64 AUDIO ファウンダーに聞く、新ユニバーサルIEM「tia Trio」「U12t」に搭載された最先端技術の秘密
■FXC搭載によりミドルレンジを強化したハイブリッドイヤホン「tia Trio」
いま数多くあるイヤーモニター(IEM)ブランドの中で、64 AUDIOの他社にない強みはどこにあるのだろうか。ヴィタリー氏は問いかけに対して、その一つは最先端のテクノロジー、もう一つがカスタマーケアであると素速く切り返した。
テクノロジーについては、この後に紹介する新製品の説明で納得していただけるものと思う。64 AUDIOのファンに対する熱い思いをヴィタリー氏は次のように語っている。
ーー 『どの製品も決して安いものではないので、購入していただいたユーザーのケア、サポートについては万全を尽くしています。皆様からいただくフィードバックは新製品開発の大きな糧にもなっています。日本のファンの皆様とは、ミックスウェーブを通じて密接に繋がっていることを実感しています。寄せていただいた多くの意見が、今回の新製品を設計する際のデザインや使い勝手に反映されています』
ヴィタリー氏は最初に「tia Trio」の解説から切り出した。2基のBA型ドライバーと1基のダイナミック型ドライバーによるハイブリッド3ウェイ・3ドライバー構成のユニバーサルIEMだ。
本機は昨年発売された4ウェイ・4ドライバー機「tia Fourte」から広げたラインナップで、BA型ドライバーは2kHz - 10kHzまでの帯域をカバーするハイ・ミドル、8kHz - 22kHzの高域をカバーするtiaハイの2基。高域用のBA型ドライバーに同社独自の「tia(Tubeless In-ear Audio)」テクノロジーを採用した。
高域用のBA型ドライバーをノズルの出口にほど近い場所にレイアウトして、通常のイヤモニが多く採用する音導管に起因する付帯ノイズを回避。ピュアなサウンドを実現するというものだ。
中低域の再生は9mm口径のダイナミック型ドライバーが担う。『ドライバーの選択自体にベストを尽くしていますが、さらに64 AUDIOの独自技術によりミドルレンジのバランスを強化しています』とヴィタリー氏が言及しているのが、同社のラインナップではtia Trioにて初めて採用された「FXC(Frequency Extension Chamber)」のことである。
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