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HiBy初の完全ワイヤレス「WH3」レビュー! 独自デジタルクロスオーバーの魅力に迫る

公開日 2020/11/12 06:30 野村 ケンジ
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機能面では、連続再生時間は約5時間(SBC)が確保されている。QCC5121採用の製品としてはそれほど長くないかもしれないが、デジタルクロスオーバー機能などのインテリジェントさを持ちつつ充分以上の再生時間を持ち合わせているのはありがたい。

Qiワイヤレス充電対応のケースを含めると最長24時間の使用が可能となっているので、日常使いでは全く不満はないだろう。また、第8世代CVC(Clear Voice Capture)技術を採用するなど、通話品質にも配慮していたりもする。

WH3のケースはQiに対応し、ワイヤレス充電器に置くだけ充電も可能。QualcommのCVC技術で通話品質も高めている

メリハリのついた聴きやすいサウンドを、好みや気分に合わせてカスタマイズ

さて、実際のサウンドはいかがなものだろうか。先ほど触れた通り、基本的なクオリティはなかなかのもの。特にHiBy「R3Pro Saber」とのUATコーデック接続では、これまでの完全ワイヤレスイヤホンとは一線を画す音質を確保している。特に低域、ベースの音やバスドラムの音が秀逸で、迫力満点なのに、歪み感のない聴き心地の良さを両立している。

DAP「R3Pro Saber」との組み合わせで試聴。この組み合わせでは独自コーデック「UAT」も利用できる

もちろん、このサウンドは単にコーデックの有利さだけではない。ダイナミック型とBA型、各ユニット選びが巧みなこともポイントだし、何よりもデジタルクロスオーバーのクオリティの高さが際立った結果だろう。メリハリの良いパワフルな、それでいて人の声もしっかりと伝わってくる、とても良質なサウンドだ。

それは、JポップやJロックを聴いてみるとよく分かる。たとえばOLDCODEXの楽曲を聴くと、歪みの強いギターの音色や全体的な音の厚みはそのままながら、製作サイドの意図せぬ歪みが無いためか、普段よりも随分と聴きやすいサウンドに感じられる。

イヤホン本体は滑らかなハウジングや金属のノズルで質感も十分

また、Knowles社製のBAドライバーもなかなかに素性の良いサウンドを持ち合わせているようで、男性も女性も、突き抜けの良い伸びやかな歌声を聴かせてくれる。アコースティック楽器もわるくない。ピアノの音はやや中域がふくよかな、同時に高域への伸びやかさも兼ね備えた、心地よい響きを堪能させてくれる。中低域の厚みは、人によって好みが分かれるだろうから、そのあたりはクロスオーバー調整を活用するのもいいし、プレーヤー側でイコライザー調整を行うのも良さそう。

実際、試聴時にデジタルクロスオーバーの周波数設定をいろいろと変えてみたりもしたが、好みだったのは8kHzあたりだった。ここに設定することで、ボーカルの存在感をかなり増してくれるようになる。逆に12kHzくらいにすると声と演奏の一体感が高まり、聴き心地の良さが増す。その分声のヌケが引き換えになったりもするが、楽曲によってはこちらもわるくない。

デジタルクロスオーバーの設定次第では「ほぼBAドライバーだけ」「ほぼダイナミックドライバーだけ」のような尖ったサウンドも聴くことができる

極端な話をすると、クロスオーバー設定をいちばん低い40Hzにすると “ほぼBA型フルレンジ” の音、一番高い19kHzにすると “ほぼダイナミック型フルレンジ” の音になってくれる。どちらも、特に “ほぼBA型フルレンジ” はかなりクセのあるサウンドになるが、3つ4つのイヤホンを同時に買ったかのように様々な音が楽しめるので、これはこれで楽しい。

デフォルト設定のままでもメリハリの良さと聴き心地の良さを両立しているが、クロスオーバー調節という個性的な機能で表情豊かなハイブリッド型イヤホンの音を堪能できる

ちなみに、HiBy製DAPには、5バンドイコライザーに加えて「MSEB」という音質調整機能が備わっている。こういったものを併用して、帯域バランスを自分好みにアレンジするのもオススメだ。

このように「WH3」は、とてもHiByらしい、良質なサウンドと楽しさ満点の使い勝手を併せ持つ、とても魅力的な製品だといえる。

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