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【特別企画】厳選した高品位導体を生かした設計

ゾノトーンの主力ラインアップ、Shupreme、Grandio、Royal Spiritの最新インターコネクトケーブルを聴く

公開日 2020/12/08 06:30 井上千岳/福田雅光/炭山アキラ
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■鳴りっぷりと描写性の新たな融合、巧みなハイブリッド技術で冴えた表現力(福田)

「Blue Spirit」と「Royal Spirit」の2つのシリーズの技術と、最新技術を融合して2019年秋に発売されたモデル。ハイブリッド構造を特徴とするゾノトーンの導体構成は、このモデルでは超高純度7N Cu、HiFC、PCUHD(ピュア・カッパー・ウルトラ・ハイ・ドローアビリティ)、モダーン錫メッキ高純度銅、高純度無酸素銅OFCの5種類が使われている。


インターコネクトケーブル「Grandio AC-1」85,000円(RCA)、89,000円(XLR)(各1.0mペア/税抜)
ゾノトーンの最近の製品は、PCUHDの採用が大きな特徴だ。これは性能を激変させ、解像力を強力なものとした。PCUHDは古河電気工業の製造で、結晶内ガス成分が少ない最高グレードのOFCを母材として、不純物の混入しにくいカーボン製の炉で製造される。一般的なOFCの酸素含有量の半分以下に高純度化された、酸化物の生成が少ない高性能導体である。


「Grandio AC-1」の断面図
さらにゾノトーンの素晴らしい特徴は、プラグにロジウムメッキの高級パーツを積極的に採用していることだ。ここを重視しているケーブルメーカーこそが、ケーブル性能のメカニズムを熟知し、本当に信用できるものと筆者は考えている。

柔らかい金と、硬質物性のロジウムでは、S/Nや解像力に違いがある。どのような優れたケーブルでも、端子の種類で何パーセントかは情報を捨ててしまうことになる。であるから、ゾノトーンの一貫した姿勢は信頼できる。コスト的な制約や無難な音が得られるという理由もあるが、あるべき性能を最大に発揮できるケーブルこそが、高級ケーブルでは求められているのではないか。

RCAケーブル「GrandioAC-1」を、CDプレーヤーの出力で聴いた。中音は明るく抜けがいい。スカッと抜けきり、空間を広げてS/Nはたいへん高い。輪郭をくっきりと描き、低音は引き締め、まったくベタッとしない。反応というレスポンスが低域まで高度である。

また、ケーブルで重視するべき高域特性だが、この帯域でのS/Nや解像力の繊細性が冴えている。このため、倍音スペクトラムの表現力も冴えている。この帯域の緩いケーブルは買うべきではない。それは、低音のダンピングや分解力にも関係してくるからだ。

このケーブルは特に、躍動感を求める用途に適したものがある。また、スピーカーの古い銘機を使っているマニアには、このケーブルの活性的な性格で、新しい血流を得ることができるだろう。

【Grandio AC-1の仕様】
●導体構成:超高純度7NクラスCu、高機能純銅線HiFC、高純度無酸素銅線PCUHD、モダーン錫メッキ高純度銅、高純度無酸素銅OFC●構造:中心にエラストマーで覆った天然綿糸を振動対策で配置。その周囲に5種類の異種線材・線径の導体に絶縁体を被せた完全独立の10芯導体を配置。革新的なDMHC方式●導体サイズ:1.7スケア(5芯)×2(計10芯)(片ch)●外部ジャケット:PVCの上に強靱なナイロン編組●絶縁体:高純度PE●シールド:銅編組●介在:天然綿糸●外径:17.0mmφ●1.0m超の長さは0.5m間隔で特注可●1本でL/Rchを接続可能●分岐部から端子までの長さ20cm(※機器のL/Rchの端子間隔が40cm以上は接続不可)


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