スピーカー「Theater Black」シリーズと組み合せてチェック
ネット動画も3Dサラウンドで! イマーシブ入門に最適なパイオニアAVアンプ「VSX-834」レビュー
ほか、パイオニアが長年培ってきた数々のサウンドオプティマイズ機能を搭載している。効果に定評のある自動音場補正「MCACC」、サブウーファーの位相を整える「フェイズコントロール」、そしてイネーブルドスピーカーで原理上生じてしまう、パスの長い高域を中心とする天井反射音と直接耳に届いてしまう低音成分との位相ズレを補正する「Reflex Optimizer」など、ホームシアターで実用的な機能を網羅している。
HDMI入力は4系統で、全端子18Gbps、ドルビービジョンを含む最新4K映像フォーマットがパススルーでき、UHD BDおよび4K放送への対応も万全である。
■ホームシアター用スピーカー「Theater Black」シリーズと組み合わせて設置
今回の視聴では、エントリーからミドルクラスのリビングシアターを想定し、スピーカーにはパイオニア「Theater Black」シリーズを組み合わせた「5.1.2」構成で行った。
「Theater Black」シリーズは、積層MDF材を熱プレス成形したマットブラックのキャビネットが共通する、映画の本場・アメリカで開発されたホームシアター向けスピーカーのエントリーモデル。回折効果による音の濁りを防ぐラウンド形状も特徴だ。
昨年トールボーイ/ブックシェルフ/センタースピーカー/サブウーファーの4タイプが発売され、今年1月にはイネーブルドスピーカー「SP-T22A-LR」がラインナップに追加。VSX-834との組み合わせは、イマーシブオーディオ入門には最適だろう。
日本の住環境では、天井高は2.4m程度が多く、この場合、天井にトップスピーカーを設置するとリスナーに近づきすぎて直接音が聴こえやすい。そのため、イネーブルドスピーカーを利用するほうが適度な拡散効果が得られ、より包囲感が得られるとして、ドルビーも同社のホワイトペーパー内で推奨している。
まずは設置から行っていく。スピーカーターミナルは、フロントL/Rがバナナプラグ対応のネジ式だが、他の5ch分はバネ式と簡素化されている。注意というほどではないが、太めのスピーカーケーブルを利用したいユーザーは留意しておきたいところ。実際のところ、サラウンドチャンネルにそれほど極太のスピーカーケーブルを用いる必然性はなく、実用上は問題を感じないはずだ。
設定はHDMI接続したテレビなど映像装置の画面に表示されるGUIと、本体のFL管表示を併用する。大項目はGUI、音場補正の進行確認など細部はFLに表示するという分担だ。設定の手順が画面上にウィザード形式を採用する上位モデルに比べ、やや簡素化された印象だが、調整後の結果等重要な項目はGUIで一覧表示して確認できることに変わりないので、こちらも実用上問題はないだろう。
■イマーシブならではの臨場感が「自然に」味わえる、入門に最適なAVアンプ
では肝心の視聴に入ろう。まず、UHD BD『グレイテスト・ショーマン』のチャプター6を鑑賞。本作品の中でも迫力を感じるステージシーンは、指のスナップ音が天井方向から聞こえるのが印象的で、残響音の再現性の高さから、空間の広さや雰囲気を感じ取ることができる。
エントリーモデルなから搭載された「Reflex Optimizer」の効果も抜群。同機能のオンとオフで聴き比べると違いは明らかで、オンに設定すると、空間がスッキリして音の分離が向上。また、オフ時に気になっていた、セリフがやや太く散漫な様子も、オンにするとセンタースピーカーにエネルギーが集中したかのように、よりリアルで明瞭となる。