[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第204回】話題の新ブランドAr:tio「CU1」レビュー! a.i.m.技術で音の“刺さり”を狙い撃ち
■あえて独自の分岐着脱方式ケーブル
使い勝手や機能性の面での大きな特徴は、独自の分岐着脱方式を採用したケーブル周り。イヤホン本体にリケーブル端子を搭載するのではなく、ケーブルの途中、左右への分岐部分に着脱機構を仕込んである。オプションでバランス駆動ケーブルも用意する。
イヤホン左右本体でのリケーブル機構と比較した際の利点は、「物理的な強度」と「交換の容易さ」の二点だろう。
イヤホンの左右それぞれの本体に搭載するリケーブル端子は、スペースの制限から超小型端子になりがち。装着時やケーブルの付け外しなどでダメな角度に強めの力をかけてしまったりすると、損耗させてしまいやすい。
対してこのモデルのような分岐部での交換機構は、設置場所がケーブルの途中なので装着中使用中にも力が逃げやすいし、端子も一般的なリケーブル端子より大きく頑丈、構造もシンプルで抜き差しにも力の角度や加減とかのコツは特に必要ない。壊れにくさ、壊しにくさを期待できる。
そしてケーブル交換時のことでいえば、力の加減や角度に気を使わなくてよいことに加えてもっと単純に、「左右二箇所ではなくその一箇所の付け外しで済む」というのもメリットだ。普通に“楽”。
もちろん左右でのリケーブルにも「より広い範囲での断線に対応できる」「音質調整目的でのリケーブルの場合、その交換範囲の広さが効果的」など、十分な利点はある。どちらの方式が優れていると一概には言えない。
その上で例えば、普段の使い勝手の面を優先したいという方、シングルエンド/バランス駆動を使い分けていてケーブル交換の頻度が高いユーザーなどには、こちらの分岐部交換方式は便利なのではと思う。