<山本敦のAV進化論 第150回>
実はAIと音声認識の老舗。東芝がスマートスピーカーを発売する理由
AIアシスタントを搭載する「スマートスピーカー」は2017年の後半にもっとも注目を集めたデジタルデバイスだ。GoogleやAmazonのほかにも、日本国内のオーディオ・ビジュアルのメーカーから新しいスマートスピーカーが続々と発表・発売されている。
その中で東芝映像ソリューションが秋に北米市場に向けて発売した「TH-GW10」はどんな製品なのか、あるいは今後どんなビジネスに発展していくのか。製品を開発した担当者にインタビューした。
今回取材に応えていただいたのは東芝映像ソリューションでスマートスピーカーの開発に携わる石橋泰博氏と西岡竜太氏だ。
■スマートスピーカーで「モノ売りからコト売り」へ
はじめに「TH-GW10」がどんな製品なのか、スマートスピーカーの概略を簡単に振り返っておこう。製品の詳細については記者発表会レポートを合わせて参照して欲しい。
円筒形デザインの筐体にはフルレンジのスピーカーユニットのほか、モーションセンサーとナイトビジョンを付けた動画記録用のカメラを内蔵。AIアシスタントにはAmazonの「Alexa」を採用した。通信機能はWi-Fi内蔵により定額制音楽配信を含むクラウドサービスを楽しんだり、スマホとBluetoothでペアリングしてデバイスに保存した音楽が聴けるほか、ZigBee、Z-WAVEといった近距離無線通信規格をサポートするホームIoTデバイスにも簡単につなげるホームゲートウェイ機能を搭載している。
オーディオまわりは、先ごろ国内市場向けにもスマートスピーカー「G3」「P3」を発売したオンキヨーグループとの共同開発によるもので、ベースの性能はオンキヨーの北米モデル「VC-FLX1」と共通になる。
本機に接続したホームIoTデバイスや内蔵カメラの制御を行うためのモバイルアプリ、カメラで記録した映像を保存するクラウドストレージなどのサービスは、TH-GW10を購入したユーザーであれば無料で使うことができる。
北米では12月から販売がスタートしており、200-300ドル前後での販売が見込まれている。スマートスピーカーとしては上位クラスの価格設定とみていいだろう。
今回、同社が東芝ブランドから初のスマートスピーカーを商品化した背景には、「モノ売りからコト売り」へビジネスを広げていく狙いがあると石橋氏が説明する。
「従来の東芝は、オーディオビジュアル機器を開発して単品として販売するモノ売りのビジネスを主軸に展開してきました。そのスタイルはこれまで通り続けながら、家電機器の強みを活かせるソリューションを形にし、ユーザーの皆様が“やりたいコト”の目線から魅力的な製品やサービスを提案したいと考えました。たとえば、テレビのレグザシリーズ向けに提供するクラウドサービスの『TimeOn』が好例です。そういった思いからスマートスピーカーの開発をスタートしました」(石橋氏)
スマートスピーカーをデバイスとして販売するだけでは、コト売りにつながらない。そのため同社では、TH-GW10にIoTのゲートウェイ機能やモーションセンサー付きカメラを搭載し、アプリやクラウドサービスとともにスマートホームのソリューションをまるごと提供するというビジネスに仕立てた。
「日本でも最近、通信事業者や住宅メーカーを通じてスマートホームの製品やサービスがサブスクリプション型のサービスとして提供されるようになってきましたが、先行してスマートホームが立ち上がっていた北米では、個人のユーザーが自宅に必要なデバイスを自身で設置するDIYのスタイルが一般的になりつつあります。そのため北米ではホームセンターや家電量販店のDIYコーナーのようなところでスマートホームのためのIoTデバイスが売られています。ただ、一般の方々はクラウドサービスまではDIYで用意できないので、そこを東芝が提供するかたちに、コト売りに発展させていきたいと考えています」(石橋氏)
石橋氏は、スマートスピーカー単体としてGoogleやAmazonの商品と競合していくという考え方は毛頭ないと強調している。今回発表されたTH-GW10も、自然言語応答サービスにはAmazonのAlexa Voice Service(AVS)を採用している。
スマートスピーカーは、音声によって様々なサービスやスマートホーム機器を操作するインターフェースの先進性を最もわかりやすく切り出すデバイスのひとつだ。今後はそれがテレビや冷蔵庫、エアコンなどにビルトインされていくことも有り得ると石橋氏は説明する。今回発売するスマートスピーカーは、東芝ブランドの製品、あるいは様々なパートナーと組みながら音声インターフェースを統合したスマート家電製品を展開していくための第一歩でもあるという。
