専用パワーアンプ搭載、aptX HD/LL対応
ワイヤレスでも有線と同等の音質! ShureのBluetoothケーブル「RMCE-BT2」はSE846も余裕で駆動
ポイントとなっているのは、Shure独自設計パワーアンプとaptX HDコーデックへの対応だ。
一般的なBluetoothケーブルでは、大手チップセットメーカーのパーツが使われており、スペースの都合もあって、ヘッドホンアンプ部もチップセットに一体化されているケースが大半だ。これは小サイズ&軽量が必須となるBluetoothケーブルでは有利なポイントだが、一方でサウンドクオリティの確保が難しい状態となっている。
各社とも様々なチューニングを行うことで音質的なデメリットを解消しているが、この「RMCE-BT2」ではもっと根本的な方法で解決を行っている。なんと、チップセット内のアンプは使わず、独立したShure独自設計のヘッドホンアンプを搭載したのだ。
これによって、ノイズ感が少なくダイナミックレンジの幅広い良質なサウンドを実現。「SE535」や「SE846」などの上級モデルが、本来の魅力を存分に発揮できるようになったのだ。さらに、コーデックがSBCのみだったRMCE-BT1に対して、RMCE-BT2ではAACやaptX、aptx HD、aptX Low Latencyにも対応。高音質、または低遅延なサウンドも楽しめる。
さらに、ユーザビリティにももちろん配慮。独立した高音質アンプを搭載すれば、消費電力が大きくなり、連続再生時間は短くなるケースが多いが、RMCE-BT2では大型のバッテリーを採用している。その結果、バッテリー持続時間は最大10時間となり、RMCE-BT1に対して2時間も向上した。
また、15分の充電で約2時間の再生が可能となるクイックチャージ機能も搭載され、いざという時のバッテリー切れ問題もしっかりフォローされている。大型バッテリーを搭載したため本体ユニットがやや大きくなり、重さも18g(「RMCE-BT1」に対して5g増)となったが、ケーブルの取り回しさえ工夫すれば、特に不満が生じることもない。使い勝手の面でも、RMCE-BT1と同等以上のレベルを確保していると言えるだろう。
■ノイズや歪みを徹底的に抑制、有線にも劣らない高解像度な上質サウンド
何よりも、良質なサウンドを存分に楽しませてくれるのが、大きなアドバンテージだ。今回はオンキヨー「GRANBEAT」とaptX HDで接続し、「SE215」「SE535 Special Edition」「SE846」の3モデルを試聴してみたのだが、その全てに共通して、ノイズ感も歪み感も圧倒的に抑え込められた、それでいてメリハリ表現がダイナミックな、とても活き活きとしたサウンドを聴かせてくれた。
特にノイズレベルの低さが顕著で、チェロのボーイングのニュアンスや、アコースティックギターの胴鳴りの様子など、繊細な表現がしっかりと伝わってくるようになった。おかげで、とてもリアルで活き活きとした歌声のヴォーカルが楽しめるようになった。
中でも、BA型ドライバーユニットをマルチ搭載する「SE535」や「SE846」とは抜群の相性を示し、それぞれが持つ魅力を存分に発揮している印象を持った。試しに有線ケーブルと比較試聴してみたが、ニュアンス表現の細やかさやメリハリの良さは、同等のレベルに達している。
解像感については、間にDD変換などのプロセスが入るためか多少不利な印象も持ったが、比較しない限りは全く気がつかないレベルの違いしかない。それよりも、Bluetoothケーブルでハイレゾの良さ、ニュアンス表現のきめ細やかさや空間的な広がり感などを、これほどまでにしっかり伝えてくれる製品はほとんど経験がない。「ああ、ワイヤレスでここまで上質なサウンドが楽しめるようになったのか」と大いに感動したくらいだ。
逆にスマートフォンとの組み合わせでは、内蔵アンプの実力が伴わず、有線の方が音質的に不利になるケースも考えられる。イヤホン製品の良さを存分に味わうためには、アンプのクオリティはとても重要なのだ。
RMCE-BT2は、「SE535」や「SE846」との組み合わせるにはピッタリの相性を持ち、気軽に上質なShureサウンドが楽しめる良質な製品に仕上がっている。なによりも、ワイヤレスでもハイレゾ音源ならではの上質なサウンドがしっかりと伝わってくるのが素晴らしい。Bluetooth接続であってもより良いサウンドを楽しみたいという人には、RMCE-BT2の導入を大いにオススメしたい。