ケーブル接続でAndroidスマホにも新対応
スマホ動画でも高品位録音をかんたんに実現!Shure「MV88+ ビデオキット」を使ってみた
マイクのセットアップ画面にはいくつか新機能が搭載されている。まず右上には「ロック」機能があり、セットアップした内容を保護できるようになった。さらに、低周波数をカットするフィルターによって環境騒音から生じる振動ノイズを除去する「ウィンドノイズリダクション」機能に代わって「ハイパスフィルター」を追加。オフ/75Hz/150Hzのパターンから選択できるようになった。コンプレッサー設定は「オフ/ライト/ヘビー」に「ミディアム」も追加された。
マイクの指向特性(ステレオ/カーディオイド/双指向性/Raw Mid-Side)、ステレオ幅調整の調節(60度から135度まで)はこれまで同様。録音シーンに合わせて最適化されたプリセットモードも、アコースティック/スピーチ/バンド/フラット/歌声の5つが引き続き用意されている。
MV88のレビューでも紹介したが、デフォルトのフラットを使えばどんな状況でも基本的に対応でき、内蔵マイクとの違いも明らかに分かるので、時間がない時や迷う時は「フラット」にしておけば良いだろう。また、こうした設定をアプリの撮影画面上で操作できるのも便利。初心者にも分かりやすくて、簡単にプロっぽく撮影・録音できるのが嬉しい。
また、iPhone直挿しではなくケーブルを介して接続するようになったことで、様々な撮影・録音スタイルに対応できる点も特徴だ。たとえばミニ三脚を使ってテーブルの上に設置し、取材で使うのであれば発表会の様子を収録したり、インカメラを使って自撮り動画の撮影もできる。マイクを横向きに配置して、指向性を双指向性にすれば、自分と相手の両方の声を高品質に録音できるので、インタビュー動画などの撮影にも最適だ。
今回は、とある発表会の取材とYouTube用動画撮影で使用してみた。取材時の撮影では、最初は床に座るスタイルだったので、取り付け用クランプとシューマウントを使ってスマホと接続し、ミニ三脚も使って設置。囲み取材時には、設置した状態から三脚部を持って撮影した。しっかり取り付けられているので、当たり前ながらスマホを手持ちで撮影するよりずっと便利だし、たくさん用意された付属品も、専用ケースに入れて丸めると、思ったよりかさばらない。他の使い方としては、たとえば長いケーブルを用いることで、ホームレコーディングなどでマイクを立て、少し離れたところで録音するといったことも可能。活用シーンの幅はかなり広い。
MV88+は前方の音と左右の音を組み合わせて集音するミッドサイド方式のステレオ・コンデンサー・マイクで、音質はMV88と比較すると全体的にやや開放的により自然に近くブラッシュアップしているとのこと。マイクを通した音声、直接話している声もそれぞれ撮影してみたが、場の空気感をそのまま表現する臨場感が見事。その上で、対象となる音声をしっかりと集音できていた。
最近ではニュースなどでも動画が増え、取材しながら短い動画制作をする機会も多くなっている。各地で取材をしながら動画撮影やライブ配信を行うような、スマホを駆使した「モバイルジャーナリスト」スタイルも、MV88+なら容易に実現できる。
アプリも秀逸で、分かりやすく操作できるのも大きな魅力の一つ。初心者にとって高価なカメラや機材は導入のハードルが高いが、今のスマートフォンであれば、十分に高画質な動画は撮影できる。このスマホにMV88+を組み合わせるだけで、撮影機材に詳しくなくても、誰もがShureならではの高品質な音声を組み合わせた動画制作ができるのだ。これから動画配信を始めてみたいという方にも、うってつけの製品といえる。