「お手軽」から「本格」まで音楽リスニングの幅を広げる「ハブ」
iFi audio「nano iOne」を聴く − 音質/使い勝手/コストパフォーマンスの三位一体を実現したBT対応USB DAC
これまでにDSD 11.2MHz(最大では24.6MHz)やMQAへのいち早い対応、ユニークなアイデアを満載したアクセサリー機器など、その先進性と鋭い着眼点で瞬く間にトップブランドとなった、イギリスのiFi audio。そんな同社の製品群において是非とも紹介したいユニークなアイテムが存在する。その名も、nano iOne。DSD 11.2MHz対応に代表される先進性に加え、注目すべきはBluetoothへの対応。それでいながらリーズナブル・プライスにまとめられたこの「デジタルハブ」の利便性には、一度使うと手放せない魅力がある。土方氏にレビューいただく。
■先進的技術を落とし込んだシリーズ初Bluetooth対応機
最近スマッシュヒットを連発するiFi audioより、nanoシリーズ初のBluetooth対応DAC「nano iOne」が発売された。本機はいままでの同社DAC製品同様、多彩な入出力端子とハイスペックフォーマットへの対応、そして数々の高音質対策を、惜しげもなく小型ボディに詰め込んでいる。
手にしてみてまず感じるのは、シルバーを主体に色調を変えたフロント/リアパネルや数々の入出力端子。見るからにコストパフォーマンスが高そうだ。それを裏づけるように、USB(Bタイプ)入力、コンボタイプの丸型光TOS/RCA同軸デジタル入出力に加え、高音質コーデックAAC/aptXにも対応したBluetoothを搭載する。
近年Bluetooth接続可能なスマホやDAPを利用して、無線経由で音楽鑑賞をする流れが増えているが、そこに対応しつつも、多彩なデジタル入力によりパソコンを始め、BDプレーヤーやゲーム機などとも接続できるデジタルハブ的な使用が可能となっている。デジタル出力は、ガルバニック絶縁処理を施された上で、オーディオデータストリームを再クロック/再生成させる「REclock」と「REgenerate」を搭載。高音質なDDCとしても活用しても良いだろう。
音質の要となるDACチップには「PCMはマルチビットで処理し、DSDの1bit信号をネイティブ処理する」ことが可能なバーブラウン製チップを使用したとアナウンスされている。このクラスのデジタルオーディオ製品を牽引するiFi audioらしい、ハイスペックフォーマットへの対応力も特徴で、USB入力は384kHz/24bit PCM、および11.2MHz DSDに対応している。
再生可能スペックの高さやアクティブ・ノイズ・キャンセレーションなど上位モデルで採用された高音質化技術をそのまま下ろしてきていることも、コストパフォーマンスの高さを際立たせている。なお、電源供給はUSBバスパワーで、基本据え置き機器としての利用を想定しているため、バッテリーは搭載されていない。
■情報量が多くスピード感あるその音に何よりも驚く
まず、MacBookProとAudirvana Plus3を組み合わせ、USB接続で試聴を行った。『アンドレア・バッティストーニ指揮/イタリア・オペラ管弦楽・合唱名曲集』(96kHz/24bit FLAC)を聴く。フロントパネルのiFiマークが、フォーマットやサンプリング周波数により色彩が変化するのは、ちょっとした遊び心かもしれないが、驚いたのはその音だ。コンパクトなボディからよくこんな音が出るなと思うほど印象が良い。情報量が多く、楽曲にスピード感がある。「MEASURE」/「LISTEN」といデジタルフィルターで音調を変えられることも魅力だ。
続いてスマホBluetooth接続で、昨今英米で話題を集めるシンガーソングライター、『ジャロッド・ローソン』(257kbps AAC)を聴いた。圧縮音源なので当然先に聴いたハイレゾほどの音質的なインパクトはないものの、スピード感があるため印象が良い。嬉しいのは、AACとaptXという2つの高音質コーデックを備えていることにより、iPhoneとAndroid両方の端末で音質をキープした接続が可能なことだ。
昨今iFi audioは、その存在感を高めているが、nano iOneもその勢いを象徴するような製品と言えるだろう。
●Point 工夫次第でパソコンレスを実現
nano iOneはUSBバスパワー電源を採用したデジタルハブ。USB DACとして使う以外にもBluetoothアダプタとして使用できる便利さがあるが、その際に問題となるのがどうやって電源を取るかということだ。
