連続企画第三弾
THX認証モデルの映像調整を追及! BenQ DLPプロジェクター「HT6050」で人気BD作品をさらに楽しむ
■作品視聴2.『宮古島』
(A) プロジェクターの特性を活かし、よりナチュラルな映像美を発揮させる調整
「THX」モードはRec.709に準拠し、色再現は実にナチュラル。広色域設定で強調感をおぼえる空の青さも、本機なら違和感が無く文句無しだ。
本作品は60p収録なので動きもスムーズかつナチュラル。フレーム補間機能もオフのままで良い。シャープネスのみ調整。重複するが、特に必要が無ければ「0」に設定しておこう。
(B) 作品の個性を理解しつつ、筆者の主観込みでよりヴィヴィドに楽しむための調整
自然映像なので、記憶色から離れないためにも、カラーバランスに優れた「THX」モードを基本にしたい。画作りとしては、南国の日差しが感じられるよう、明るくパワフルな方向に調整するのが良いだろう。
映像の暗部に効く「輝度」は「40」まで低減。暗部が引き締まってコントラスト感が向上し、相対的に明部も輝き感が増す。また、色純度も向上したように感じるはずだ。暗部が黒く潰れがちになる設定だが、本作品は暗いシーンが少ないので、そうした副作用の心配は少ない。
ガンマを2.2に弱めると、砂浜が太陽を照り返す様が力強く感じられ、南国の日差しがリアルさを増す。ブリリアントカラーを「オン」にすると、さらに砂浜の白さとパワーが増すが、少々色が洗い流されてしまう。
また、「THX」モードはRec.709ベースで少々モノ足りないこともあり、カラーエンハンスで盛るのはアリ。「3」くらいから色が飽和し、ハイビスカスの花ビラのグラデーションが飛んで平面に見えてしまうので、「4」を限界値としてお薦めしたい。
■作品視聴3.『サマーウォーズ』
(A) プロジェクターの特性を活かし、よりナチュラルな映像美を発揮させる調整
ナチュラル志向なら、田舎の風景シーンを基準に調整しよう。本作品においては、シャープネスをデフォルトの「10」のままにしておくと、線画特有の輪郭線がボヤけなくて良好だった。「10」以上に強く設定すると、シュートが現れてジャギーが目立ってくるのでNGだ。
ランプは「省電力」で黒が落ち着き、色は強調されずに“乗り”が良くなる。この作品の制作基準情報は無いものの、色温度は、緑ゲインと青ゲインを出荷状態から「100」に増した。全編を通じて、色温度は少し高めの方がカラーバランスは良く感じる。
(B) 作品の個性を理解しつつ、筆者の主観込みでよりヴィヴィドに楽しむための調整
「OZ」のCG的シーンは、本作品を楽しむ上で大切。非現実感を高める方向で思い切って調整を楽しみたい。映像モードは「VIVID」を選択。ゲーム画面のような、あるいは未来のような、非現実感が得られる。
「VIVID」モードでは、本機が備えるエンハンス機能「DLTI」や「DCTI」などを利用していて、シュートがかなり目立つ。ヴィヴィッドでありつつも違和感が無いよう、シャープネスをデフォルトの「15」から「8」に抑えた。
フレーム補間を「高」に設定すると、ジャダーでブレブレの映像が滑らかになり、残像感も無くなって見やすくできる。自然映像でフレーム補間を強く設定すると、ヌルヌルとした動きが不自然に感じるが、アニメ作品はそうした副作用を感じにくいので、積極的に利用したい。
BenQホームシアタープロジェクター「HT6050」は、THX認証の正確な再現性をベースとしながら、設定によって印象の大きく異なる映像へと調整が行える、汎用性の高いモデルだ。ここまでBenQのホームシアタープロジェクター3モデルを検証してきたが、それぞれが個性を発揮し、調整も一律の数値ではない。デフォルトで用意されたメーカー推奨の設定もひとつの基準として、ぜひ好みの映像へと追い込んでみて欲しい。
(鴻池賢三)