[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第235回】FitEarハイブリッド第1期最終回!静電型トゥイーター+ダイナミックな「FitEar DC」登場!
■DCは「EST系列」ではなく「Air2/Titan系列」と見るのが妥当?
つまりDCは、
・フルレンジ側に注目すればAir2/Titan系列のダイナミック
・トゥイーター側に注目すればEST系列の静電型
となる。
そうすると「静電型」にはやはりインパクトがあるので、そちらに引っ張られて、「DCはESTのフルレンジ側をダイナミックに変更したバリエーション」という印象を受ける方もいらっしゃるかもしれない。
しかし、これは同社の見解ではなく筆者の判断であるが、FitEar DCについては、「Air2/Titanのトゥイーターを静電型に変更したバリエーション」と理解する方が妥当ではないかと思う。
音楽再生帯域の大半を担当するのは「フルレンジ」ドライバー。そちらが共通することの方が、いくら特徴的な静電型とはいえ、補助的な役割であるトゥイーターが共通することよりも大きいはずだ。
とはいえ、それは「機構的にはそう理解するのが妥当か」というだけのこと。DCはAir2系列の最新上位モデル!なんてことではない。「既存ラインナップのすべてと対等に比較するべき、新たなバリエーション」という受け取り方で検討するのがよいだろう。
■須山氏の語る設計意図
一方、実際の開発や設計の意図は、FitEar須山氏ご自身がTwitterで語ってくれている。
Twitterモーメント「FitEar DC Custom」
内容から抜粋しまとめると、ポイントは以下3点。
▽【ESTとの比較】BAフルレンジでは、静電型トゥイーターの動きの軽やかさに対して相対的に追いつけない場面もあったところ、インラインダブルダイナミックドライバーとすることで時間軸変化への追従性を高めた。
▽【Air/Titanとの比較】BAトゥイーターではピーク抑制のために音響フィルターが必要だったが、静電型ではその必要がなく、より音抜けがよくスムーズで透明感の高い表現が可能となった。
▽【静電型トゥイーターについて】ESTでは静電型トゥイーターを7kHzあたりから上の帯域で使っているが、DCではさらにフラットな特性を得られる10kHzあたりから上の帯域で使うことで、高域の伸びやつながりをさらに滑らかなものとした。ただしそのために全体の能率はFitEar製品としては低めとなり、従来よりもDAP等のボリュームを上げる必要がある。