【PR】評論家・高橋敦が“K2 Bluetooth”を聴く
JVCの“K2"搭載ヘッドホン“N_W”「HA-SD70BT」実力チェック! “高音質ワイヤレス”の魅力とは?
それが特に映えた曲はCornelius「いつか/どこか」だった。広い空間にピンポイントで音を置いていくように構築された印象の曲だ。そこを十分に楽しめるBluetoothヘッドホンやイヤホンはあまりないのだが、これはそこを楽しめるモデルのひとつ。ハイエンド的とまでは言わないが、ワイヤレスとしては音のフォーカスの決まり具合やタイトさに秀でており、音を滲ませず緩ませず「ここに」「そこに」ピンポイントに置く、その置き方の再現性をしっかり備えている。
エレクトリックギターの歪みのエッジの立ち方、アコースティックギターの音色に乗る弦の金属的な響きなど、高域から超高域の感触も自然。ドライバーの能力などヘッドホンの地力としてのそれに余裕があることはSD7で証明されているが、それがBluetoothモデルでも失われていない。
■K2テクノロジーのオン/オフで音質傾向はどう変わる?
ということでまずはこの曲に集中して「K2」のオンオフを試してみよう。
オフにしてみると、特にアコースティックギターの音のフォーカスが少し甘くなるように感じた。そこでオンに戻して何が違うのかを比較。オフだと、音の本体とそこから広がる響きが好ましくない繋がり方をしてしまい、その響きまで含めた音像全体として、ぼんやりと大柄に感じられてしまう。
対してオンでは、音の本体は明瞭に見えた上で、響きも本体とは別の、しかし音の本体に付随する成分としてクリアに広がってくれる。この違いが空間表現、明瞭な定位、音の配置の優秀さを生み出しているようだ。
エレクトリックギターでは、ギターソロのディストーションのエッジの豊かさの他、クリーントーンの艶やかさにも違いを感じられた。どちらにしてもよりスムーズな印象だ。
他にも、ボーカル中心のポップス、アコースティックのインストと様々聴いてみたが、基本的には「常時K2オンでよいのでは?」というのが結論だった。曲ごとに効果の感じ方の大小の違いはあっても悪い方に変わることはなく、ずっとオンで何も問題なさそう。せっかく用意してくれたボタンだが、実際に使う機会は少ないかも……。
強いて言えば、Robert Glasper Experiment「Human」では、ドラムスのヒップホップ的なざっくりとした質感、重低音ベースのボリューム感、全体がダークで低重心な雰囲気などを強めに引き出して楽しみたいなら、「あえてのK2オフ」もありか? という気もした。そういう例がないわけではないので、実際に購入したユーザーの方は、当面は様々な曲でオンオフを試してみたほうがよいだろう。
JVCはこれまで様々なオーディオ機器やレコーディング設備にK2を採用し、磨き上げ続けてきた。Bluetoothとの組み合わせでの新たな活躍もこれまでの蓄積があってこそだ。このモデルそのものはもちろん、これまでのK2の継続的な開発姿勢も改めて高く評価したい。
(協力:JVCケンウッド)