DAPとしてスマホとしての機能性の高さにも改めて注目
音質なら今なお“一択”。オンキヨーのハイレゾスマホ「GRANBEAT」を使い続ける理由
ふだん筆者がGRANBEATを使っているときの、サウンド設定についても紹介しておきたい。DACのロックレンジ精度を調整してジッターを軽減する「LOCK RANGE ADJUST」は“Narrow”側に1つ動かした位置(右から3番め)に設定。「デジタルフィルター」は“SHARP”、「アップサンプリング」は”オフ”、バランス接続の設定は前述の通り“ACG”でセッティング。個々の項目に有意な音質差があり、それを好みに合わせて調整できるのもGRANBEATの魅力だ。これからGRANBEATを使い込むなら、ぜひ自分に合った設定を探してみてほしい。
■DAP流の優れた操作性をスマホで実現。転送アプリも強力
GRANBEATはポータブルオーディオプレーヤーとしての“使い勝手”についても、万全の機能を用意している。そのポイントは大きく2つある。
ひとつは本体サイドにある物理キーの存在で、「Music」アプリを表示させることなくダイレクトに楽曲再生が行える。スマートフォンをポケットに入れて操作したいという時にも便利で、ちょっと一時停止したいときなど小回りが効く。本体サイドにある大きなダイヤル型のボリュームもポータブルオーディオプレーヤーらしい操作性を確保している。
もうひとつは、音楽プレーヤーとしてのソフトウェアの作り込みだ。ホーム画面のウィジェット、そして一部設定は通知画面にまで一体化されており、スマートフォンという範疇を超えた音楽プレーヤーであることを実感できる。
オンキヨーのオリジナルである「Music」アプリは、通常のアーティストやアルバム、ジャンル等の楽曲検索、プレイリスト再生という機能だけでなく、音源フォーマット(FLAC、DSF等)による絞り込みにも対応、さらに曲名のフリーワード検索と他のポータブルオーディオプレーヤーにはない機能まで揃う。同社が実際に使うユーザーの意見を正しく理解した上でフィードバックして作り込みを行っている結果といえる。
パソコンからの楽曲転送については、専用の転送ソフト「X-DAP Link」が秀逸だ。シンプルな操作性で、内蔵ストレージとmicroSDカードに、楽曲のジャンルやファイル形式なども反映しつつ転送を振り分けられるのがいい。プレイリスト編集も対応しており、転送ソフトとしての機能性は高い。
現役のGRANBEATユーザーである立場として、スマートフォン単体でその音質がGRANBEATの領域に到達した存在は、発売から1年近くを経た今でも他に存在しないと断言しても良い。同時に、スマートフォンとして日常的に持ち歩けることは、他のポータブルオーディオプレーヤーにはない絶対的な価値といえる。
ポータブルオーディオファンの要求するサウンドクオリティを満たす音楽リスニングを考えつつ、スマートフォンから1台を選ぶなら……。現時点でもGRANBEAT以外の選択肢はないというのが筆者の結論だ。