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【特別企画】

これぞ8K時代のAVアンプの先駆け。デノン「AVC-X6700H」「AVR-X4700H」レビュー

公開日 2020/08/27 06:45 大橋 伸太郎
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ここまででAVC-X6700H/AVR-X4700Hはデジタル部の共通性が高いことが理解されたと思うが、アンプとしての構成は異なっている。11ch一体型のAVC-X6700Hは、最上位モデルAVC-X8500H同様、パワーアンプブロックをカード式に独立させ垂直に並べた「モノリス・コンストラクション」とパワー素子DHCTをヒートシンク上に格子状に配列する「チェッカーマウントレイアウト」を採用する。

AVC-X6700Hのアンプ部は、「モノリスコンストラクション」をはじめ最上位モデル同様の構造を採用する

一方、9ch のAVR-X4700Hは通常の一体型パワーアンプ基板を採用。両機のトップカバーを外して見ると、ヒートシンクはどちらも押出し形成だが形状が異なる。筐体の外形寸法は同一だが質量はAVC-X6700Hが1kg以上重い。アンプとしての密度アップがわかろう。プラスされた2chが2機種のアナログ部の差異を生んだわけだ。

AVR-X4700Hでは全ch同一基板を採用。そうした密度の違いが上位モデルとの質量にも表れている

ほぼ共通のデジタル部を持ち、アナログ部のアプローチを異にする2機種の音質と音場表現力に大いに興味が持たれる。

骨太な低音と精緻な音場が展開する「AVR-X4700H」

川崎のデノン試聴室でAVC-X6700H/AVR-X4700Hを試聴した。まず、AVR-X4700Hから。ステレオ再生からスタートしたが、雑味がなく聴き手に力強く迫る骨太な音質だ。

川崎のデノン試聴室にて2モデルの音質を確認した

パワーアンプ部の構成手法はコンベンショナルなものだが、ブロックコンデンサとEI型トランスはサイズは異なるもののAVC-X6700Hに準じ、シリコンスチールプレートと銅製のリングでのノイズ対策も共通。地力の高いことがはっきり分かる。

上位モデルと同等の電源部パーツやノイズ対策が音質に貢献している

この日ステレオ再生では主にCD/SACDを聴いたが、ヨハンナ・マルツィのバッハのソロヴァイオリン(SACDシングルレイヤー)は弦に倍音が乗り、厳しい表現だが明るい艶があるのがいい。クルレンティスの『フィガロの結婚』はノイズがシェープされ音場が清澄。歌声の佇まいが凛と美しい。山中千里のコンボジャズはベース、ドラムスの低音楽器に量感とくっきりした輪郭がありデノン試聴室の広さ(39平米/約24畳)に負けない浸透力である。

続いてサラウンドは、トップスピーカー2列/4発の5.2.4構成での再生。サラウンドスピーカーが聴き手真横に設置されているので、音場は垂直方向へ広がり聴き手を中心に密度が高く精緻。『アラジン』(2019年実写版、4K UHDBD)のミュージックチャプター(『A WHOLE NEW WORLD』のシーン)で、歌とアクション描写が重なっても音場が解れオブジェクトの移動表現が鈍らないのがいい。

AVR-X4700Hのサラウンド音質は5.2.4のスピーカー構成で聴く

『地獄の黙示録』(4K UHDBD)はイマーシブ化に際しドルビーアトモスの入念なリマスターが行われ飛躍的な音質向上を果たしたディスクで、まずセリフの鮮度の高さに溜飲を下げる。攻撃へリのローターの機関音圧が頭上にのしかかる不安演出の再現は見事で、DSP始めとしたデジタル部、9ch同時出力時アンプが安定動作している証左だ。

低音の力強さや音場の精緻さから、高い地力が感じ取れる

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