Moto X4で検証した
【検証】Android 8.0時代到来、SIMフリースマホでも「LDAC」と「aptX HD」は使えるか?
■LDACもaptX HDもOK、しかし問題も…
検証には、オプションのコーデックとしてAAC/aptX/aptX HDをサポートするオーディオテクニカ「ATH-DSR9BT」、それにくわえてLDACをサポートしているパナソニック「RP-HD600N」をチョイスした。プレーヤーアプリは、「ONKYO HF Player for Android」にハイレゾ再生を可能にするプラグイン「HD プレーヤーパック」を導入している。このアプリを選択した理由は、出力しているオーディオ信号のサンプリングレートを表示できるからだ。
最初はATH-DSR9BTから。ごく普通に「設定」アプリでペアリングを行ったところ、aptX/aptX HDロゴの表示はないものの(aptX/aptX HDをサポートするAndroid端末ではペアリング成功時にロゴを表示することが多かった)、HF PlayerでFLAC 96kHzの曲を再生したところATH-DSR9BTのインジケーターが紫色に点灯した。これはコーデックにaptX HDを使用していることの証で、素直に解釈すれば48kHz/24bitの信号を受信(デコード)していることになる。HF Playerの表示も「FLAC 96kHz/PCM 48kHz」と、どうやらaptX HDで再生できていると判断してよさそうだ。
続いてはRP-HD600N。このヘッドホンには利用中のコーデックを示すインジケーターがなく、Moto X4側で確認するしかない。とはいえ、ペアリング完了時点でどのコーデックで接続したか表示されないため、少々工夫が必要となる。
再生中のHF Playerを見ると、「FLAC 96kHz/PCM 44.1kHz」という情報が。どのコーデックかは不明だが、LDACのベストコンディション(96kHz/24bit)でないことは確かだ。これでは、コーデックとともにサンプリングレートとビット深度の確認も行わねばならない。
そこで利用したのが「開発者モード」。「設定」アプリの端末情報にあるビルド番号を7回タップすると有効になり、Bluetoothオーディオの再生条件を変更可能になる。再生中に開発者モード画面にアクセスすれば、コーデックだけでなくサンプリングレート/ビット深度も確認できる寸法だ。
もう一度RP-HD600NでFLAC 96kHz/24bitの再生中に開発者モード画面を開いたところ、コーデックはLDAC、サンプリングレートは44.1kHzでビット深度は16bitと表示された。接続/切断を10回ほど繰り返したが、再生条件に変化なし。LDACで再生されることは確かだが、これではそのメリットを生かせない。
手動でサンプリングレートを96kHz、ビット深度を24bit、念のために再生音質を「音質重視で最適化(990kbps/909kbps)」として再生したが、HF Player側の表示は「FLAC 96kHz/PCM 48kHz」で96kHzとはならない。アプリ側の出力の問題という可能性もあるため、オーディオのシステムレベルの情報を確認できる「Neutron」で確認したところ、96kHzの出力があることを確認できた。ただし、RP-HD600Nとの接続直後は44.1kHzと表示されたので、手動で96kHz/24bitの設定定が必要なことには変わりない。
今回のテストはMoto X4限定のため、すべてのAndroid OS 8.0デバイスで同じ結果になるとはいえないが、SIMフリー端末でもLDACやaptX HDを利用できることは確かだ。しかし、Bluetoothヘッドホンをペアリング/再接続したときにどのコーデックが利用されるか、本来のサンプリングレート/ビット深度が発揮されているかがわからなければ、どこか落ち着かない気持ちになってしまう。
現在のコーデックがインジケーターで確認できるATH-DSR9BTのように、ヘッドホン側にその機構を持たせる手もあるが、サイズに制約が多いインナーイヤーに同じことを求めるのは難しい。SBCオンリーの時代はともかく、ここまでコーデックやサンプリングレート/ビット深度のバリエーションが増えた以上、ひと目で接続状況がわかるUIの開発を端末メーカーに期待(お願い?)したいところだ。