その時に活躍するのが、USB電源アダプタ。これを使用することで、例えばパソコンが手元にない場合もアンプのそばにおいてBluetoothアダプタとして使用できる。
USB電源アダプタはもちろん付属。nano iOneそのもののサイズも小さいので、オーディオラックの隙間にも設置可能。その便利さは、一度使うと手放せなくなる。(編集部)
※本記事は「季刊Net Audio」26号所収記事を転載したものです。本誌の購入はこちらから。
■先進的技術を落とし込んだシリーズ初Bluetooth対応機
最近スマッシュヒットを連発するiFi audioより、nanoシリーズ初のBluetooth対応DAC「nano iOne」が発売された。本機はいままでの同社DAC製品同様、多彩な入出力端子とハイスペックフォーマットへの対応、そして数々の高音質対策を、惜しげもなく小型ボディに詰め込んでいる。
手にしてみてまず感じるのは、シルバーを主体に色調を変えたフロント/リアパネルや数々の入出力端子。見るからにコストパフォーマンスが高そうだ。それを裏づけるように、USB(Bタイプ)入力、コンボタイプの丸型光TOS/RCA同軸デジタル入出力に加え、高音質コーデックAAC/aptXにも対応したBluetoothを搭載する。
近年Bluetooth接続可能なスマホやDAPを利用して、無線経由で音楽鑑賞をする流れが増えているが、そこに対応しつつも、多彩なデジタル入力によりパソコンを始め、BDプレーヤーやゲーム機などとも接続できるデジタルハブ的な使用が可能となっている。デジタル出力は、ガルバニック絶縁処理を施された上で、オーディオデータストリームを再クロック/再生成させる「REclock」と「REgenerate」を搭載。高音質なDDCとしても活用しても良いだろう。
音質の要となるDACチップには「PCMはマルチビットで処理し、DSDの1bit信号をネイティブ処理する」ことが可能なバーブラウン製チップを使用したとアナウンスされている。このクラスのデジタルオーディオ製品を牽引するiFi audioらしい、ハイスペックフォーマットへの対応力も特徴で、USB入力は384kHz/24bit PCM、および11.2MHz DSDに対応している。
再生可能スペックの高さやアクティブ・ノイズ・キャンセレーションなど上位モデルで採用された高音質化技術をそのまま下ろしてきていることも、コストパフォーマンスの高さを際立たせている。なお、電源供給はUSBバスパワーで、基本据え置き機器としての利用を想定しているため、バッテリーは搭載されていない。
■情報量が多くスピード感あるその音に何よりも驚く
まず、MacBookProとAudirvana Plus3を組み合わせ、USB接続で試聴を行った。『アンドレア・バッティストーニ指揮/イタリア・オペラ管弦楽・合唱名曲集』(96kHz/24bit FLAC)を聴く。フロントパネルのiFiマークが、フォーマットやサンプリング周波数により色彩が変化するのは、ちょっとした遊び心かもしれないが、驚いたのはその音だ。コンパクトなボディからよくこんな音が出るなと思うほど印象が良い。情報量が多く、楽曲にスピード感がある。「MEASURE」/「LISTEN」といデジタルフィルターで音調を変えられることも魅力だ。
続いてスマホBluetooth接続で、昨今英米で話題を集めるシンガーソングライター、『ジャロッド・ローソン』(257kbps AAC)を聴いた。圧縮音源なので当然先に聴いたハイレゾほどの音質的なインパクトはないものの、スピード感があるため印象が良い。嬉しいのは、AACとaptXという2つの高音質コーデックを備えていることにより、iPhoneとAndroid両方の端末で音質をキープした接続が可能なことだ。
昨今iFi audioは、その存在感を高めているが、nano iOneもその勢いを象徴するような製品と言えるだろう。
●Point 工夫次第でパソコンレスを実現
nano iOneはUSBバスパワー電源を採用したデジタルハブ。USB DACとして使う以外にもBluetoothアダプタとして使用できる便利さがあるが、その際に問題となるのがどうやって電源を取るかということだ。
その時に活躍するのが、USB電源アダプタ。これを使用することで、例えばパソコンが手元にない場合もアンプのそばにおいてBluetoothアダプタとして使用できる。
USB電源アダプタはもちろん付属。nano iOneそのもののサイズも小さいので、オーディオラックの隙間にも設置可能。その便利さは、一度使うと手放せなくなる。(編集部)
※本記事は「季刊Net Audio」26号所収記事を転載したものです。本誌の購入はこちらから。