独自方式ドライバーで理想の低音を追求。デノンのBluetoothイヤホン「AH-C820W」レビュー

■有線モデルにひけをとらない高音質に加えて、使い勝手の良さも魅力

3日間ほど外出時に帯同してみたが、Bluetoothイヤホンとしての拘りの数々にも感心した。ネックバンド両端にマグネットを内蔵、凹み部分にハウジングをあてがうと固定できる機構は、買い物時など一次的に耳から外す際に重宝する。

ペアリング中のスマートフォンに着信があるとバイブレーションで知らせる仕組みは、肌と触れる面積が広いネックバンド型ならではの機能だ。操作やバッテリー残量を日本語など7カ国語で知らせる音声ガイダンス機能も、心にくい拘りといえる。

ともすれば完全ワイヤレスばかり注目してしまいがちな昨今のBluetoothイヤホンだが、通信の安定性向上など課題は少なくない。その点、空間の制約が少なくアンテナ設計の自由度が高いネックバンド型に利があることは確かだ。このAH-C820Wは、そこにダブル・エアーコンプレッション・ドライバーというデノンの尖った技術を奢り、完全ワイヤレスでは難しいであろう安定した再生と高い音質レベルを実現している。特に低域における厚みがありつつも自然な量感は、従来のBluetoothイヤホンでは得がたかったもの。“音を楽しむ”ことを最優先するオーディオファイルにこそお勧めしたい製品だ。

（海上 忍）