MCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅回路を完全に実現
【レビュー】エソテリック「E-02」 ー レコード再生の最高峰にアプローチできるフォノアンプ
エソテリックの新フォノアンプ「E-02」は、全段フルバランス構成を採用。MCカートリッジを使った全段フルバランス伝送にも対応する。今回は「MCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅」を早くから唱えてきた藤岡誠氏が、この「E-02」を分析した。
■最高水準のポテンシャルを有する全段フルバランス回路のフォノアンプ
「MCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅」は、アナログレコードの高音質再生の最高峰の技法だと私は確信している。その素晴らしさを広く知ってほしいと考えて、一昨年あたりからPHILE WEBを中心に「MCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅方式へのお誘い」と題して具体的な技法などについて展開した(連載:藤岡誠のオーディオワンショット記事一覧)。関係各位の協力や読者の賛同もあってその認知度は高まり、対応製品も出回り、昨今のブームとしてのアナログ再生の支えの一端となっている。
そしてつい最近になってエソテリックが、全段フルバランス回路のフォノアンプ「E-02」をこの7月20日から発売した。このフォノアンプは私が提唱しているMCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅において、現時点で間違いなく世界最高水準のポテンシャルを保有していると思っている。
■MCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅とは
それではここで、何故MCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅にアプローチするのか? について簡単に述べよう。
私たちはこれまで、1本のトーンアームでMM型やMC型を代表とする各様なカートリッジを必要に応じて、あるいは好みに応じて交換しながら個別の音質・音調の違いを長い間楽しんできた。
しかし、1本のアームで各種各様のカートリッジを簡単に交換できるという利便性と汎用性を重視・優先したために、MC型カートリッジ本体の優れた能力を抑え込んでしまっていたのである。つまり、発電コイルの片側をアースに接続せざるを得なかったからである。例えは良くないかもしれないが、天才を凡才と同じ教室で学ばせることに似ている。
それでなくともインピーダンスが低く、出力電圧がMM型の1/10程度に過ぎないMC型は、SN比の確保が命題だ。例えば、一般的なアンバランス伝送のフォノケーブルのアースラインから混入する各種ノイズは最大の敵。これまでほとんどの人たちは、優れた利便性と汎用性ゆえ、最大の敵を見過ごしそれに気がつかないまま、あるいは知らされないまま、長い年月を過ごしてきてしまったのである。
MCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅の方式は、私からいわせれば、まさに反省の意味を込めてのアプローチなのだ。本来なら同方式はCD方式の登場(1982年)以前、アナログオーディオ全盛期ともいうべき1970年〜1975年頃には広く普及させるべき技法だったと深く後悔しているが、今となっては仕方がない。遅きに失した感はあるが、私としてはアナログレコードのかつてなかった高音質再生を広く実現させるべく同方式を強力にサポートしていくことになる。幸いにして、そのための環境がかなり整い始めた。
本機E-02は現時点でその環境の高度な牽引役となるフォノアンプなのである。それでは以下、概要等について見て行こう。
■最高水準のポテンシャルを有する全段フルバランス回路のフォノアンプ
「MCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅」は、アナログレコードの高音質再生の最高峰の技法だと私は確信している。その素晴らしさを広く知ってほしいと考えて、一昨年あたりからPHILE WEBを中心に「MCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅方式へのお誘い」と題して具体的な技法などについて展開した(連載:藤岡誠のオーディオワンショット記事一覧)。関係各位の協力や読者の賛同もあってその認知度は高まり、対応製品も出回り、昨今のブームとしてのアナログ再生の支えの一端となっている。
そしてつい最近になってエソテリックが、全段フルバランス回路のフォノアンプ「E-02」をこの7月20日から発売した。このフォノアンプは私が提唱しているMCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅において、現時点で間違いなく世界最高水準のポテンシャルを保有していると思っている。
■MCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅とは
それではここで、何故MCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅にアプローチするのか? について簡単に述べよう。
私たちはこれまで、1本のトーンアームでMM型やMC型を代表とする各様なカートリッジを必要に応じて、あるいは好みに応じて交換しながら個別の音質・音調の違いを長い間楽しんできた。
しかし、1本のアームで各種各様のカートリッジを簡単に交換できるという利便性と汎用性を重視・優先したために、MC型カートリッジ本体の優れた能力を抑え込んでしまっていたのである。つまり、発電コイルの片側をアースに接続せざるを得なかったからである。例えは良くないかもしれないが、天才を凡才と同じ教室で学ばせることに似ている。
それでなくともインピーダンスが低く、出力電圧がMM型の1/10程度に過ぎないMC型は、SN比の確保が命題だ。例えば、一般的なアンバランス伝送のフォノケーブルのアースラインから混入する各種ノイズは最大の敵。これまでほとんどの人たちは、優れた利便性と汎用性ゆえ、最大の敵を見過ごしそれに気がつかないまま、あるいは知らされないまま、長い年月を過ごしてきてしまったのである。
MCカートリッジ出力のバランス伝送・増幅の方式は、私からいわせれば、まさに反省の意味を込めてのアプローチなのだ。本来なら同方式はCD方式の登場(1982年)以前、アナログオーディオ全盛期ともいうべき1970年〜1975年頃には広く普及させるべき技法だったと深く後悔しているが、今となっては仕方がない。遅きに失した感はあるが、私としてはアナログレコードのかつてなかった高音質再生を広く実現させるべく同方式を強力にサポートしていくことになる。幸いにして、そのための環境がかなり整い始めた。
本機E-02は現時点でその環境の高度な牽引役となるフォノアンプなのである。それでは以下、概要等について見て行こう。