【特別企画】自腹購入済みのマニア・成藤とガチトーク
カスタムIEMはいいぞ。新人編集部員がオンキヨーのマグネシウムドライバー搭載「シリーズM」を作った
■カスタムIEMを作りに、いざONKYO BASEへ
訪れたのは、東京・秋葉原にある「ONKYO BASE」。ここでは実機の展示・試聴を行なっており、ワンストップでオーダーまで行うことも可能だ。
編集部注:本記事の取材は2020年2月に行った。5月12日現在、ONKYO BASEは政府の緊急事態宣言を受けて休業中のため、直販サイト「ONKYO DIRECT」のみにてオーダー受付中。耳型の採取は、提携する「メガネのアイガン」の全国約220店舗で可能となっている(作業費として別途税抜6,000円が必要)。詳細はこちら
まずはどれを選ぶか決めるべく、各モデルの試聴から。当然のことながらカスタムIEMは試聴できないので、試聴用に用意されているユニバーサルモデルにて選ぶかたちとなる。ただしカスタムはユニバーサルよりも密閉感が向上し、またノズルも長くなるので、音傾向は若干異なる。「カスタムIEMでは、ユニバーサルモデルよりも低音や高音が伸びることを考慮して選ぶといい」そうだ。
IE-M1を一聴して感じたのは「手で触れそうなくらいに音が生々しい」ということ。BA一発のモデルなので、これがマグネシウム振動板のサウンドなのだろう。成藤が「これでしか出せない音」だと評していた理由が分かった気がする。
3モデルそれぞれの音傾向を整理すると、IE-M1は繊細で生々しいサウンドで、IE-M2は低域から高域までシャープに描き出す印象。IE-M3はそれより深い低域と繊細な中高域を両立した、ウォームなサウンドといったところだろうか。大いに迷ったものの、今回はIE-M3をオーダーすることに決めた。
続いて細かい仕様も決めていきたい。まずはコネクターだ。これまでのオンキヨーのカスタムIEM”シリーズC”はMMCXに統一されていたが、シリーズMと、シリーズCの後継となる“シリーズJ”では新たに「T2端子」も選択肢に加わった。
耐久性や挿抜性、サウンドクオリティなど各方面から見直しを図った結果、採用に至ったとのことで、使用するのはEstron社の純正コネクター。医療グレードの品質を持ち、IP67の防塵・防水性能も備えるため、アーティストのステージユースにも耐える高耐久性なのだという。それならばとT2端子をチョイス。
また、ノズル部分の密閉度合いもPro/Standard/Sportsの3タイプから選択可能。記者は今回が初カスタムIEMということもありStandardを選択したが、最も密閉度が高いProを選ぶ方が一番多いそうだ。
そしていよいよデザインの選択だ。シリーズCはスリムなC型形状を採用していたが、シリーズM/Jではフェイスプレートの広いD型形状も選べるようになった。
そして本体カラーは8つの新色が加わった全20色から、ロゴカラーは全3色から選べるように。D型形状の場合、フェイスプレートと内側で違う色にすることもできるので、ともすれば本体仕様以上の悩みどころかもしれない。
このままでは永久に悩み続けてしまうので、とりあえず耳型を採ってもらうことにした。カスタムIEM作成となると、補聴器店などで有料にて耳型採取を行い、そのデータを持ち込むパターンも多いが、ONKYO BASEではその場で、しかも無料で行ってくれる。そのうえ最低でも左右2回ずつの計4回はやってもらえるので、フィット感に関しては信頼できそうだ。
仕様を決めて、耳型を採取したら後は実機の完成を待つだけ。タイミングなどによって前後する場合があるものの、国内で生産を行っていることや、製作に3Dプリンターを取り入れたことなどから、耳型が工場に到着してから45日間くらいで完成するとのこと。
■深い低域が土台となり、マグネシウムBAが繊細さを存分に発揮
オーダーからしばらく経ち、完成したとの連絡が。郵送してもらうことも可能なのだが、そんな悠長に待っていられるわけがない。なんのために当社・音元出版が秋葉原にあると思っているのか。連絡をもらったその足でONKYO BASEへと受け取りに行った。
ONKYO BASEのカウンターにて、完成したIE-M3とご対面。
記者が選んだカラーは、左側がダークランプとメタリックブラック、右側がエアフォースとパールホワイトだ。ギターのダークサンバースト塗装みたいだなと思ってダークランプを、少しグレーがかったシックさが格好良くてエアフォースを選んだが、これはイメージ以上に格好いい…。
一通り見惚れたところで、実際に装着してみてフィット感を確認。受け取りから1ヶ月間はリフィットも可能だが、少なくとも記者は全く問題を感じなかった。
一通り確認も終わり、いよいよIE-M3が自分のものに。1ヶ月ほどじっくり聴き込んでみたので、ここからはインプレッションをお届けしたい。