ドライバーまでデジタル信号を直送
オーディオテクニカ「ATH-DSR5BT」レビュー。フルデジタル・ワイヤレスイヤホンの実力とは?
DUAL PHASE PUSH-PULL D/A DRIVERSは名称にもあるように、D/A変換をドライバーが担っており、ドライバーの持つメカニカルな要素がローパスフィルターの役割も果たしている。
これまでのピュア・デジタル・ドライブ方式の製品と大きく違うのは、2つのドライバーユニットを用いている点と、ユニットそのものが小さい点だ。AT1962の開発は、このイヤホン用ドライバーに最適化されたテクノロジーを用意したと言えるだろう。
またDUAL PHASE PUSH-PULL D/A DRIVERSに用いられている、2つのドライバーユニットを対向配置させ、逆位相でプッシュプル動作させる技術に関しては、大きさに制限のあるイヤホンにおいて高磁力・高駆動力を確保できるという大きなメリットがある。
ドライバーユニットを理想的な前後直進運動させる点においても有効だが、各々の口径を変えたのは「ATH-CKR90」で用いられたノウハウが生きているのだろう。ATH-CKR90では口径の違うドライバーユニットを対向配置させることで低域の量感を確保しつつも、高域の伸びや解像度の向上にも繋がっており、ハイレゾ対応への効果ももたらした。
本モデルはBluetooth接続専用でありながら高音質化に多くの技術を投入し、DUAL PHASE PUSH-PULL D/A DRIVERSの特性そのものは45kHzまで確保しているうえ、aptX HDコーデックでは48kHz/24bit伝送も可能。ハイレゾ相当の音質を存分に楽しめる設計となっている。
イヤホン部は音響導管からハウジングまで、不要共振を抑える精密切削加工によるアルミ製で品位が高く、より上質なワイヤレスイヤホンとして仕上げられている。このイヤホン部は小さくまとめられており、非常に装着性は良い。
ネックバンド部に関しては金属フレームを中心にする構造で、内蔵充電池は約8時間という駆動時間を持つ。4つのドライバーユニットを駆動させる構造であってもこのバッテリー持続時間を実現できたのは、従来より10〜15%の省電力化を実現したというAT1962あっての事だろう。
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