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アナログファン待望の新除電ブラシ「ASB-2 ion」レビュー。静電気が98%以上消え去った効果を体感

公開日 2020/10/23 06:30 炭山アキラ
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ブラッシングで生まれた静電気をイオンの力で除去

ブラシ素材には導電繊維コアブリッドB3を採用。30ミクロンという細さでレコードの溝に入り込み、埃を物理的に取り除いてくれるのだが、これだけではブラシにコシが出ないため、あえて天然毛と50%ずつ配合したことにより、毛先が立つだけのコシの強さを実現したという。

職人の卓越した技術力のおかげで毛が抜けたり折れたりしにくく、また導電成分はアクリルで表面を覆われ、外へ露出していないので、それが剥がれて盤面へ落ちるといった問題が起こらない、というのもありがたい。

30ミクロンの極細毛がレコードの溝に入り込み、埃を物理的にかき出してくれる

ASB-1は埃を取ることにかけて極めて有効で、またコアブリッドによるコロナ放電で大幅な除電も行えるのだが、ブラッシングしているうちに摩擦でまた静電気は溜まってしまうため、高音質化という意味ではもう一段“上”を目指したかった、と本機を開発されたユキムの中園勇代表は語ってくれた。

柄のレバーをプッシュすると+イオン、レバーを離すことで−イオンが柄の先から放射され、盤上の静電気を除去する仕組み。イオンは非導電性の素材、つまりアナログレコードなどには特に高い効果を発揮するためイオン除電器を採用したという。

持ち手の部分にレバーを搭載。ブラシ柄の先端から、レバーを押したときに+イオン、レバーが戻る時に−イオンを放射する

これまでも同じような原理を持つイオン除去器は存在したが、本機は驚くほど小さくて場所を取らず、また圧電素子による放電なので電源が必要なく、半永久的に使えるのが何よりもうれしい。

静電気除去したいものに15cm程度の距離で柄の部分を近づけ、レバーを押す/離すだけで静電気除去が可能。レコードであれば4箇所ほど、12時/3時/6時/9時のポイントで行えば満遍なく除去できるという

つまり、ASB-1の優れたブラッシング効果を生かしつつ、思う存分に埃を取った後のさらなる除電を行うために開発したのが、このASB-2 ionである。

静電気除去で音場が遥かに拡大。CDやUSBメモリなどにも効果絶大

今回は同社へ伺って中園代表から解説を伺いつつ、静電気計測器を使ってどれくらい静電気がとれているか、計測しながら音を聴かせてもらった。

ユキムの試聴室にて検証・試聴を行った

私が持ち込んだレコードをまずそのまま計測すると、デジタル表示には50,000台の恐ろしい数字が出た。まずブラシ部を盤面へ4点ほどチョンチョンとくっつけると、それだけで18,000くらいへ数値が下がる。聴いたのはドイツ・リートのレコードだったが、明らかに声が伸びやかさを増し、伴奏ピアノも朗々と鳴るようになる。

続いてブラシで丹念に埃を払うと、数値はほとんど元通りになってしまった。そこでイオン除去を行う。盤から15cmくらい離し、レバーを押して離してと数回、それを盤面の3〜4点で行えば終了と、手順は至って簡単だ。

イオン除去後の静電気の数値は驚くべきものだった。場所によっては1,000を切るくらいだから、98%以上の除電効果ということになる。音も飛躍的に向上、音場が遥かに広がってどこまでも見晴らしが効き、歌手の体へ声が響き渡っていることが分かるようになった。素晴らしい聴き心地である。

何もしない状態だと7.6kVと高い数値を記録

ブラッシング後にイオン除去を行うと、ほぼ0Vに近い静電気量となった

実は、除電の効果はレコードだけではない。ウソのような話だが、CDにもまったく同じように聴くのである。ここでも聴かせてもらったが、やはりブラシによる除電より一段音質向上効果が上がっている気がする。

さらに、帰宅してから借り出したASB-2ionを使っていろいろ実験してみたが、面白いのはUSBメモリでも同様の効果を確認できたことだ。興が乗ってNASとハブ、そしてLANケーブルにも試してみたが、こちらも実に有効だ。音離れが向上して音場が広がり、芳しい空気に包まれたような潤いたっぷりの聴き心地がもうたまらない。

イオン除電器はレコード以外にも効果を発揮する。CDは盤自体が小さいため静電気量も少なめだが、それでも除電の効果は確認できた

もうこうなったらやれるところを全部やってしまえと、インコネからSP、電源ケーブルまで、ケーブルというケーブルにイオン除去を行ったら、効果に飽和点なくどんどん音質が向上していくではないか。いろいろな音質向上アクセサリーがあるが、ここまで広範囲に効くものはそうそうあるものではない。

静電気計測器は春日電機製「KSD-1000」を使用。電子機器製造現場でも使われる高品位なものだ

普段使いであればプレーヤーにセットした状態で上からレバーを押せば十分だが、外して両面とも除去したりと追い込むことも可能

この効果でこの価格は、もう「ハイCP」などという言葉で言い表せるものではない。アナログ派のみならず、幅広いオーディオマニアへぜひとも薦めたい逸品である。

(協力:ユキム)

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