ハイファイ性能が向上、ハイレゾ再生に大きな威力を発揮
タンノイ「PRESTIGE GR」+スーパートゥイーターを、人気プリメイン3機種と組み合わせて聴く
■日本を代表する3ブランドのハイエンドプリメインを組み合わせ
組み合わせるアンプを紹介しておこう。アキュフェーズの「E-650」は純A級方式で、出力素子にはパワー MOS FETを3パラのプッシュプルで採用。強力な電源部と出力回路により30W(8Ω)から150W(1Ω/音楽信号に限る)まで、出力値はリニアに増えている。ダンピングファクターも800を達成。もう一つの特徴は、このメーカー独自のAAVAというボリュームをバランス回路で構成した点で、これはフラッグシップのプリアンプ「C-3850」と同仕様ということになる。その音はA級独自の純度の高さや魅力的な音色感を持ちつつも開放的で、大きな駆動力を持っている。
ラックスマンの「L-509X」は、メーカーではワンボディセパレートという言い方をしている。音量調節は電子制御方式の新LECUA1000を搭載。そしてプリアンプ回路の出力段にディスクリート構成のバッファー回路を持っているのがまず特徴。オリジナルの増幅帰還回路「ODNF Ver.4.0」に、L/R独立のブロックコンデンサーや高音質パーツの数々などを惜しげもなく投入。出力は120W(8Ω)、240W(4Ω)だが、透明感高く、きわめてハイ・トランジェントな瞬発力のある音が際立っている。
エソテリックの「F-03A」はフルバランスの回路でデュアルモノラル構成を徹底した純A級だ。たとえば、電子制御でコントロールするラダー抵抗切替型ボリュームや3バンドのトーンコントロールに至るまでフルバランス回路を徹底。出力段は3パラレル・プッシュプルの3段ダーリントン回路を構成し、増幅素子としては「Grandioso M1」まで一貫して使っている大型バイポーラLAPTトランジスターを採用。連続動作17A、瞬間動作34Aという電流供給能力を持っている素子だ。音は密度高く、オーガニックな音色感を持ち、これみよがしではないトルクフルな駆動力が魅力的である
■スーパートゥイーター追加で全体音の密度と分解能が高まり、スピーカーの魅力が大きく向上
テストはエソテリックの試聴室で行った。まずKensington/GRとCanterbury/GRの、スーパートゥイーターの有る/無しの効果を確認していった。両機に共通しているのは、付加していない状態でも高域のレンジに不足は感じず、やや暖色系の音の色彩感で、十分な空間表現力や定位の良さを持っており、魅力的なスピーカーたちだ。しかし一旦「Prestige GR SuperTweeter」を付加して鳴らし出すと、その音の魅力は随分と増す。
最初に書いておかなければいけないのは、スーパートゥイーターを付加したと言っても、高域に強調感が生まれないことだ。音圧は5段階に設定できるが、それぞれのスピーカー推奨設定から1段階ほど下げた設定を使用。カットオフは16kHzに設定。またKensington、Canterburyの天板のどの位置に置くかについてはテンプレートが付属しており、その位置で聴いたこともあって、セッティングが出来た良い状態だったのだ。
スーパートゥイーターを付加することによって印象的なのは、全体の音の密度が高まり、特に空気感やミュージシャンの気配といった要素が良くなる点だ。音としては低域から高域までの音のつながりがスムーズになり、分解能が高くなる。個々の音像が立ってくると言ってもいい。
同時に、たとえばアコースティック・ギターの音色がまろやかになったり、コーラスのハーモニー感がより良く鳴り合って聴こえる。よく言われるように、低音も密度が上がって音像がまとまってくるし、意外なのは音の鮮度感まで向上。総じて言えば、ハイファイ性能がアップしつつ、音楽的な満足度も横溢することになる。