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さまざまなカートリッジ/音源から多面的にチェック

現代に蘇ったトーンアーム名機。サエク「WE-4700」を人気カートリッジ 3種と組み合せて聴く

公開日 2019/06/24 06:00 小原 由夫
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実際に使われたパーツの写真を見せてもらったが、ダブルナイフエッジの軸受け部となる部品の鋭利な仕上げは、新旧でまったく別物といえる表面加工で、しかも1ピースに切削加工されている。数点のパーツをビスで組み上げていたオリジナルとは雲泥の差という印象を受けた。これならば、精度や安定性は断然違うはずだと実感した。

また、内部配線材に高品質な銅線であるPC-Triple Cを採用するとともに、その絶縁材に多孔質自然素材を用いているのも見逃せない。オリジナル機の当時は、せいぜい無酸素銅ぐらいしかなかったはず。この新素材が音質に与えるメリットは図り知れない。

3種類のカートリッジで「WE-4700」の実力を聴く

試聴はラックスマンのアナログプレーヤー「PD-171AL」に本機を装着して実施した。今回は本機のポテンシャルを多角的に分析するべく、傾向の異なる3種類のMCカートリッジを組合せてみた。フォノイコライザーアンプはアキュフェーズ「C-37」で、負荷インピーダンスを適宜切り替えて試聴している。

ラックスマン「PD-171AL」へは専用ベースで容易に取り付けられる

3種類のカートリッジで多方面からWE-4700のポテンシャルを探った

まずはデノン「DL-103」。デビューから既に半世紀以上経ち、今以て第一線(放送局等)で活躍する定番MCカートリッジだ。C-37の負荷インピーダンスは、聴き比べた上で100Ωに設定している。

デノン「DL-103」

ノラ・ジョーンズの新作『ビギン・アゲイン』では、ヴォーカルの瑞々しくしっとりしした質感が、厚みのある実在的な音像フォルムで再現された。硬さや冷たさは微塵もなく、温かみが感じられるトーンだ。

アレサ・フランクリンの「ロック・スティディ」はすこぶるゴキゲンな再生。グルーヴの権化とでも形容したいチャック・レイニーとバーナード・パーディのリズムセクションが繰り出すビートが、太く、思い切り分厚く再現され、アレサのソウルフルな歌声も濃密に描写される。カウベルのリズム、オルガンのアーシーなハーモニーもくっきりと立つ。

試聴は音元出版内の試聴室にて行った

ヒラリー・ハーンのバッハ無伴奏ソナタは、ヴァイオリンの旋律をやや太めの筆致で描いていく。この録音は透徹としたイメージで、響きも鮮烈なところがあるが、DL-103はそれを少しマイルドに聴かせる印象。

続いてカートリッジをフェーズメーション「PP-2000」にチェンジ。C-37のインピーダンスは30Ωに設定した。

フェーズメーション「PP-2000」

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