【特別企画】高級帯でも変わらぬコンセプト
“真っ当な音づくり” を極めたら、凄いイヤホンができた。final「E5000/E4000」レビュー
今回はE5000を中心に紹介し、E4000については「E5000との違い」という観点から補足していきたい。補足がない箇所は両モデル共通だ。
■新構造に加えてMMCXも搭載、良質なケーブルが付属
サウンドの進化に寄与している最大の新要素は「アコースティックチャンバー」構造。筐体内部、自社開発ダイナミック型ドライバーの背面には音響レジスター、いわゆるフィルターを設置。それを通した先に独特の形状のエアスペース、アコースティックチャンバーが用意されている。
振動板にかかる背圧をそのフィルターとチャンバーで最適化し、中低域の特性を狙い通りにコントロールしているのだ。振動板背圧の制御は同社ハイエンドヘッドホン「D8000」でもポイントになっており、同社がそこを重視していることがわかる。
内部でのその改革に加えて、外観的に一目でわかる進化もふたつ。リケーブル対応とそのケーブルのクオリティ向上だ。
リケーブル対応はMMCX端子搭載で実現。端子を内蔵しつつ、シリーズの統一感を生み出すシンプルな筐体デザインもキープしている。アコースティックチャンバー構造もあってか、少し長めにはなったが、それでも十分にコンパクトだ。
またこのモデルでは端子部分までも自社開発している。これまでは定評ある部品メーカーから端子を仕入れていたが、それでも仕入れ後に自社で精度チェックをして、同社の求める基準に満たないものを弾く作業が必要だったという。“だったらもう自分たちで作ってしまおう!”ということになったそうだ。
ケーブルは高純度OFCシルバーコートケーブル。導体素材は桁違いの超高周波の伝送が要求されるスパコン「京」用のケーブルの開発および製造でも知られる潤工社との共同開発。この導体を使ったケーブルは同社の得意技だ。絶縁被膜も潤工社のノウハウを生かした低誘電率素材、PFAフッ素ポリマー。
柔軟性の高いPVCを採用した外皮、ほぐれないしっかりとした編み上げのおかげでしなやかさと適度な弾力も兼ね備え、取り回しも良好。ケーブルも筐体とお揃いのシルバーになったことで、全体のルックスもより美しく輝かしい印象になっている。