Spotifyとの比較も
“全く違う” ロスレス音質。日本初のロスレス音楽ストリーミング「Deezer HiFi」を使ってみた
女性ボーカルとしてリッキー・リー・ジョーンズ『Pop Pop』から「Dat Dere」を聴く。「高音質ストリーミングモード」で聴くSpotifyの音もなかなか良いのだが、Deezerの最上位クオリティ(1,411kbps)で聴くとその差は明らかだ。Deezerのほうが音がクリアで、各楽器の音がほぐれている。また音場もDeezerの方が一回り広い。ボーカルのニュアンスや楽器の残響も、Deezerは明瞭かつ自然。さらにウッドベースの輪郭に注目しても、Deezerのほうがよりはっきりとしている。
なお、Deezerのアプリでは音質を「Standard」(128kbps)、「Better」(320kbps)、「HiFi」(1,411kbps)から選べる。HiFiモードで聴いたあと、クオリティを320kbpsなどに下げると、明らかに音質が落ちることが体感できた。
なお、Spotifyの音が悪いわけでなく、音が中央に寄って一体感があり、小音量の場合、Spotifyの方がパンチがある音に聴こえるかもしれない。また、Roonで聴いたCDリッピング音源の方が、Deezerよりさらにクリアネスが高いと感じた。
Weezerの1stから『Say It Ain't So』は、冒頭のソロギターの音ですぐに違いがわかり、Deezerの方が生々しく高解像度。そこにベース、ドラム、ボーカルと楽器が加わっていくのだが、Deezerのほうがそれぞれの音が明瞭で、分離も良い。リッキーもそうだったが、音楽の抑揚表現については、Deezerのロスレス音源というメリットが浮き彫りになる。それだけに音量を上げていくと、より違いもわかりやすくなる。
ちなみにCDリッピングとの比較は、こちらもCDのほうがDeezerより一歩鮮度の高さを感じさせる音だったが、これはCD再生にRoonを用いたことも大きいはず。Deezerの再生アプリは現状、出力を排他モードにする設定などは見当たらず、この点で不利であろうことは言い添えておきたい。Deezerのロスレス再生に対応するオーディオ機器との組み合わせで、その本領を聴いてみたいところだ。
ほかにも数曲を聴き比べたが、上記で述べた2曲と同様の傾向を確認できた。従来のロッシー圧縮とは一線を画した音質という印象だ。
なお再生中に一つ気になったのは、ギャップレス再生には現時点で対応していないようであること。何枚かのアルバムで試してみたが、いずれも曲間でギャップが発生していた。
待望のロスレス音楽ストリーミングが日本にもついに上陸した。音楽ストリーミングという手軽さの極みのような手段で、数千万曲がロスレスCDクオリティで聴けてしまうのは、一昔前から考えると、大げさでなく夢のようなことだ。使い勝手やプレイリストの充実などは改善の余地があると感じたが、まだローンチ直後なので、今後に期待したいところだ。30日間無料で利用できるので、Deezerの音をぜひご自宅の試聴環境で確かめてみてほしい。
(編集部:小澤貴信)
Deezerは「音の密度感や絶対的な情報量が全く違う」
執筆:土方久明
Deezerの音質を評価すべく、Spotifyと音質を比較する形で試聴を行った。
自宅試聴室で、PCオーディオ環境を構築する。トランスポートとなるパソコンにはMacBook Pro (Mac OS High Sierra 10.13.1)、DACにSOULNOTE D-1、再生ソフトウェアは、それぞれDeezer純正アプリ(現在はβ版)とSpotify純正アプリを利用した。
Deezerアプリを立ち上げ、ユーザーIDとパスワードを入力する。画面デザインは海外版とほぼ同じで、プレイリストアイコンの一部が日本語表記に変わっている程度だ。J-Popなどのジャンル表記は、現時点では確認できなかった。
まずは本日さまざまなストリーミングサービスに提供されニュースとなった、「宇多田ヒカル」を検索ウインドに入力してみた。すると「Utada Hikaru」と表記されたアーティストが出てきた。ついに邦楽がCDクオリティかつ定額ストリーミングで聴けるようになったのかと感無量だが、宇多田ヒカルがSpotifyで聞けるのは来年1月8日からということで、比較できなかった(残念)。
気を取り直し、女性Jazzボーカルでは定番のダイアナ・クラール『ターン・アップ・ザ・クワイエット』からtrack3の「L-O-V-E」を聞いた。最初にSpotifyで再生した後、Deezerを聞いたのだが、これが、予想以上に音が違う。
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