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Pro IEMシリーズのイヤホン

Fender「NINE 1/NINE」レビュー。巧みな音作りを手頃な価格で楽しめる、新IEMのエントリー機

公開日 2018/12/30 08:00 草野晃輔
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クリアかつナチュラルなバランスが持ち味の「NINE」

続いてNINEを聴く。ダイナミックドライバー1基ゆえ、中〜高域の音の厚みは上位機に譲るが、骨太なサウンドは上位機同様。「ボヘミアンラプソディー」は、中〜高域で音場がやや狭く感じられたが、フォーカスが引き締まっていて、クリアかつナチュラル。バランスもフラットで過度に主張しない。

続いてダイナミック1発搭載のNINE(Olympic Pearl)

「CheerS」も同様に芯の通った低域とフラットで滑らかな中高域がバランス良くマッチする。音数の多い部分では高域がややタイトに感じられたが、二人の声の違いはしっかりと描き分けていた。

「Waltz for Debby」は、ピアノは響きが美しく、ベースやドラムはキレがある。それでいてアタック時の刺激は抑えられており、大げさに表現しない。この聴きやすいサウンドなら、ジャンルを問わず、長時間音楽を愉しめるだろう。



どちらを選ぶかと問われたら悩むところだが、ロックやポップス、アニソンをよく聴くならNINE 1がおすすめだ。ハイブリッド構成の威力はさすがで、低域の充実度も中高域の表現力のバリエーションもこちらが上回る。NINEが割安なだけに、比べてしまうとNINE1がやや高価に感じられるかもしれないが、価格差にも納得できるクオリティだ。

とはいえ、NINEのサウンドも負けていない。充実した低域にバランスのよい中高域が組み合わさる。ナチュラルさはこちらの方が上で、ジャズやクラシックを身構えずに長時間楽しめた。こちらも、価格以上サウンドと断言できる。

両機ともジャンルを問わず、楽曲の聴きどころをしっかり引き出して楽しませてくれた。音楽を知り尽くしたFenderの巧みな音作りを手頃な価格で味わえる、新スタンダートと呼ぶのにふさわしいモデルだ

(草野晃輔)


草野晃輔
【PROFILE】PC誌の編集記者、オーディオ&ビジュアル雑誌&WEBの編集部などを経てライターの道へ。ヘッドホン、イヤホン、スマホといったガジェット系から、PCオーディオ、ピュアオーディオ、ビジュアル系機器までデジタル、アナログ問わず幅広くフォローする。自宅ではもっぱらアナログレコード派。最近は、アナログ盤でアニソン、ゲームソングを聴くのが楽しみ。

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