Spotifyとの比較も
“全く違う” ロスレス音質。日本初のロスレス音楽ストリーミング「Deezer HiFi」を使ってみた
Mac用のアプリがまだβ版のみの提供で、日本語にも未対応だったので、まずはパソコンのブラウザで各機能をチェックする。トップページにはジャンル、プレイリスト、チャート、新譜などの各項目が表示される。ここからプレイリストや楽曲を探していく。
プレイリストやアルバムを「お気に入り」として自分のライブラリに追加していくのも他のサービスと同様だ。
再生中の楽曲は左下のウィンドウに表示される。キュー再生にも対応。アルバムや楽曲ごとの「+」アイコンを押すと、「次に聴く」「キューに追加」「マイミュージックに追加」「プレイリストに追加」などの操作が選べる。
数千万曲を用意する音楽ストリーミングでは、レコメンドやプレイリストなど、音楽との「出会い」のツールが重要になる。Deezerの場合はどうだろうか。あらかじめ用意されたプレイリストの数は、SpotifyやApple Musicと比べるとそれほど多くない印象だ。
ホーム画面の最上段には、学習型の自動再生機能「Flow」ウィンドウが設置されている。これはユーザーの再生履歴から好みを予測して自動再生するレコメンド再生機能となる。プレイリスト上にピックアップされた曲に対して「♡」「×」を選択していくことで、好みをさらに学習させることができる。まだ使い始めたばかりなので、現時点ではレコメンドの精度などは判断できなかった。また、ジャンルごとに自動で楽曲を抽出して再生してくれる「ミックス」機能も用意されている。
気になったのは、日本語対応がまだ完全ではない点。特に邦楽のアルバム名や楽曲名がほとんどローマ字表記になっている点は、早期の改善を望みたい。
一通りブラウザから使ってみた印象としては、SpotifyやApple Musicと比べると、まだインターフェースが洗練されていない。アイコンの並び方などが雑然としており「何がどこにあるのか」を直感的に見つけにくいと感じた。また各項目の見出しやプレイリスト名も、日本語がやや不自然なものが多い(たとえば「私たちの間で今年流行したこと」など)。
はじめから聞きたいアーティストやアルバムが決まっているなら、検索ウィンドウから検索するのがてっとり早いのだが、これについても現時点では日本語対応が不完全だ。
例えば「宇多田ヒカル」と検索すると、ヒットするのは「Utada Hikaru」のみ。ここに行けば、まだSpotifyでも配信されていない宇多田ヒカルのアルバムが一通り揃っているのだが、アルバムと曲名は全てローマ字表記だ。
「東京事変」と検索すると、「Tokyo Incident」が引っかかる。これが東京事変の海外名ということなのだが、せっかくアルバムはライブラリーに揃っているのに、もったいないと感じる。
また、ドイツの有名なアートロックバンド「CAN」を探そうと検索ウィンドウに「CAN」と入力すると、アーティスト名の文字列に「can」が入ったアーティストが300も表示され、しかも表示順が前後のアルファベットなどでソートされる。これでは探すのに一苦労だ。「Prince」を探す際も同じ理由で苦労した。
もちろんこのあたりは、サービスイン直後ということで、随時更新、修正されていくことだろう。早期のUI改善を期待したい。
■Deezerのロスレス音楽ストリーミングの音質をチェック
何と言っても気になるのは音質だ。のちほどオーディオ評論家の土方久明氏によるファーストインプレッションも掲載させていただくが、まずは筆者の印象を述べていきたい。
同じ音源でDeezer、Spotify、CDリッピング(非圧縮AIFF)がそれぞれ用意できるものを中心に比較試聴してみた。試聴には、配信クオリティの確認が行えることもあり、DeezerのMac用アプリを使った。SpotifyもMac用アプリで聴いた。CD音源はRoonで再生した。試聴環境は弊社試聴室で、DACはラックスマン「DA-06」、アキュフェーズのアンプ、スピーカーはモニターオーディオ「PL200」だ。CD音源は確認程度に聴いた。
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