[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第213回】外音と音楽、両方聞こえてホントに便利! 『耳を塞がなイヤホン GP 2018』
■ambie「ambie wireless earcuffs」
続いて、ambie「ambie wireless earcuffs」を試した。
ワイヤードのモデルが好評を博し、先日にこちらのネックバンド型ワイヤレスモデルが追加された。
こちらも大まかには、耳を塞がない細さの音導管を使って音を耳の中に放出するというタイプ。こちらは特にスマートイヤホンというわけではなく、音楽主体の製品だ。だが、音楽主体と言っても音楽「だけ」に耳を向けるのではなく、「生活音に音楽を添えるように心地良くミックスすることで、いつでもずっとも音楽に触れていられる製品」というコンセプトのようだ。
耳を塞がなイヤホンとしての強みは、音導管方式という部分が共通しているXperia Ear Duoと近い。装着して音楽を流している状態での会話は、音量を極端に上げていない限りは全く普通に行える。特に製品ごとの細かな差が分かりやすい静かな室内においては、このモデルが会話の声がいちばん自然でいて聞き取りやすいと感じた。
使い勝手の面では、まず装着にはなかなか慣れることができなかった。耳たぶあたりから挟んで耳に引っ掛けるという装着方法、その装着のための動作がこれまでのイヤホンとは全く異なる。どう装着できれば正解なのかも経験がないのでわかりにくい。コツや感覚をつかむのには手こずりそうだ。
しかし、例えば「耳たぶに何かを着ける」という動作に慣れている女性であれば、そのハードルは少し下がったりするのかもしれない。実際、本連載担当の女性編集部員は、少なくとも僕よりはこれに適応していた印象だ。
しかし装着さえできれば、耳の穴を塞がれる感覚は全くと言っていいほどない。聞こえ方も通気もばっちり。これも「着けっぱなしでいられる」がコンセプトなので、付け外しが手軽であることより、着けた状態が快適であること重視!なのだろう。その方向性においては納得だ。
着けた状態の快適さだけを重視して、他はおろそかなのか?というとそんな事もない。ネックバンド型ワイヤレスの弱点「使ってないときにかさばる問題」は、バンドをくにゃくにゃなシリコン製にすることで軽減。ラフな扱いでコンパクトに収納できそうだ。もちろん首回りへの違和感も少ない。耳を塞がなイヤホンとしての部分を抜いて、ネックバンド型ワイヤレスイヤホンとしての使い勝手だけを見ても、高い評価に値する。
音楽再生の音調は……音楽の存在感を主張しすぎない!高域も低域も自然に控えめだ。ワイドレンジ感はないけれど、ナロウレンジという感じにもなっていない。ラジオ的なレンジ感に近いかもしれない。
普通のイヤホンではありえない音作りだが、前述の「生活音に音楽を添えるように心地よくミックス」に照らし合わせると、その狙いにぴったり合致する音だ。音楽を特別扱いして臨場感や迫力を引き出すことはなく、その他の周りの音と平等に耳に届けてくれる。こちら側から外への音漏れも、屋外の騒音下では皆無と言えるだろう。