HOME > インタビュー > 米V-MODA ヴァル・コルトンCEOインタビュー。モノづくりのこだわり、注目の新製品を聞く

ローランドとの協業で開発力アップ

米V-MODA ヴァル・コルトンCEOインタビュー。モノづくりのこだわり、注目の新製品を聞く

公開日 2017/09/08 10:35 インタビュー:音元出版 代表取締役社長 和田光征
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
ミュージックラヴァーやオーディオファンから大きな支持を集める米V-MODA(ブイモーダ)。その社長で、自身もDJとして活躍するVal Kolton(ヴァル・コルトン)氏にインタビュー。ものづくりへのこだわり、要注目の新製品などについて聞いた。

米V-MODA CEO Val Kolton氏(左)と音元出版 代表取締役社長 和田光征(右)

−−V-MODAは2004年に設立され、これはいま人気の他ブランドと比べても早かったと思います。ヘッドホンを作ろうと思ったきっかけは何でしょうか?

ヴァル氏 2004年にビジネスを立ち上げた頃は、ヘッドホンはブラックかホワイトのものしかなく、素材もあまり良いものを使っていなくて、ファッション的に使うというよりは、機材として使っているケースが多かったです。そういった状況に対して、V-MODAが新たな回答を出せるのではないかと感じました。

−−ヴァルさんの、DJでありミュージシャンでもあるというご経歴は、ものづくりにどう反映されていますか?

ヴァル氏 特にDJ用ヘッドホンは、現場に持ち運んで使うことが多いという特徴があります。通常のスタジオ用ヘッドホンは、決められた場所で、決められた使い方をしますから。

我々のヘッドホンは「モバイル」がキーワードです。最近のDJヘッドホンの使われ方を見ますと、ステージ上ではワイヤードで使いますが、ふだん音楽を聴くときはモバイルのワイヤレスで楽しんでいます。我々のヘッドホンもワイヤードモードとワイヤレスモードの両方で使えるようにしています。

創立当初から持ち運んで使う「モバイル」をキーワードに開発していたという

−−デザインへのこだわりが強いのもV-MODAの特徴かと思います。

ヴァル氏 まず、音楽をしっかり聴くための音質が第一であるのはもちろんです。そのうえでV-MODAは、テクノロジーとファッションもブランドの柱として掲げています。実際にヘッドホンは、自分を表現するうえで非常に重要なアイテムです。個性を表現するために、カスタマイズで更に自分自身を表現して欲しいですね。

−− V-MODAは世界各国に拠点があると伺っています。オペレーション体制を教えてください。

ヴァル氏 本社はカリフォルニアにありますが、私は現在、ミラノに住んでいます。ミラノにデザインスタジオがあって、日本ではローランドと一緒にエンジニアリングを行っています。あとは香港では中国の生産サポートと、アジア地区の販売代理業務を行っています。

−− ヴァルさんは、製品開発にどのように関わっているのでしょうか?

コンセプトメインキングから音質チェック、クオリティを高めるためのチューニングまですべてに関わっています。たとえば装着性を高めるのに重要なクッションは、場合によっては100パターンぐらい用意して、どれがよいか全て試します。非常に疲れますが(笑)、お客様にとってはとても大事な部分です。

−−ここからは具体的な商品についてお聞きしていきます。ワイヤレス対応の2製品「Crossfade II Wireless」と「FORZA」が日本で注目されていますが、それぞれについてご説明頂けますか?

ヴァル氏 「Crossfade II Wireless」(レビュー記事)は、他社とまったく考え方が違う製品です。他社製品はワイヤレスがメインで、ワイヤードでも使えると紹介することが多いようですが、我々はこの製品を「ワイヤードの状態で最高の音がするヘッドホンで、ワイヤレスでもお使い頂くことができる」製品と位置づけています。

V-MODA「Crossfade II Wireless」

ワイヤード接続の場合、V-MODAの製品はケーブルを繋いだ瞬間に全ての電子機器がカットされますので、バッテリーを使わずにアナログに切り替わります。完全にアナログの、ノーバッテリーで使えるのが全てのチューニングにおいてベースになっています。ワイヤードの場合、遅延がないこともメリットになりますね。もちろんハイレゾ対応です。

ワイヤード接続では完全アナログ駆動に。ハイレゾにも対応している

クッションに関しては開発に6か月かかり、私の夏休み全てを捧げました(笑)。あとは製品を折りたたむこともでき、我々の当初からの「モバイル」というコンセプトを忠実に守っています。

また装着性についても、DJの方にも使って頂く柔軟性を持っていますし、必要に応じて広げて頂ければ緩くなります。デザインについてはカスタマイズできることが大きな要素ですね。

−−続いて「FORZA」について教えてください。

ヴァル氏 アメリカではネックバンド型イヤホンの市場が非常に伸びており、大変需要があります。「FORZA」(レビュー記事)が開発するにあたって検討したのが人間工学な部分です。体にフィットすることに優先順位を置いているメーカーが少なかったので、メモリー形状を使い、フィット感のあるワイヤレスイヤホンを開発しました。

V-MODA「FORZA METALLO WIRELESS」

フォーマルなファッションでもフィットするデザイン性と、スポーツシーンでも使える快適さにこだわりました。30種類以上のデザインパターンを作って最終的に決定しました。

防水性能はIPX4で、防汗にも対応しています。特殊コーティングをしており、汗をかいても耐えられます。製品がどういった状況で使われているのか想定して作っていますので、他のメーカーのものより長く使って頂けるのではないかと思います。

人間工学的な見地から、装着時のフィット感を追求したと語る

−−今後登場を控えている新商品はありますか?

ヴァル氏 Bluetoothスピーカーで、世界初の3Dカスタマイズ可能なモデルを投入します。パーツごとに分解でき、それぞれを付け替えられます。開発に3年かかりまして、デザインも30以上作ってようやく完成しました。

Bluetoothスピーカー「REMIX」

写真のようにパーツを外して付け替え、カスタマイズすることができる

このスピーカーの大きな特徴として、ヘッドホンアンプの搭載も挙げられます。これは非常に強いセールスポイントと考えています。とにかく音質へのこだわりに軸足をおいたスピーカーです(編集部注:現在、国内リリースへ向けて準備中)。

−−そういった新商品を今後も展開する上で、ローランドさんとのコラボレーションで期待されていることはありますか?

ヴァル氏 お互いにエンジニアリングと流通を協力しながら、V-MODAの製品作りのコアは今後もキープしていきたいです。良いところと維持するところ、別々にするところはしっかり区分けしていきたいですね。

インタビューではヴァル・コルトンCEOの生い立ちなども語られた。後日公開のフルバージョンで公開予定だ

直近では、新製品3機種「Crossfade II Wireless」「FORZA METALLO WIRELESS」「Remix」を短期間の間に投入できました。過去には1年に1機種が限界だったことを考えると大きな進歩で、これはローランドとのコラボレーションのおかげです。クオリティ高いものを矢継ぎ早に、トレンドに遅れないように出していけるようになりました。

−−今後の展開がますます楽しみです。本日はありがとうございました。


※このインタビューはダイジェスト版です。フルバージョンは11月刊行予定の「プレミアムヘッドホンガイドマガジン」、および当サイトに掲載予定です。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク