LINN DS対応も検証
「Roon」がバージョン1.5に進化! MQAデコードがどう行われているかチェックした
繰り返しになるが、Roon1.5ではMQA対応機器を接続すると自動でMQA設定が行われるはずだ。もし行われない場合には、MQAレンダラー搭載のDACでは「Renderer only」、MQAフルデコーダー搭載のDACの場合には「Decoder and Renderer」を選択する。
また、MQA音源でも再生ソフトウェアによって挙動が異なることもあるということもわかった。MQAはまだ新しい技術であるため、こうした見えにくい注意点があるということも留意すべきだろう。
(佐々木喜洋)
■RoonのLINN DS対応を検証する
Roon1.5は、LINNのネットワークプレーヤー「DS」「DSM」を出力デバイスとして設定して、Roonの音源をネットワーク経由でDS/DSMから再生することが可能になった。
LINN DS/DSM側については、Roon対応させるためには現時点でベータ版の最新ファームウェア「Davaaer 63」にアップデートしておく必要がある(ベータ版なのでアップデートは自己責任となる。アップデートは設定ソフト「Konfig」から行える)。Davaaer63にアップデートすれば、これまでのDS/DSM全機種がRoonに対応する。
佐々木氏が上述している通り、今回のRoon対応は、LINN DS/DSMがいわゆる「RoonReady」に対応したのではない。これまで各社のネットワークプレーヤーがRoonに対応する場合は、RoonReady(独自プロトコル「RAAT」によるRoonのネットワーク再生)で対応するかたちだった。
しかし、今回のDS/DSMについては、RAATとはまた異なる独自のプロトコルによってRoonのネットワーク再生に対応しているのだという(具体的にどのようなプロトコルなのかは明らかにされていない)。
さて、Davaaer63に対応したKLIMAX DS/3を用いて、Roonの再生を検証した。KLIMAX DS/3を、RoonをインストールしたMacと同じネットワーク上に接続すると、Roonのオーディオ設定画面(Setting→Audio)の「Networked」覧に、すぐにKLIMAX DSが表示。出力先として選択することができた。
KLIMAX DS/3からの再生についても、RoonReady機器と同様に、アプリから出力を操作するだけでRoonの再生を行うことができた。シグナルパスも以下の通りで、KLIMAX DSの対応上限である192kHz/24bit PCM、5.6MHz DSDも問題なく再生できた。Roon再生中には、KLIMAX DS本体には「Roon」と表示される。
Roon再生中に、LINNの操作アプリ「Kazoo」から通常のUPnPベースのネットワーク再生(NASに保存した音源の再生)を指示すると、すぐにそちらに切り替わる。また、UPnPで再生中にRoonからKLIMAX DSに再生指示を出すと、やはりすぐに再生が切り替わる。なお、Roonを再生しているとき、KazooにはRoonで再生している楽曲のアートワークと曲名が表示されていた。
このように、操作性についてはRoonReady機器と基本的に変わらない。LINN DSはそれ自体で操作性も含めた完成されたシステムを持っているが、DSユーザーならアップデートを行うだけでRoonという選択が加わる。UPnPとRoonの音質差については単純比較できないので明言は避けるが、今回の環境では思った以上に差が少なかったことは記しておく。
(編集部:小澤貴信)