その中で東芝映像ソリューションが秋に北米市場に向けて発売した「TH-GW10」はどんな製品なのか、あるいは今後どんなビジネスに発展していくのか。製品を開発した担当者にインタビューした。
今回取材に応えていただいたのは東芝映像ソリューションでスマートスピーカーの開発に携わる石橋泰博氏と西岡竜太氏だ。
■スマートスピーカーで「モノ売りからコト売り」へ
はじめに「TH-GW10」がどんな製品なのか、スマートスピーカーの概略を簡単に振り返っておこう。製品の詳細については記者発表会レポートを合わせて参照して欲しい。
円筒形デザインの筐体にはフルレンジのスピーカーユニットのほか、モーションセンサーとナイトビジョンを付けた動画記録用のカメラを内蔵。AIアシスタントにはAmazonの「Alexa」を採用した。通信機能はWi-Fi内蔵により定額制音楽配信を含むクラウドサービスを楽しんだり、スマホとBluetoothでペアリングしてデバイスに保存した音楽が聴けるほか、ZigBee、Z-WAVEといった近距離無線通信規格をサポートするホームIoTデバイスにも簡単につなげるホームゲートウェイ機能を搭載している。
オーディオまわりは、先ごろ国内市場向けにもスマートスピーカー「G3」「P3」を発売したオンキヨーグループとの共同開発によるもので、ベースの性能はオンキヨーの北米モデル「VC-FLX1」と共通になる。
本機に接続したホームIoTデバイスや内蔵カメラの制御を行うためのモバイルアプリ、カメラで記録した映像を保存するクラウドストレージなどのサービスは、TH-GW10を購入したユーザーであれば無料で使うことができる。
北米では12月から販売がスタートしており、200-300ドル前後での販売が見込まれている。スマートスピーカーとしては上位クラスの価格設定とみていいだろう。
今回、同社が東芝ブランドから初のスマートスピーカーを商品化した背景には、「モノ売りからコト売り」へビジネスを広げていく狙いがあると石橋氏が説明する。
「従来の東芝は、オーディオビジュアル機器を開発して単品として販売するモノ売りのビジネスを主軸に展開してきました。そのスタイルはこれまで通り続けながら、家電機器の強みを活かせるソリューションを形にし、ユーザーの皆様が“やりたいコト”の目線から魅力的な製品やサービスを提案したいと考えました。たとえば、テレビのレグザシリーズ向けに提供するクラウドサービスの『TimeOn』が好例です。そういった思いからスマートスピーカーの開発をスタートしました」(石橋氏)
スマートスピーカーをデバイスとして販売するだけでは、コト売りにつながらない。そのため同社では、TH-GW10にIoTのゲートウェイ機能やモーションセンサー付きカメラを搭載し、アプリやクラウドサービスとともにスマートホームのソリューションをまるごと提供するというビジネスに仕立てた。
「日本でも最近、通信事業者や住宅メーカーを通じてスマートホームの製品やサービスがサブスクリプション型のサービスとして提供されるようになってきましたが、先行してスマートホームが立ち上がっていた北米では、個人のユーザーが自宅に必要なデバイスを自身で設置するDIYのスタイルが一般的になりつつあります。そのため北米ではホームセンターや家電量販店のDIYコーナーのようなところでスマートホームのためのIoTデバイスが売られています。ただ、一般の方々はクラウドサービスまではDIYで用意できないので、そこを東芝が提供するかたちに、コト売りに発展させていきたいと考えています」(石橋氏)
石橋氏は、スマートスピーカー単体としてGoogleやAmazonの商品と競合していくという考え方は毛頭ないと強調している。今回発表されたTH-GW10も、自然言語応答サービスにはAmazonのAlexa Voice Service(AVS)を採用している。
スマートスピーカーは、音声によって様々なサービスやスマートホーム機器を操作するインターフェースの先進性を最もわかりやすく切り出すデバイスのひとつだ。今後はそれがテレビや冷蔵庫、エアコンなどにビルトインされていくことも有り得ると石橋氏は説明する。今回発売するスマートスピーカーは、東芝ブランドの製品、あるいは様々なパートナーと組みながら音声インターフェースを統合したスマート家電製品を展開していくための第一歩でもあるという。