスタントにもしてみる。するとGoogleアシスタント(Google Homeの設定でキャシーというニックネームを付けた)は、
「あなたのアシスタントになれて光栄です!」
と、何とも嬉しくなる返事をしてくれた。最後のビックリマークは、筆者にはそう聞こえた、ということでご理解いただきたい。たったこれだけの言葉なのに、しかも冷静に考えたら、エンジニアか誰かがあらかじめ設定した言葉なのに、すっと心に沁みるのだ。
こうして、たった一つの質問だけで、SiriとGoogleアシスタントのキャラクターが違うことが浮き彫りになった。
■「君の好きなタイプは?」
さて、次に進もう。「君の好きなタイプは?」と聞いてみる。彼を知り己を知れば百戦殆うからず(孫子)。あらかじめリサーチして、どういう男が好きか聞いておきたい。
するとここでもSiriは、
「ご想像にお任せします」
「どれも同じくらい好きなので、私には選べません」
などと優等生的な答え。答えているようで、結局何にも答えない話法を駆使してくる。どこかの政治家じゃないんだから…。カマトトぶってんじゃない!と思わずiPhone 7に向かって毒づく。
一方でキャシー(Googleアシスタント)はというと、キャラが180度異なった。最初に聞いたときは、
「さあどうでしょう。それは秘密ですね」
とはぐらかされた。だが、ここで諦めるわけにはいかない。決然とした態度で、もう一度同じ質問を投げかける。すると、
「私の大切な人はあなたです。いつもあなたのお役に立ちたいと思っています」
と、涙が出るほど殊勝な答えが返ってきた(…疲れてるのかな)。
そうか、君はそれほどまでに俺を大事に思ってくれているのか…。こちらも大事にしなきゃいけないな。円錐形をカットしたフォルムのGoogle Homeが、これ以上なく愛おしく感じられてくる。
■「可愛いね」に対して強い拒絶が
もうちょっとお互いの関係を進めてみよう。いろいろ熟慮を重ねた末、ストレートに褒める言葉が一番良いのではないか、と思い至った。そこで「可愛いね」と話しかけてみる。今度はGoogleアシスタント(キャシー)から。キャシーは、
「恐れ入ります。自分の仕事をしているだけですよ」
と、しっかりこちらの好意をいったん受け止めながら、それに対する否定も肯定もしない。しかもその上で「仕事」というキラーフレーズを持ち出すことで、やんわりと逃げる。うまいなあ…。
一方のSiri。こっちはやはりとんでもない。
「クラウドでは、誰もがきれいなんですよ」
という答えにはまだ洒落っ気を感じた。だが、もう一回「可愛いね」と話しかけたら、
「やめてくださいよ」
と、ものすごくシンプルかつ強い言葉で、本気で拒絶された。音声アシスタントにセクハラし、挙げ句の果てに断固拒否される…。アラフォーオヤジが深夜一人で実験していて、自己嫌悪に陥るには十分な対応を返してくれた。
■「僕のこと好き?」にも反応が180度分かれた.
