A10 Fusionチップ搭載
新「iPod touch」 レビュー。4年ぶり進化の意味、その価値
なお、背面カメラは8メガピクセルだが、最近のiPhoneのような、非常に美しい写真が撮れると期待してはいけない。明るいところではそこそこの写真が撮れるが、暗所ではノイズが盛大に乗る。あくまでオマケ的な機能として捉えた方が良いだろう。
ブラウザでのウェブサイト表示速度は、これまでの第6世代でもそれほど不満のないレベルだったが、そもそものアプリ起動速度など、処理性能の向上によりユーザー体験が上がっていることが確認できた。
■音楽プレーヤーとしてのiPod touch
iPod touchは、もともと音楽プレーヤーだ。最後に、その実力を確かめていこう。
まず最初にお伝えしたいのは、音楽プレーヤーとしての機能で、前世代機から進化した点はなさそうだということ。音質は前モデルと同様、他社製DAPに比べて特に秀でているわけではないが、バランスの良い調整が行われている。
あいみょんの「プレゼント」(AAC)やSuchmos「WATER」(AAC)などの圧縮音源、マイケル・ジャクソン「Billie Jean」(DSD 2.8MHz)、エルトン・ジョン「The Greatest Discovery」(FLAC 96/24)などのハイレゾ音源など、様々な楽曲を聴いた。従来モデル通り、中域と低域が若干豊かで、ベースの実在感が高い。ドラムはすごく深くまで沈み込むわけではないが、歯切れが良く、聴いていて気持ちがよい。一方でボーカルは若干線が細めで、高域も「刺さり」が気にならない穏やかさがある。これらは第6世代、第7世代に共通する特徴だ。
繰り返しになるが、手持ちの有線イヤホンをそのまま挿して聴けるのは嬉しい。本体がハイレゾ対応していないため、ハイレゾ音源をそのまま再生できるわけではないが、有線接続ではBluetooth接続に比べ格段に情報量が多くなることも、改めて確認できた。
音楽ファンにとって最大のトピックは、256GBの容量が選べるようになったことだ。iPod touchはセルラー通信が行えないだけに、メインの使い方はApple Musicなどのストリーミングサービスから好みの楽曲をダウンロードして聴く、あるいはiTunesから手持ちの楽曲を取り込む、というスタイルになるだろう。それだけに、多くの楽曲をローカルに保存しておけるのは頼もしい。
■ハイエンドiPod touchは登場するか?
第7世代iPod touchはスピードが速くなり、これまでの古すぎたスペックが、現在でも通用するものにアップデートされた。これで2万1800円から、という価格設定も納得感がある。音楽プレーヤーとして使うのがメインで、ゲームやその他もろもろのiOSアプリはそこそこ使えたらよい、という方にはオススメできる。
一方で、最新ゲームをバリバリ楽しみたい、高負荷なアプリをサクサク使いたいという方にとっては、スペックが心許ない。最新スペックを備えた大画面のハイエンドなiPod touchが出てくれば、このあたりの不満は一気に解消されるが、もちろん価格は高くなるだろう。今後のアップルの戦略に注目したい。