能動的360度撮影のススメ
「360度撮影って面白いの?」 半信半疑で「Insta360 ONE」を使ったら世界が変わった
■江ノ島で “マトリックス”
面白いといえば、Insta360 ONE名物「バレットタイム」機能を忘れてはならない。仕組みを説明すると、カメラ底部の三脚用ネジ穴にヒモを繋いだら、ブンブンとInsta360振り回しながらスーパースロー撮影をしちゃおうというものだ。その結果がコチラである(バレットタイム撮影の解像度は1,280×720)。
コレ考えた人、天才でしょ! ヒモだと心許ないという人は、専用自撮り棒にバレットタイム用の別売りハンドルを取り付ける方法もある。そちらの方がより安定した映画『マトリックス』のような映像が撮れるはずだ。
■江ノ電対決
ロケ地に江ノ島を選んだのは、結果的に大正解だったと思う。日も暮れてきたので、江ノ島をあとにして、最後に「FlowState」の効果を検証してみることにした。やり方は単純だ。左手にInsta360 ONE + 専用自撮り棒、右手にiPhone 8 Plus + OSMO Mobile 2を持って、江ノ電を全速力で追いかける!
ジンバルは手ブレ補正だけでなく、滑らかなパンニングも可能なアクセサリーであり、本来は360度カメラと比較しても意味は無いのだが、とはいえ、ご覧の通りFlowStateの手ブレ補正性能は驚くほど強力だ。おそらくソフトウェアの処理だけで補正していると考えられるが、これならばメーカーが “ジンバルを上回る” と豪語するのも分かる。単体で使っている時にはその恩恵に気付かなかったが、きっと最初のブラタモリ風映像だって、FlowState無しではガタガタと揺れまくっていたに違いない。う〜む、凄いな。
■「能動的360度撮影」のススメ
何だか凄い、凄いばかり言っているが、Insta360に不満が無いわけではない。一番の問題はバッテリーの減りが早いことだろう。モバイルバッテリーは必須という感じだ。それからスペック上は360度4K画質とはいえ(固定映像として書き出す場合はフルHD画質になる)、実際に受ける印象はそこまでの高画質ではなく、光量が足りないシーンでは途端にノイジーになるのも気になる。Insta360 ONEアプリのUIについても、お世辞にも洗練されているとは言えない(編集作業には画面の大きいiPadを使うのがオススメです)。
しかし聞くところによれば、Shenzhen Arashi Vision社は創業してまだ4年目。当時大学生だった社長があっという間に360度カメラを作り上げたという。このInsta360 ONEだって、発売から半年後の大規模アップデートで、まるで新製品のように大変身させてしまったのだ。そう考えると、今回のテストで感じた不満点もすぐに修正されてしまうかも知れない。
最初は食わず嫌いだった私も、「360度撮影ってこんなに能動的な世界だったのか!」と認識を改めたというのが率直な感想だ。撮影の際には周囲の安全に十分配慮して欲しいが、読者の皆様も、この夏の思い出をInsta360 ONEで残してみるのはいかがだろうか?
(秋山 真)