[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第246回】
家から出ないで“音変”!「スマホの音をいちばんおいしくできる」食器&空箱&諸々選手権!
●iPhone 6の空箱:紙
iPhone 6とは純正の組み合わせであるためにやはり音響面での相性も良好であり……とかいうわけではないだろうが、なかなか悪くない音。他のアイテムはその「器の中での響き」による音の変化が大半を占める感じなのに対して、紙箱は圧倒的に軽い素材だからか箱自体が震える「箱鳴り感」もある。それがサウンドに良い具合の明るいローファイ感を与えてくれている印象だ。
この「良い具合」さには「iPhoneの箱」ならではの造りの良さ、紙箱としてはトップクラスの剛性感などの影響もありそう。また箱全体から鳴りが放射されるためか、指向性的な要素も広く感じる。
なお、マグカップ等と違い箱の類いはスマホの入れ方や置き方の選択肢が広い。今回は色々と試した上で上記写真の入れ方に落ち着いたが、他に例えば下記のような置き方や入れ方もある。
●BOSSの空箱:紙
ギター用エフェクトペダル、BOSS CE-2の紙箱。そもそもApple製品ほどやたら豪華な作りではない上に、1980年前後の製品であるために痛みもあり、ペラッとした素材感だ。そのためか箱として鳴るというより、紙がそれ自体として響いているような感じで中高域が暴れる印象。
なのであるが、紙という素材の持ち味のおかげかその暴れは不快なものではなく、「軽やかな迫力」みたいなものがほしい場合には悪くないかもしれない。そしてこちらも箱全体から音が放射されるおかげか、指向性的な要素も広く稼げる印象。
●ガラス瓶
見ての通り、スマホのほぼ全体を覆うのでかなりこもった響きになる。のだがその割には妙なクリアさもあって、これはこれでアリなのでは?という気もしてくる不思議な音。
とはいえ音量感は明らかに下がるので、音量を稼ぎたい場合の選択肢に入らない。容器として深いしガラスだから乱暴には放り込めないしで、スマホの上の方をつまんでそっと入れる感じになるのも面倒。
●空缶:スチール
直径や深さはガラス瓶よりは小さめだがだいたい似た形状で、スマホのほぼ全体を覆う。サイズの違いか素材の違いか、ガラス瓶より明るい響き。そして音量感はガラス瓶より大きい。ただこちらもガラス瓶と同じく出し入れは面倒。あと缶の蓋を外したエッジ部分が鋭いので、指先やスマホを傷つけないための注意や工夫も必要。
●リポビタンDの空箱
エナジー! エナジー! ファイト一発!……と期待したのだが、何というか何ひとついいことがない。スマホ全体を覆い隠すので全体の音量感も落ちるし高域は特に吸われてしまう。そして箱として大きすぎるからか、むしろ逆にあんまり響かない。
……ないな。
●ヤカン
あ、はい、正直、これで良くなるとは思ってませんでした。そしてやっぱり、音楽にせよラジオにせよいちばん肝心なボーカル帯域、人の声までが奥まってしまうのでお話になりませんでした。
このヤカンは注ぎ口がすごい細いのでそこから音が流れ出てくる感じもなかったが、注ぎ口が大きいヤカンだったらそういう感じになったりするのだろうか?
■おすすめトップ3はこいつらだ!+α
というわけで勝手に集めて評価した結果のトップ3はこちら!
●お碗:陶器
●マグカップ:チタン二重構造
●浮かせスタンド
お家を見回してこれらに似た形やら大きさやらの何かを見つけられた方は、まずはそのあたりから試してみてほしい。といっても序盤に注意したように、この印象はあくまでもiPhone 6との組み合わせにおいてのもの。他のスマホとの組み合わせだとあるいはぜんぜん違ったことになるかもしれない。
また正直に言うと、高評価とした陶器のお碗やチタンのマグカップであっても、ラジオ番組のトーク内容の聞き取りやすさというか滑舌感みたいなところは、スマホ直と比べて落ちてしまう印象。音の響きや膨らみを稼げる分、しゃべり言葉の立ち方、キレの良さには難が出てくる。
そのような理由からカップや箱の類いはピンとこない場合もあるかと思う。そんなときは、「音量感アップとかはいらないからスマホの向きだけいい感じに調整できて自分の耳の方にいいバランスで音が届いてくるようにできればそれでよし!」と割り切るのもひとつの手だ。そしてその使い方には、写真や動画の撮影に便利なスマホグッズ、スマホ三脚の流用がおすすめ!
または「マグカップやお碗にスマホを入れる向きを上下逆にする」なんて手が有効な場合も……
ではそういうことで……乗り切っていきまっしょい!
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域 バックナンバーはこちら