圧倒的なコスパを実感
卓越した表現力を備えた電源ケーブル。サンシャイン「SAC REFERENCE1.8」は手放せなくなる力作だ
ヴォーカルでは録音にも立ち合った藤田恵美、MAYAの最新アルバムが時間を巻き戻したようなピチピチした鮮度にて再現されたのだ。これぞ鳥肌もの。ギターやピアノ、リズム隊もそうであるが、無音から立ちあがる微小音のレスポンスとリアリティが抜群なのだ。ここは強く評価したい点で、そんな要素が重なりあい、グラデーションや色彩感が高まって高揚感が生まれるのである。
レンジの伸びやピーク方向でいえば、これも高価格ケーブルに遜色なく、躍動感たっぷりで心から興奮させられる。超大編成のマーラー『復活』は密集がほぐれて分離よく、ステージ感がおそろしく壮大だ。少しの濁りもなく、クライマックスでの融合が見事。オルガンの深々とした低音再現が印象に残った。
往年の名盤では、リマスターの違いが如実にわかって嬉しさがこみ上げる。手に入れてよかったと、誰もが実感できるはずだ。
アナログやMQAを含むハイレゾ音源でも、新鮮で力みのない自然体のサウンドを楽しませる。次々に思わぬ発見などあって、もう手放せなくなったサンシャインの力作ケーブルである。
■AVアンプでも効果は絶大。グレードが数段アップする
フォノイコライザーやDAC、プリ/パワーアンプなど、システム全部につけたくなる気持ちが高まったところで、最後にホームシアター視聴といこう。
AVアンプに装着してみると、のけぞる激変ぶり。サラウンドにはサブウーファーがあり、ここに効きそうである。安いアンプでも驚きの効果であり、グレードが数段アップしてくれたから嬉しい。
まずは映画音声の7.1chそのものがクリアで、方向感やセパレーションがよくなった。映像と一体感のある音像定位をしっかりと確保。空間全体のつながりや包囲、臨場感がアップするのは当然であろうが、とりわけインパクト大だったのが低域再生のクオリティだ。
『アベンジャーズ』や『スターウォーズ』、『アバター』などの戦闘シーンに含まれるLFEのぶ厚い超重低音が、怒濤の如く押し寄せる。圧倒的なエネルギーと風圧の迫力たるや凄まじすぎる表現力といってしまおう。電源部や増幅段にも、フレッシュなパワーとして注入されるのだ。それがサラウンドの空間再現にも確実に及ぶ印象を受ける。これは恐るべきAVアンプの戦闘能力の高まりだ。
サンシャインだからこその挑戦であり、期待を大きく超えた快心の出来ばえ。そして今の時代にフィットしたオンリーワンモデル。安くてよいものが主役となりそうである。
<Specification>
●導体:ディップフォーミング無酸素銅●導体処理:HSE処理(スタンダードプログラム)●外周シース:ウルトラフレックスPVC●プラグ:3Pモールド
MMCXイヤホンリケーブルも発売!
ラインナップは「KIWAMI mmcx3.5」「KIWAMI mmcx2.5バランス」の2モデルで、価格はともに¥16,000(1.2m/税抜)。ディップフォーミングOFCを導体に使用し、HSE処理を施した音場を重視したフラットなリケーブルに仕上がっている。
(林 正儀)
本記事は季刊・オーディオアクセサリー 173号 SUMMERからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。