<山本敦のAV進化論 第165回>
Amazon「Echo Spot」速攻レビュー! 「画面」が付くとスマートスピーカー体験はこう変わる
音声コマンドに対するマイクの反応は、Echo、Echo Dotとおおむね同程度のスピードと精度を実現しているようだ。どの方向から話しかけてもこちらの声を正しく聞き取ってくれる。ただし、テレビ横に設置して番組を見ている状態では、マイクの反応がEcho Dotより少し悪くなるようだ。
静止画の写真データ表示は、アマゾンのプライムフォトにアップロードしたファイルをEcho Spotの画面でシェアしながら楽しめた。「写真を見せて」と話しかけると、「写真です」と答えてから、プライムフォトのアルバムに移動する。「今日の写真を見せて」と話しかけると、アップロードしたばかりの写真を選んで表示してくれた。
ネコを撮影した写真もアルバムに含まれていたので、「ネコの写真を見せて」と話しかけたら、「検索結果です」と答えが返ってきて、Wikipediaから拾ってきた画像が表示されてしまった。なおプライムフォトには動画ファイルもアップロードできるが、Echo Spotでは拡張子が.MP4のファイルが再生できた。iPhoneで撮影した動画は.MOVになるため、変換してサーバーに上げればEcho Spotで見られる。
ミュージックビデオなど一般の動画再生は「動画を再生して」と話しかけると、マイクロソフトの検索エンジンBingを使って「検索結果上位のビデオを再生します」と返事が返ってきて、ヒットしたDailymotion、Vimeoの動画が並んだ。YouTubeは見られない。Dailymotionの動画は画面を左右にスワイプすると早送りができる。「動画をスキップ」と話しかけると次に送ることができる。動画の拡大・縮小は音声で「ズームインして」「ズームアウトして」と話しかけて操作すればOKだ。
Amazon Prime VideoのEcho Spot対応がまだなので、他のウェブサービスの動画の画質を詳しく評価することは無用かと思うが、2.5インチの画面でも視認性はある程度高く、近付いて見ればドラマでもそこそこ楽しめた。アニメなど、Echo Spotで子どもも楽しめる作品がPrime Videoと連動して充実してくれば、スマートテレビやパソコンより手軽にVODが楽しめるデバイスとしてブレイクしそうだ。
ふだん使いで活用するなら、ミュージックビデオなどを再生しっぱなしにして、動画がオマケで見られる音楽用スピーカーとして気軽に楽しむのもいいと思う。Amazon Music Unlimitedに音楽ビデオがないことが残念なので、ぜひ早めに対応してほしい。
音質については、Amazon Music Unlimitedからマイケル・ジャクソンの「Beat It」を再生し、Echoと並べて比較した。やはり大きな差は中低域の再現力。Echoには大型2.5インチのウーファーが内蔵されているので、ベースやドラムスの低音など足もとの安定感がある。ボーカルの見晴らしも良い。比べて聴いてしまうとEcho Spotは若干迫力不足だが、中高域は十分に伸びやかでメリハリが効いている。特にボーカルは聴きやすいと感じた。
Echo Spotは音楽コンテンツの再生を始めたあと、マイクの反応が若干落ちるように感じられた。スピーカーから3mほど離れてウェイクワードを呼びかけてみたが、かなり強めに発声しないと認識してもらえない。この点ではEchoやEcho Dotの方が完成度が高いと感じた。