注目のハイエンドDAPの実力
Lotoo「PAW Gold TOUCH」、その駆動力は? ― さまざまな環境に耐えうる、単体プレーヤーの理想が結実
■重厚感と澄んだ響きを両立、非常にS/Nも良い
PAW Gold TOUCHとMDR-Z1Rとの組み合わせでは、コシの太い低重心で安定的なサウンド傾向となる。ロック音源のリズム隊も制動良くしなやかな密度を持たせており、エレキギターのリフも粘りよく表現。ヴォーカルは口元の動きが鮮明で、輪郭を滑らかに描き出す。スッキリとしたオーケストラの旋律は濃密なローエンドの響きを弾力良くまとめ、軽やかなハーモニーとして聴かせてくれる。演奏前のカウントから臨場感に溢れたジャズの音源では、ボトム感ある爽快なホーンセクションの旋律と朗らかで響きの質の良いピアノ、シンバルワークの清々しさが印象的で、アンビエントの響きも落ち着き良く描写する。
DSD 11.2MHz音源でのピアノのアタックも重厚感と澄んだ響きを両立し、穏やかながらもきめの細かいタッチを見せる。ギターのプレイニュアンスも胴の太さを持たせた安定傾向で、ヴォーカルの生々しい口元の潤いを軽やかに引き出し、リヴァーブの余韻も階調細やか。非常にS/Nの良いサウンドだ。
PAW Gold TOUCH単体でも一般的なDAPでは駆動しにくいヘッドホンも難なくドライブできることが分かったが、例えばAROMA「A100」のようなバランス入力可能なポータブルアンプと組み合わせると、据え置きクラスの安定感とキレ良く力強い超パワフルな再生も可能となる。いずれにしてもPAW Gold TOUCHの機能性と音質、ヘッドホンの駆動力の高さは現在のDAPにおける最高水準といえるものだ。ポータブルアンプいらずでさまざまな環境に耐えうる、単体プレーヤーの理想が結実したモデルともいえるだろう。
■試聴音源
・飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』より「第一楽章」(96kHz/24bit)
・デイヴ・メニケッティ『メニケッティ』より「メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
・長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』より「トラック:レディ・マドンナ」(筆者自身による2.8MHz・DSD録音)
・『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』より「届かない恋」(2.8MHz・DSD)
・Suara「キミガタメ」11.2MHzレコーディング音源