【特別企画】44.1kHz/16bitで約3,600万曲を配信
オーディオファン待望の「ロスレス音楽ストリーミング」登場!「Deezer HiFi」の音質を山之内正がチェック
最初に楽曲数について触れておきたい。約3,600万曲という膨大なライブラリとなるとその規模がむしろイメージしにくいかもしれないが、例えば洋楽であれば、ストリーミング配信自体を認めていない一部のアーティストをのぞけば、メジャーな楽曲は網羅している印象だ。
ひととおり使ってみた実感としても、同規模程度の楽曲数を公言している他のストリーミングサービスと変わらない印象だ。後述するように、オーディオファンにとっても馴染み深い作品も多い。邦楽については、現時点では限定的ではあるが、宇多田ヒカルをはじめメジャーなアーティストの配信も行われている。
■プレイリスト再生にも対応し使い勝手も良好。日本語化も着々と進んでいる
次に操作性についてだが、Deezer HiFiは前述の通り、Windows/Mac向けに専用アプリケーション「Deezer Desktop」を用意している。今回はMac版で試聴を行ったが、煩雑さのないシンプルな作りで直感的に操作できる。
ジャンル別の推奨プレイリストに加え、リスナーの好みを反映したリコメンド機能もそなえ、そのとき聴きたい曲を登録するキュー再生にも対応。ストリーミング再生に求められる基本的な機能は一通り揃っているので、アカウント作成後すぐに使い始めることができるし、使い続けるにしたがってリコメンドの精度も上がってくる。
このアプリは現状ベータ版とのことだが、メニューや設定画面はすでに日本語化されていて、違和感なく使いこなすことができた。なお、ブラウザでもほぼ同様の操作が可能となっている(ロスレス/320kbps/128kbpsで再生音質を切り変えられるのはアプリのみとなる)。
アプリおよびブラウザの日本語対応はほぼ完了しているようだが、楽曲データの方はいまも作業が進行中と思われ、人気の高いアーティストやアルバムはカタカナや漢字で入力しても普通に検索結果が表示されるが、検索にヒットしない例も少なくない。ピンク・フロイドやレッド・ツェッペリンがカタカナで呼び出せないのは意外だったが、そんなときは「Pink」や「Led」など一部でもアルファベット入力を試せば解決する。
ビリー・ホリデイ、エラ・フィッツジェラルド、ダイアナ・クラール、ノラ・ジョーンズ、マデリン・ペルーなど女性ヴォーカルは日本語での検索結果が多数表示された。ヴォーカルを好む音楽ファンが多いことを視野に入れ、優先して日本語化が進められたのかもしれない。ジャズは全体に日本語対応がかなり進んでいるようで、むしろロックより探している音源を見つけやすいと感じた。
日本人アーティストでも英字で入力すれば出てくる例も多く、指揮者の「山田和樹」は該当なしだが「Kazuki Yamada」では認識。注意したいのは検索ワードの言語によって表示結果が大きく変わる場合がある点で、たとえば「ケニー・バレル」では14アルバムしか表示されなかったが、「Kenny Burrell」では297アルバムが表示された。いまのところDeezer HiFiをフルに活用するにはユーザー側が少しだけ工夫する必要がありそうだが、日本語対応は速いペースで進行しているようなので、時間とともに解決するものと思われる。
アプリからは、歌詞表示機能も利用できる。宇多田ヒカルのアルバム(日本語で検索可能、曲名も正確に表示される)を再生すると、一部の曲のみだが英語とローマ字表記を交えて歌詞を表示し、演奏ともリンクして表示された。
歌詞はLyricFindのデータを利用しているようで、フランスのChristine and the Queensのアルバムでは、英語とフランス語を使い分けた曲の歌詞を原語通り正確に表示し、実用性はかなり高いと感じた。今後はぜひ、日本語表示にも対応してほしいところだ。
Deezer HiFiは日本で初めての高音質ストリーミングサービスということもあり、熱心な音楽ファンを中心にこれから急速に関心が高まることが予想される。既存のストリーミングサービスの音質にそれほど不満を感じていない音楽ファンもいるかもしれないが、そんな人にこそロスレスとロッシーの差の大きさを実際に体験して欲しい。高音質と聴き放題という2つの要素をかけ合わせると、音楽を楽しむスタイルは大きく変わる。クオリティの高い音を媒介にして、聴き逃していたアルバムや探し求めていた音源と出会う機会がきっと生まれるはずだ。
(特別企画 協力:Deezer Hi-Fi)