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【特別企画】ESS製DAC搭載の注目機

1万円台DAPに“キラーモデル”登場! HIDIZS「AP80」の完成度はビギナーもマニアも唸らせる

公開日 2019/02/27 06:00 海上 忍
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直感的な操作を支える洗練されたソフトウェア

側面のホイールを長押しすると電源オン、6秒ほどでシステムが起動する。画面に表示された最大4つのアイコンをタップするとアプリが起動され、各アプリの画面左上の「<」をタップで終了(ホーム画面に戻る)となる。スマートフォン的な操作感であり、迷うことはないだろう。

手のひらにちょうどよく収まるサイズ。一方で小さすぎず、タッチ操作も行いやすい

音楽再生については「プレーヤー」アプリで行う。再生する楽曲は曲/アルバム/アーティスト/ジャンル/フォーマット/フォルダから選択可能。画面を左フリック、または画面上段右のアイコンをクリックすると再生画面が表示できる。

その直感的な操作性をアシストするのが、側面のボリュームホイールだ。クリッカブルな構造で押すたびにスリープをON/OFFでき、回転させると画面にボリュームコントローラが現れる。これを上下方向へすばやくドラッグ/フリックすると、瞬時にボリュームを大きく上げ下げできるので、曲間で録音レベルが変動するときなどに重宝する。

ホーム画面には「プレーヤー」をはじめ各アプリが並ぶ

「プレーヤー」の画面。曲/アルバムごとにジャケット画像も表示

また、いずれの状態からも画面下部を上方向にフリックすると、iOSやAndroid OSでいうところの“コントロールセンター”が表示され、音量調整や再生/曲送り、ゲイン切り替えやUSB-DACモードへの切り替え、BluetoothのON/OFFなどを手早く操作できる仕組みだ。

再生中の楽曲を表示する画面

画面下部を上にフリックすると操作パネルが表示される

これらの機能を支えるのはシステムソフトウェア、具体的には「HiBy OS」だ。開発元のHiBy(ハイバイ)は設立から10年以上の経験を持つ企業で、オーディオに関連したソフトウェア開発に強みを持つ。擁する技術者は30名以上、FPGAベースのオーディオプロセッサなど豊富な開発実績を誇り、所有する知的財産も数多い。同じ資本グループに属すHIDIZSの他にも、複数のDAPメーカーがHiBy OSを採用している。

HiBy OSはLinuxベースのオーディオに特化したOSということ以外、詳細は明らかにされていない。しかし、ALSA(Advanced Linux Sound Architecture)という低レイテンシのサウンドアーキテクチャを備え、安定したUSB Audio関連ドライバを持ち、多様なCPU/SoCで動作する。

パラメトリックイコライザーと音場調整に基づく複数のアルゴリズムで設計された音質調整機能「Mage Sound 8-Ball Tuning」(MSEB)など独自の音質関連機能は、このLinuxおよびHiBy OSという確とした基盤あってこそといえる。


エントリークラスDAPとは思えない透徹した空気感

AP80の試聴には、主にFinalのイヤホン「E2000」を使用した。E2000は、φ6.4mmダイナミック型ドライバーユニット1基というベーシックなカナル型だ。エントリークラスの製品ながら立ち上がり/立ち下がりは鋭く、高い解像感と見通しのいい音場で聴かせてくれる。フラット指向のサウンドはESS製DACと相性がよさそうなうえ、アルマイト加工されたアルミ切削ハウジングの質感がAP80にマッチするため敢えて選択した。

次ページ同価格帯のDAPの中でも抜きん出た音質

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