縦型設置など使い方自由自在
4Kの超大画面が自由自在! LG「HU80KS」は単なるプロジェクターじゃない、新ジャンル家電だ
■明るい部屋でも十分に鮮明な4K映像
画質は最上級とは言えないが、実用性は十分で、コンセプトや期待に沿うものだ。筐体はコンパクトだが、レーザー光源を利用することにより映像が明るく、日没後のリビングなど、明かりが残っている部屋でも十分に鮮明な映像が得られる。食事やパーティーをしながらでも十分使えるレベルだ。
日中でも開口部の遮光を行えば、映像を確認できるはずだ。どうしても映像の明るさを上げたいなら、投写距離を短くして、画面を50インチ程度以下まで小さくするという手もある。
解像感では、まず、100インチクラスを至近距離で眺めても画素が気にならない密度感が嬉しい。4Kではディテールの再現性も大切だが、カジュアルに利用するなら、画素の粗が目立たないだけでも利用価値はある。Netflixで4Kのアニメ作品を再生してみたが、輪郭にジャギーを見つけるのが難しいほどで、フルHDとの違いは明らか。常時大画面映像に触れる生活を考えると、こうした4K効果は大きな恩恵となるだろう。
ちなみに本機は、完全暗室でシアター専用機として使うのはあまりおすすめできない。完全暗室では、他社のフルHD解像度DLPを用いた4Kプロジェクターと同等の黒浮きが見られ、暗部階調の表現力不足が気になる。また単板DLPなので、カラーブレーキングが目に付くのも事実。ただし、明るい部屋で明るい映像を見るにはこうした点は気にならず、やはり本機はシアター専用機ではなく、“日常に大画面を採り入れる” ために最適化されていることに気付く。
■テレビと同等以上のサウンド、Bluetoothも内蔵
音声は7W+7Wのステレオスピーカーシステムを内蔵し、本体のみでも一般的な薄型テレビと同等以上の、迫力あるサウンドが楽しめる。
さらに、Bluetoothで音声を飛ばす機能も内蔵。手持ちのオーディオシステムやポータブルスピーカー、ヘッドホンで音を聴くこともできるのだ。もちろん光デジタル出力やヘッドホン端子も備えているが、本機を利用するなら、ワイヤレスでスマートにキメたい。
ファンの音は聞こえるが、音色はマイルドで耳障りに感じない。無音を目指すホームシアター専用機には敵わないが、10万円前後のエントリープロジェクター製品とは明らかに異なる部分で、日常生活においては、まず気になることはないだろう。この点も、用途に適った設計と言える。
■生活に大画面を採り入れよう!
シアター専用ルームに本機を導入するのは野暮というもの。本機の価値は、「究極の高画質」ではなく、設置性や使い勝手に重きが置かれているためだ。
もちろん画質が悪いというわけではなく、明かりの残る日常生活空間に必要な明るさ確保を第一に、必要充分なコントラストと色再現性を確保しているバランス感覚には感心させられる。HDR10にも対応している。
ちなみに本機の場合、SDR映像をHDR風に表示する映像モードが用意されていて、こちらは少し明部を飛ばし気味にすることでダイナミックさを演出。レーザー光源による明るさも手伝って、なかなか見映えする映像が得られた。
いつでも見たい時に見たい場所へさっと移動して壁面に、就寝時は寝室に移動して天井にと、超大画面映像を壁紙的に日常に溶け込ませることができる。「プロジェクター」と構えるのではなく、家電の1つとして、あるいはインテリアとして、生活に採り入れてみてはいかがだろうか。
世界の美しい風景、水中など非日常の情景で壁面を飾れば、無味乾燥になりがちな都会暮らしも楽しくなる。本機ならそれが可能になるのだ。