[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第255回】
パナのラジオは声が“好い”!Bluetooth対応の最新機「RF-300BT」を思わずポチった
ちなみにお借りしたサンプル機は、Bluetoothスピーカーとしての使用時にも、無音時や再生中の背景に電波受信でラジオを聴いているときのような「ジージジジ……ザザ……」などの背景ノイズが聞こえていた。
過酷に使い回されるサンプル機なだけに個体差の可能性もあるが、もしかしたらその設計において、Bluetoothスピーカーとしてのノイズ対策とラジオ受信機としての受信感度向上の両立が難しい部分は、ラジオとしての性能向上の方に重きを置いたのかもしれない。ならば潔し!
とはいえそのノイズ、筆者のように「ラジオを枕元に置いて小音量で聴きながら就寝する」なんて使い方でない限りは、さほど気にならないだろうと思う。枕元リスニングだと「至近距離なので小さなノイズも聞こえやすい」「音声が小音量なので相対的にノイズが大きく聞こえる」ので、そのちょっとしたノイズの存在に気付いたというわけだ。ラジオを部屋のどこかに置いて適度な距離から楽しむタイプのリスナーならそれほど気にならないと思う。
それに筆者は実はこのノイズも「うんラジオっぽいノイズだよね。ネット配信ラジオだってラジオなんだから、こういうノイズがあるのも雰囲気出るよね。ノイズもパナラジチューニングでソフトになってるからうるさくはないしね」とむしろポジティブに受け取っていたりする。
■素直な肉声感を生み出す10cmスピーカー
さて「パナラジ伝統のチューニング」という最大の特徴を紹介した上で、実際にそのパナラジチューニングにおいても大きなポイントになっているであろう、各所の技術的要素を見ていこう。
まずはやっぱり「10cm大型スピーカー」の搭載だ。ポータブルラジオではなくリビングラジオだからこそ、そしてステレオオーディオではなくモノラルラジオだからこそ、搭載スペースを確保できるこの大口径スピーカー。その余裕や音の厚みがパナラジチューニングの完成度をぐっと引き上げてくれている。
というのも、これよりも小さな口径のスピーカーだと、人の声にしっかりとした厚み、肉声感を与えることが、少し難しくなりがちなのだ。バスレフ構造で低音を増強したり、イコライザー回路で電気的に低音を持ち上げたりといった対策が必要になる。
しかし、大きめの口径のスピーカーを、このラジオのように十分な容積の筐体に収めれば、そういった対処療法的な設計をしなくとも、素直な設計のままで人の声として自然な厚みや響きを表現してくれるのだ。
■音質切替機能で自分好みに最終チューン
そしてその素直な音を土台に、パナラジには応用的な音質機能も用意されている。「音質切替」機能だ。
音質切替という名前の通り、音質を「標準/音楽/ニュース/クリア/ソフト」と「快聴音」の計6種類からセレクト可能。「画面表示」ボタン長押しでディスプレイにメニューを呼び出し、1・2・3のボタンでメニュー項目を移動&決定して設定する。
RF-300BTの説明書はまだ入手できなかったので、同じ機能を持つRF-U180TVの説明書から音質切替各モードの説明を見てみよう。
●標準:全音域をバランスよくした音質
●音楽:メリハリ感を強調した音質
●ニュース:人の声を聞きやすくした音質
●クリア:高音部を鮮明にした音質
●ソフト:高い音を抑えた音質
●快聴音:高音域を調整し、人の声をより聞き取りやすくした音質
続いて、先ほどと同じく各音質モードでのピンクノイズ再生をiPhoneアプリで周波数測定してみたのがこちら。実際に聴いての印象も添えておく。
快聴音の他はどれも極端すぎる変化幅にはされていないので、小音量再生時には違いが少しわかりにくいかもしれない。聴き比べの際には少し大きめの音にするとよいだろう。