[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第246回】
家から出ないで“音変”!「スマホの音をいちばんおいしくできる」食器&空箱&諸々選手権!
■各アイテムをサクサク評価!
そんなわけで基準値とリザーバーも含め全16アイテムと数が多いのと、あと全アイテム入場! さえやれば筆者としてはもうほぼ満足なので、以降は評価をまとめた図表をメインとしてサクサクと進めさせていただく!
●直置き
帯域バランスと音の変化のポイントはこの直置きを「オール3」評価として、他のアイテムの音の印象はそこからの増減で表現。
総合評価はこの直置きを「±0」として-3〜+3で評価していく。
●浮かせ設置:finalシリコンイヤホンケース
直置きでは置いた床面とスピーカーが距離的にほぼ密着。そのせいか、特に高域側が床から強く反射されすぎてしまっている印象だ。それにご時世的にも「密」避けるべし! そこでその改善のためにスマホを少し床から浮かせてみようと周りを見渡したところ、こちらのイヤホンケースが目に入ってきたので乗っけてみた。
狙い通りに中高域の強さが落ち着いたほか、ケース内の空洞とシリコン素材のおかげか、中低域の響きがいい感じにちょい足しされたのも嬉しい。ここでのポイントをまとめるならば「何かに乗せるだけでも何もしないよりはマシ」だ。
●スタンド
ごく普通のというか、いちばんシンプルな形のスマホスタンド。なのだが、結果はスタンダード=±0ではなくマイナス評価。スピーカーをがっつり塞いでしまうので特に高域が届かなくなり、ぼやけた音色に。
ただ、指向性の強い高域が弱くなることからか、スマホと自分の向き合う角度や高さの違いによる音の変化は小さくなる。直置きの場合だと、スマホスピーカー部の高さに耳を合わせると高域が強く、立ち上がってスマホを見下ろす形になると高域が弱くなるといった変化が目立つが、それは少し軽減できる。
●浮かせスタンド
スマホ底面を支える部分が細身でスピーカーをあまり塞がず、適度な距離と角度で床面に音をぶつけて反射も素直なおかげか、バランスのよい向上を得られる。アイテム的にもサウンド的にも面白味はないが、実に真っ当。
●マグカップ:陶器
今回の企画の発端とも言える古典的アイテムなのだが、中低域が豊かに響くおかげで音量感は稼げる一方、高域は響きすぎ&中低域に対して相対的に負けている感じで弱く聞こえ、全体にぼんやりとした印象に。
また形からして当然、音は上に向かって放射されるので、直置きの場合とは逆に、リスニングポイントから立ち上がってスマホを見下ろす形にすると高域側の抜けは良くなる。しかしそれはつまり、指向性が強まりリスニングポジションに音が左右されやすいということだ。
●マグカップ:チタン二重構造
当連載のイチオシ金属、チタン! とはいえ、形状、直径、深さなどは陶器のマグカップとほとんど同じであり、音にさほど大きな違いは出な……と思っていたのだが、予想外! 心地よい響きや音の膨らみはありつつ明るい抜け感もあり、陶器のマグカップのようなぼやけた感じにはならない。ドラムスの太鼓類などは特に好感触だし、ボーカルの通りも良い。音の届きの良さのおかげか、リスニングポジションが狭まる感じもさほどない。
ここまでの差は素材の違いだけとは考えにくく、やはり保温のための二重構造は音響的にも大きな効果を持つのだろうか?
●お碗:陶器
サイズ的には大きなお碗、または小さなどんぶりといったところな陶器の器。そもそも口が広く、加えて底から口に向かって広がる形状でもあるからか、同じく陶器のマグカップのようにこもった感じはなく、広がりや抜けが確保されている。そして、となれば当然、リスニングポジションによる音の違いもあまり出ない。
●お椀:漆器(木)
こちらは木製で漆仕上げで通常サイズのお椀。ちなみに「おわん」は陶器なら「お碗」で、木製なら「お椀」。サイズの違いと材質の違い、どちらの影響が大きいのかはわからないが、陶器のお碗よりは少しぼやけた響きと感じる。のだが、まあ好み次第の範疇ではなかろうか。
●ボウル:陶器
陶器のお碗よりもさらに口の広い器。深さはあまり変わらないまま口が広くなっているため、内側で音が響く感じはほとんどなく、帯域バランスは素直。しかし変化に乏しくつまらないかも。またスマホがより寝た角度になるためか指向性に癖が感じられ、その点では直置きからの改善は見られない。
●ボウル:ステンレス
陶器のボウルとの音の違いは意外なほどに小さい。とはいえその陶器のボウルの時点で「変化に乏しくつまらないかも」だったのにそこからそれよりさらに「素っ気ない」ので、こちらをおすすめする理由はない。