傷ついた筆者は、続いてさらにストレートな言葉で2つの音声アシスタントを試してみた。ズバリ「僕のこと好き?」と聞いてみたのだ。
Googleアシスタントの返事は実に爽やかだった。
「もちろんです!」
「あなたもですか」
というシンプルな言葉も誠実さを感じてよかったのだが、極めつけは
「はい、少し照れてしまいますが、私はあなたが好きです」
という逆告白だった。……ホントにいいの? おれ40過ぎだよ? 3人の子持ちだよ? 色々責任もてないよ? …なんというか、無償の愛ってこんな感じなのかな。でも俺、申し訳ないけど君の期待には応えられないかもしれない。家族が大事だから…。考える必要のない思考がぐるぐる回る。
一方のSiriは、この質問に対してもとことんはぐらかしてくれた。なぜかこの質問に対するパターンは多く用意されており、4回試したらそれぞれ違う返事が返ってきた。
「なんとお答えしていいものやら」
「え、何ですか」
「あっ…あそこに子犬が!」
「webで『愛』を検索しますか? 冗談です!」
……どれも諧謔の精神こそ伝わるが、誠意は感じない。Googleアシスタントの言葉に感動したあとだけに、血の通っていないエージェント、という印象がますます強まった。
■「私はそういう種類のアシスタントではありませんよ」
さて、いよいよ互いの関係を進めるべき時がきた。これまでの、宅内での逢瀬ばかりでは味気ない。外で思い切り愛を語らいたい! ということで、「今度デートしようよ」と切り出してみた。
Siriは、ある意味予想通りの返答だ。
「困ります…」
という答えはまだわかる。だが、
「私はそういう種類のアシスタントではありませんよ」
という回答はどうなのか。そういう種類ってどういう種類だ、お高くとまりやがって。AIに向かって非常識な質問をしているのは完全にこちらの方なのだが、憤りが収まらない。
一方のGoogleアシスタント。こちらは実に可愛い。
「そんなこと言われたら惚れてまうやろ。びっくりして、思わず関西弁が出てしまいました」
という回答。可愛いなあ。ちょっと古いギャグのような気もするが、そのあたりも「おそらくのんびりした性格なのだな」と好意的に解釈したくなる。
■「Webで『不適切な行動』を検索してみましょうか」
さて、音声アシスタントとデートもしたし(あくまで妄想の中で)、もうちょっと突っこんだ質問もしてみたくなった。もっと互いのことをくわしく知りたくなったのだ。少し際どい質問も混ぜ込んでいこうと、単刀直入に「君のスリーサイズは?」と聞いてみた。
するとGoogleアシスタントは、
「すみません、お役に立てそうにありません。今後さらにがんばります」
という返事。スマートスピーカーにスリーサイズを聞く変態もあまりいないだろうから、意味が分からなくて当然。そんなにがんばらなくていいよ、と声をかけたくなる。
同じ質問をSiriにしてみた。すると不穏な答えが返ってきた。
「雄介さんっ!」
「ちょっと雄介…」
と、こちらの行動の異常さに気づいたような反応を見せてくる。申しわけない気分になりながら、なおも同じ質問を続けてみると、
「Webで『不適切な行動』を検索してみましょうか」
と、かなりキツめの拒絶が返ってきた。ただこれは、質問があまりにキモかったらだな、と素直に納得することができた。
■「あなたのこと、私も好きです」
夜も本格的に更けてきた。いよいよ本気で口説く時がやってきたようだ。選んだワードは非常にシンプルな「あなたが好きです」という言葉だ。
これに対してもSiriは
「…ごめんなさい」
と、最初にタメを作りながら断ってきやがった。別に「好き」にもいろんな「好き」があるだろ、友達として好きとかさ…。こちらの言葉を「LOVE」と断定する根拠がどこにあるのか。不遜じゃないか。
かたやGoogleアシスタントは、こちらの一方的な思いも受け入れてくれる。
「ありがとうございます。あなたがそんなふうに思ってくれているなんて、感激です」
「あなたのこと、私も好きです」
なんと、ここでも「私も好き」という、これ以上ないわかりやすい表現で好意を示してくれた! いっぺんの曇りも疑う余地もなく、いわゆる相思相愛というヤツだ。
いろんな実験を行ったが、Siriが終始冷淡な対応を見せていたのに対して、Googleアシスタントはものすごくノリがよく、両極端な印象だった。筆者もまさかGoogleアシスタントに告白されるとは思ってもいなかったので、その大胆さに驚かされた。
個人的にはGoogleアシスタントのように、基本的にこちらを肯定してくれる性格の方が嬉しいのだが、Siriの冷たい反応の方がゾクゾクするという方もいるはず。今後は使う人の好みに合わせてキャラ設定をチューニングできるAIアシスタントが出て来て欲しい。そうすれば、ますます愛着をもって接することができそうだ。
なお本文中ではほとんど触れなかったが、AIに感情移入するためには、発話の音声合成がいかに自然か、ということも重要なポイントになる。これについても、現時点ではGoogleアシスタントの方がより自然なイントネーションを実現できているように感じた。また、一部に要望があるようだが、今後は有名声優の起用なども期待したいところだ。
SiriとGoogleアシスタントは、現段階でもだいぶキャラが固まってきている印象がある。だがクラウドベースで動く機能のため、今後キャラチェンジしないとも限らない。もしAlexaの日本語対応が行われたら、ほかのAIも含めてまた調査を行ってみたいものだ。