“全部入り”のワイヤレス機をレビュー
ノイキャンが大幅進化、音質は成熟の域へ。デノンのBluetoothヘッドホン「AH-GC30」の充実ぶりに驚いた
最後にUSBデジタル接続のリスニングも試してみよう。こちらは最大48kHz/16bitまでの対応になるが、PCで作業をしながらBGM代わりにSpotifyなど音楽配信コンテンツを楽しんだり、Netflixの映画やドラマを見る際にハイクオリティなノイズキャンセリング・ヘッドホンが欲しいという方のために最適だと思う。音のバランスはUSBリスニングでもやはりブレない。新鮮な声の張りとツヤ、立体的な音場の広がり感がとても安定している。
ちなみに、本体に内蔵するバッテリーは約2時間でフル充電になり、そこから約20時間の連続音楽再生が楽しめるスタミナ設計。ふだん使いには十分なパフォーマンスを備えている。
生の音楽が持つリアリティと躍動感をありのまま忠実に伝える、デノンらしいヘッドホンサウンドだ。ポータブルオーディオ機器の普及によって多様化した音楽リスニングシーンの、「いつ」「いかなる」場面でもデノン・サウンドが楽しめる抜群の安定感は信頼が置ける。熟成期間を経て辿り着いたデノンの新しい“音楽ファンのための”ノイズキャンセリング+ワイヤレスヘッドホンの充実ぶりに脱帽した。
なお本機をベースにBluetooth機能を省略したワイヤードタイプの「AH-GC25NC」と、反対にBluetoothワイヤレス機能に特化したNC抜きの「AH-GC25W」という兄弟機も同時期に発売となる。ユーザーがそれぞれに必要な機能に合わせて選べる選択肢が充実したことも歓迎したい。
ただ、筆者なら間違いなくデノンのイノベーションを“全部いり”にしたAH-GH30を選ぶだろう。多くの方にぜひ試してもらいたい「デノンらしさ」をここに極めたヘッドホンだ。
(山本敦)