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まさに“一生モノ”のBluetoothスピーカー。Fender「INDIO」は佇まいからして別格、音を聴いて納得

公開日 2019/03/01 06:00 土方久明
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キャノンボール・アダレイ『Cannonball Adderley Quintet』では、スピーカーの眼前に飛び出してくるサックスやベースの重量感が抜群。1つ1つの音像がリアルで、楽曲の持つスモーキーが感じ取れる。「フェンダーで聴くオールドジャズなんてちょっと贅沢ではないか」とニヤニヤしてしまった。

同じ楽曲でMONTEREY/NEWPORTとも比較試聴したが、各楽器のはっきりとした音像、低域の適度な押し出し感など、3モデルとも音調の方向性が揃っていることがわかった。

NEWPORTの操作パネル。小型モデルながら仕上げも上質だ

こちらは「MONTEREY」の操作パネル。ギターアンプのそれと変わりない仕上がりだ

最大モデルのMONTEREYはさすがの再生能力で、特に低域の迫力が素晴らしい。また、もっとも小型となるNEWPORTは、聴感上の周波数帯域の伸びや最低域の表現力は他の2台に譲るものの、フェンダーの世界観はしっかりと継承している。スペースに限りのある空間に置く製品として絶妙なサイズ感を持っており、音がスピーカーにまとわりつかず、前方へ飛び出してくるので、活躍できる場は多そうだ。

そして、INDIOは後発モデルというだけあり、音作りがさらに洗練されている印象だ。カタログ上では出力60Wとなっているアンプ部は品質がかなり高く、数値から想像する以上にグルーブ感と低域の駆動力を感じられる。それもそのはず、本機を含めたBluetoothスピーカー3モデルは、同社の楽器用アンプを手がけるチームが開発を行っているのだという。アンプ部の力量の高さにも納得である。



フェンダーのBluetoothスピーカーは、マニアにはたまらないデザインも魅力だが、真に評価すべきは前へと出てくる明瞭な音だ。ハイファイオーディオでもロックの再生は意外と難しい。中域の充実度やグルーヴ表現など、トランスペアレントな再現性にとどまらない音楽性も重視されるのがその理由だが、INDIOはそのグルーヴ感をしっかり持ち合わせている。電源を入れるとギター音が鳴るというような、一連のギミックも楽しい。

デザインとサイズのバリエーションも魅力。好みやインテリアマッチングを考慮して選べる

フェンダーのギター/ベースアンプをBluetooth化して、オーディオ用にチューニングしたようにすら感じる……というのは言い過ぎかもしれないが、ピュアハイファイを探求してきた身からすると、デザインのオリジナリティも含め、カジュアルなBluetoothスピーカーの枠組みに入れるのは少々もったいなく感じるくらいのクオリティだ。

Bluetoothスピーカーの中では高めの価格帯に位置するモデルだが、それにより実現した類を見ない独創性には驚嘆させられる。間違いなく一生モノになるBluetoothスピーカーだ。

(土方久明)

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