【特別企画】カッコ良さと次世代領域の音を両立
ローランドが音質監修。生まれ変わった“V-MODA"のフラグシップヘッドホン「M-100 Master」を聴く
試聴時のソース機器にはAstell&KernのDAP 「A&future SE100」と、Audirvana Plus 3をインストールしたMacBook Proに、ローランドのコンパクトなUSB-DAC「Mobile UA」を用いた。
音源はビルボードの「EDM Music & Dance Songs チャート」で上位爆進中のマシュメロ & バスティルの「Happier」(44.1kHz/24bit FLAC)。ポップスは、マドンナのアルバム「Madame X」の「メデジン」(88.2kHz/24bit FLAC)。アニソンは藍井エイルが8月にリリースしたロック調の「月を追う真夜中」(96kHz/24bit FLAC)を用いた。
■想像を大きく上回るサウンド進化。V-MODAが次世代の領域に入ったと実感
まず、全体的なサウンドについて述べたい。M-100 Masterの音質の向上幅は、筆者の想像を大きく上回り、完全にM-100を超えていた。
ポイントは4つある。帯域バランスや音色/音調はM-100を踏襲している。全帯域にスピード感があり、適度な音圧とシャープさを持つ迫力のある低域により、とにかく音がカッコ良い。そしてM-100 Masterは、さらに全帯域における絶対的な解像度と、空間の見通しや音の立体感が大きく向上しているのだ。聴感上の解像度は少なく見積もってM-100の2割から3割増しでfレンジも広い。
マシュメロ & バスティルは、イントロで流れるソロボーカルの距離感が秀逸で、M-100と比べるとバックミュージックに対して音像がより浮かび出てくる。エレクトリックバスドラムの表現力の高さはM-100 Masterの真骨頂で、迫力と解像度をかなり高い次元で両立している。
マドンナは、曲冒頭のヴォーカルがリアルで、各楽器の質感がより分かりやすい。本機を聴いた後にM-100を試聴すると、楽器の質感表現が若干不足しているように思えるほどで、根本的な音質改善を成し遂げた事が良く解った。
ロック調テイストを持つ藍井エイルは更に絶品の表現力。ベースとドラムの迫力が素晴らしく、聴感上の解像感も大きく上がって聴こえる。この瞬間、V-MODAヘッドホンの音が次世代の領域に入ったことを筆者は認識した。
大型化と断面形状を変更したイヤーパッドにより装着感と遮音性も大きく上がっており、長時間使用していても疲れなかった事も記しておきたい。
■V-MODAの個性と楽器メーカーであるローランドの正統が融合。
カッコ良さと次世代領域の音を両立した注目モデルだ
M-100 Masterは、多くのDJの意見を取り入れて築き上げてきたV-MODAらしい全帯域におけるスピード感ある音はそのままに、低域はより深く、中高域はよりリアルに仕上がっている。普段はスタジオモニターヘッドホンを使っている筆者の視点だと、今までの同社製品は「打ち込み系に強い個性あるヘッドホン」という印象だったが、基本性能が大きく上がった本機であれば確かにトラック・メイキング等のプロ用途にも使えるだろう。
後日ローランドの開発陣に音のコンセプトを確認したところ、新しいイヤーパッドやチューニングペーパーなど、音の特性が違う何十種類ものプロトタイプを作成した上で、低音と伸びやかな中広域のメリハリをつけることで立体的な音像を求めたという(今回感じた印象はまさにここだ)。しかし、やはり開発にはかなりの苦労と時間がかかったそうだ。
なお本製品を聴いた楽器店やミュージシャンからの評価も高く、M-100からの買い替え需要も予想以上らしい。また、V-MODA全体で有名ミュージシャンとの連携強化や、世界最大のダンスミュージックフェスティバルADE(Amsterdam Dance Event)への出展など音楽的なアプローチを強化する計画があるとの事。同ブランドの将来は明るそうで楽しみだ。
改めて、今回のM-100 Masterのモデルチェンジは大成功だろう。先鋭的なデザイン、コンパクトに折りたためる構造、ヘッドホン左右両方に備わった入力端子等、これまで評価されてきた機能がしっかり継承されながら音質的なブラッシュアップを実現している。同ブランドを愛用する1人としては素直に喜びたいし、是非多くのヘッドホンファンに、カッコ良さと次世代領域の音を両立したM-100 Masterの音を聴いてほしい。
(特別企画 協力:ローランド株式会社)